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ありえなかった結末、ありえた結末

第1回    


1

嘘だ、幻だ、偽りだ。

「兄さんっ、もう少し静かに」
「大丈夫だよ、アイツには気づかれないさ」

やっと、気づいたよ。兄さんがアイツと呼ぶ僕が、あなたたちのしてることに。

要約すると、吾[われ]の幼馴染は・・・・・・実の兄に寝取られていたのだ。

扉からうっすらと漏れる喘ぎ声と、肉と肉がぶつかりあう音と、
僅かながらも暗さに慣れた瞳に写る、幼馴染を獣のように犯す兄。

兄は凡庸な存在だ。だがそれは一通り何でもこなす事を意味している。

僕はそんな兄を毛嫌いしていた。
僕よりも劣っているそれを見るのが、嫌だったのだ。
まるでIF・・・才能が無かった僕を見てるようで。

しかし、実際に見ると彼女は嫌がった様子はするも
少女は痛がる様子も無くこなれた調子で腰を動かしていた。

僕は、こらえならなく、なりそうな嗤[え]みを、無理やり防ぎながら、
夢中にお互いを貪り合う二人を尻目に、吾が家の母屋から静かに抜け出した。

 

 

ありえなかった結末、ありえた結末。

 

 

「昨日の夜何してたんだ」
「ッ・・・何のことかな」
「やはり、糞兄貴と性行為を行ってたか」

目を大きくさせて、うつむかせた。
やはり吾が見た情景は悪夢などではなかった。

「言い訳はあるか?」

堰が溢れるように彼女は事実を語り始めた。

兄貴が吾の部屋を秘密に見せてやるといって彼女を入れたこと。
ばらされたくなかったら大人しくしろと言ったこと。
恐怖のあまりはじめてとなった人が兄貴だったこと。
そして、脅されて今もまだその関係を続けさせられていること。

彼女はこう最後に云う。

「心は決して彼のものにならない、彼を説得してみせる」と。

そして、僕は、嗤った。

2008/05/06 To be continued.....

 

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