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私たちの愛しいお兄様



1

目覚ましの音で目が覚める。いつもと同じ六時半。
七時に起きれば間に合うけど、いったん起きてトイレに行き、二度寝するため
この時間に起きてるけど今日は珍しく完全に目が覚めたからもう起きよう。
「真奈、加奈。朝だよ。おはよう」
「ん・・・おはよう・・・ございます・・・おに・・・ぃ・・さま」
「おはよう・・ございます。お兄・・様」
この二人は僕と一緒に生まれた一卵性の妹たち。三つ子だった僕らは、母胎内で
負担がかかったらしく、そのせいか、僕以外の二人は小さいときから病弱で、
母も産後の事故で父と共に死んでしまったため、3人で暮らしてきた。

遺族年金もあったし祖父母が資産家だったこともあり三人で生きていく分には
何も不自由はしなかったが、小さいときに父母の愛を知らなかったからか僕にずっとべったりで、
高校生になった今も布団を並べて一緒に寝たがるほどだ。
もっとも、二人とも高校生とは言え、小さいときから学校にも行ってないので
精神年齢はずっとずっと幼い。小学生ぐらいだろうか

幼いころ。まだ僕らが一緒に風呂に入っていたときだった。
ちょうど僕が頭を洗っていて目をつぶっていたとき、双子の片割れ、
加奈が湯船から出ようとして脚を滑らせ、溺れかけた。幸い、真奈がすぐに気付き
僕もすぐに気付いたので事なきを得たがそれから加奈は風呂恐怖症になり
以降は中二までずっと一緒に入っていた

さすがに、中三にもなると、一緒に入ることを止めようと提案したが、怖がる加奈を放っておけず、
隣に住む幼馴染が一緒に入ってくれたが
幼馴染が夏休みやゴールデンウィークに旅行に行ったりして
不在だった日には僕が仕方なく一緒に入った。
そういう時は真奈も必ず『お兄様が加奈と入るなら私も一緒に入る』
と言ってくるので、高校に入ってからも何回か三人で入っている。

2

朝も幼馴染の晴香に作ってもらっており・・・
ピンポーン!噂をすれば
「悠!真奈ちゃん!加奈ちゃん!オハヨ!」
「「おはようございます」」
「ああ、いつもワリィな。毎朝メシ作ってもらって」
「別に良いって!ウチのお父さんもお母さんも朝早くから働いてるし」

彼女は早速エプロンをつけ、冷蔵庫をあけて材料を調べ始めた
「昨日のワカメサラダが結構残ってるわね。今朝はパンとご飯どっちにする?」
「ん、昨日はご飯だったし、今日はパンが良い」
「そ。加奈ちゃん真奈ちゃんもパンで良い?」
「はい。パンでいいです」
「私もパンで良いです」
「んじゃ、目玉焼きとベーコンも焼くからお皿とかコップとか出しといて」
10分後、トーストにベーコンエッグにワカメサラダに牛乳という、
シンプルながらもヘルシーな食事が並んだ。とは言え、晴香がいなきゃおかずは
前日の残りで済ますということになるし、弁当もコンビニか購買で買うことになるから
つくづく晴香には頭が上がらない

「「「「いただきます」」」」
四人でダイニングテーブルを囲み、食事をスタートする。
「あ、そういえば俺、今日は生徒会に呼び出されてるから少し遅くなるんだけど」
「ん、アンタ生徒会に呼び出されるようなトラブルでも起こしたの?」
「イヤ、何でも生徒会が文化祭に向けて全ての部活に何らかの出し物なりを行わせるらしいよ」

3

「へー、それじゃ、晩御飯は私たち先に食べてるね?」
「ん、頼むわ。もしかしたらそのまま部活の連中と食べて帰るかもしれないから
  朝まで残せるもの頼む」
食後、制服に着替えて鞄を持って玄関に立つ。一旦家に着替えに戻った晴香も丁度出てきた
「お弁当忘れてないね?」
「ああ、じゃ行こうか。加奈!真奈!行って来ます」
「行ってらっしゃいませ、お兄様」
そして、僕らは学校に向かう。

 

side〜加奈
お兄様が今日は生徒会に呼び出されて遅くなるらしい。まあ、それ自体は仕様が無いし、
別にどうってことは無い。だけど、部活の用事を盾にお兄様の近くをうろつく
あのメス犬がどうしても許せない。以前、買い物しようと町まで出かけたら
不相応にもお兄様の隣を歩いていたメス犬の姿が脳裏に浮かんだ。
私は無論、それが誰なのかその場で問い詰めた。お兄様が口を開かれる前にそのアマは
『文芸部部長の川村祥子です。部活が遅くなったので送ってもらっています』
とか名乗り出た。
私の怒りは収まらなかった。病弱で、学校へ行けない私達がお兄様と一緒に過ごせる
貴重な時間を奪ったというだけが理由ではない。
その女のお兄様を見る目が盛りのついたメス犬のそれだったからだ。
私達双子姉妹が命よりも大切に想いお慕いしているお兄様を誑かそうと隙を伺う
あのアマの存在自体が憎くて仕方なかった。
一応晴香さんにもその話をして学校であの薄汚いメス犬の監視をお願いした。
晴香さんには普段から色々とお世話になっているし
小さいころ、彼女と私達は一つの協定を結んでいたからだその協定は、平日は晴香さんが、
休日は私達姉妹が、お兄様に近づく泥棒猫たちを排除すること

4

お兄様の事を愛していいのは私達と晴香さんだけ。どこの馬の骨ともつかない犬畜生に
その権利を与えてなるものか。幼い頃から助け合ってきた私たちの間に割り込もうなんて
おこがましいにも程がある。絶対にあの女にお兄様は渡さない。
だが、今は晴香さんを信じて事を任せるしかない。彼女に全て仕事を丸投げするのは心苦しいが、
私達にも出来る事を全力でするまで。
病弱で出来る事は限られているけど、お兄様とその永遠の伴侶たるに相応しい晴香さん、
そしてその二人に永遠の忠誠と愛情を誓った私達の未来のため、
決して他の女に出し抜かれてはならない。絶対に防いでみせる。

〜side真奈〜
お兄様を愛していいのは私達姉妹二人だけ。晴香さんにはお世話になってるけど
それとこれとは話が別。加奈は『晴香さんだったら』と思ってるみたいだけど、
お兄様と共に生きるのを私が我慢出来るのは血を分けた加奈だけ。
私達は学校に行けないから学校での監視はあの泥棒猫に任せるしかないのが癪だけど、
絶対に幼馴染以上の間柄―最悪でも親友レベルまで―まして彼女の座だけは絶対に・・
「絶対に・・・渡さない・・」

5
〜side晴香〜
あの双子姉妹の姉、加奈にあの泥棒猫を監視するよう目で合図された。
もちろん言われなくてもわかってる。私は小さいときから彼の事が好き。
そして、非常に嫉妬深い事も自覚している。彼が他の女としゃべっているのを見た時、
それが、たとえどんなに些細なこと―廊下でぶつかって謝ったとか―でも、私の心の中は荒れ狂った。
きっと、それはあの姉妹もそう。だから小さいときから―彼女達がまだ私や彼といっしょに
小学生に通ってたときから(その後、あの姉妹は両親と一緒に事故に遭い、
両親が彼女たちを庇って死んだショックで本格的に体を弱くした)共同で泥棒猫を潰して回った。
避難訓練の途中で階段で相手をこっそりと突き落としたり―あれだけ人が密集しているとばれない。
もしばれても偶然脚を滑らせて間違って突き落としてしまったという言い訳も考えておいた。
ちなみにばれなかった―り、
家に遊びに来たメス犬に結構強力な便秘薬を入れたジュースを出したり、まあ、
けっこうえげつない事もした。だけど、それだけ私と姉妹の嫉妬心は強かった。
そして、あの姉妹の片割れ、真奈が実は私にもその嫉妬心と殺意を向けていて、
しかし利用価値があるから私に攻撃をしてこないように、
私も彼女たち姉妹にも凄まじく強い嫉妬心を抱いている。
でも、真奈が私に『まだ』攻撃をしてこないのと同じで『まだ』利用価値があるから真奈を
『まだ』攻撃しないつもりだし、(加奈の方は彼だけでなく私にも強い愛情を抱いてくれるから
私にも攻撃の意思は無い)
今は『まだ』表向きは真奈にも協力する振りをしているが、
もし機会があれば―今日監視することになったあの女と同じように―事いつか故に見せかけて、
できれば殺すか、長期入院が必要になるように―もちろん、私が原因だという証拠は
残さないように細心の注意をするが―してやるつもりだ。ふ、ふふふふ
「ん、どうした晴香?何かいい事でもあったのか?」
「え、あ・・その、思い出し笑い。この前ちょっと面白いテレビやってたから」
「そっか。あ、この信号青の時間が短いからとっとと渡るぞ」
「う、うん」
いけないいけない。殺しの喜悦が表情に出てたみたい。気をつけなきゃ。
それにしても、今渡るとき急ごう、と言って私の手を握って走り出したとき、
ちょっとドキッとしちゃった・・・ああ・・・(´Д`*)ハァハァ
2007/09/28 完結?

 

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