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双子、そしてお姉ちゃん



1

どうしてこんなことになったんだろうか……
気がつけば俺の両手は真っ赤に汚れていた。
辺りにはただの肉の塊と化した物体が無残にも転がっている。
どこから俺の人生はおかしくなったんだろうか……
高校生になるまでは、そう、彼女に出会う前まではこんなことはなかったのに――――――

 

「とうとう高校生か……たのしみだなぁ」
俺は真新しい制服に身を包み、満員電車で揺られながら、新しい学校を目指していた。
今年から高校生になる俺は、地元では有名の進学校『元石(がんこく)高校』に
通うことになったのだ。
電車の中にも同じく元石高校の新しい制服を着た人たちがいっぱい乗っていた。
そんな彼らを見回し、みんな同じ一年生なんだな。話し掛けたほうがいいのかななんて思いつつ、
なかなか声をかけることができなかった。
大きな川の上にかかった橋を越えると元石生が下りる駅が見えてきた。
地方なだけあって無人の小さな駅。
辺りには目立った観光地や商店街があるわけではなく、
まさにこの高校のためだけにあるような駅だった。
俺は電車から降りると高校を目指して坂を登っていく。
この坂が昔から運動部などのトレーニングに使われ、登るのがきつい事から
『大蕪坂』などという名前がついた坂だった。
坂を登りきると校門が見えてくる。早くも校門を越えたところにある掲示板には人
だかりができていた。
「お、もうクラス割が張り出されてるんだ。同じ中学の奴いるかな?」
俺は人ごみを掻き分けるように掲示板へと進んでいく。
しかし、あまり背の高くない俺にとってこの人ごみのなかを進んでいくのはなかなか難しい。
「よ、何してるんだよ間江寺(まえじ)」
必死に進んでいると、となりから急に肩を捕まれる。
「なんだ、高岩(たかいわ)か。それよりお前もうクラス割見たか?」
「おぅ、もう見たぜ。残念ながらおまえとはクラスが違うようだがな」
「そっか、高岩とは違うクラスかよ。まぁ、同じ一年だしこれからもよろしくな」
「おうよ、それと…お前も頑張れよ」
などと謎の言葉と笑みを残して高岩は人ごみを抜け生徒玄関へと向かって行った。
なんであんな言葉を残していったんだろうか……まさか俺のいるクラスは同じ中学がいないのか!?
不安になりつつもなんとか前に進んでいき、やっとクラス割の紙の前まで来る事ができた。
「さて、俺のクラスは……」
1年1組は理数科なので関係なく、俺は普通科の2組から順に見ていく。
「2組はないか。3組は……あった! 1年3組23番、間違いないな」
自分の名前を発見し、ほっと一安心したら、先ほどの高岩の言葉が不安になってきた。
「本当にいないのか?」
自分の名前だけを気にしていたので、他の名前を見ていなかった。
なので3組を上から慎重に見ていく。
「えっと、同じ中学の奴は―――ってなんだ、ちょい悪の比良岡(ひらおか)もいるじゃないか。
あとは…………え」
見てはいけない二つの名前を発見した瞬間、俺は後ろから声をかけられていた。
「またいっしょだね、翔ちゃん♪」
振り返ると、まったく同じ顔をした、二人の女子生徒が微笑みながら俺を見ていた。
少し長めの髪を頭部の後ろで二つに結んだ髪型が特徴の女子生徒だった。
一番見たくはなかったのだけれど、声をかけられてしまってはしょうがない。

「え、あ、あぁ、また同じ……だね」
「よかったよね眞保ちゃん、知ってる人がいて♪」
「そうだよね志保ちゃん、しかもそれが翔ちゃんで♪」
と、二人楽しそうにしゃべりあっていた。それをみて、俺は深いため息をつく。
二人は佐倉多志保(さくらだ しほ)と眞保(まほ)。一卵性の双子である。
家が近かったので幼いころから仲がよく、小中と学校が一緒なので俺は二人と仲がよかった。
けれど、双子は双子でも親も間違えるほどにそっくりで、
俺はいつも二人には騙され、からかわれてばかりだった。
ばかりだったといったが、いまだに区別がつかなかったりする。いや、幼馴染なのに情けない;;
俺が見分けられないのを知ってか、二人はいつも俺ばかりを標的にし、
そのせいで他の奴からもからかわれたりした。
そんなこといったってそいつらだって見分けられないはずなのに……
そんなこんなで、俺は二人を避けるようにしていた。
でも、たぶんそれだけではなく、中学生になって二人を
女の子と認識するようになったからかもしれない。
それまではただの幼馴染としか思っていなかったのだが、
中学の後半にもなってくるといろいろと知識もつき、思春期にも入り女性というものを
意識するようになる。
じっさい、二人はそこまでの美人でもなければ、とっても可愛いわけではないのだがそこそこ可愛く、
身長が140届かない程度と俺の好きなロリ体型だったりする。
なので、気まずいから高校になったらクラスが離れてほしいと思っていたのだが……
「また同じクラスだって。からかいがいがあるよ〜」
はぁ、まだからかう気ですかこの二人は。
おれはあきれつつ二人を残して新しい教室へと向かって行った。

引率の先生に連れられて体育館に行き、入学式はなんなく終わった。
引率の先生に「先生が担任ですか?」
と聞くと、「いや、ただの引率です。担任の先生は入学式の後、クラスで紹介になりますよ」
といわれた。
どうやらこの高校は担任の先生をギリギリまで教えないという変わった傾向があるようだ。
まぁ、どうせ名前だけ発表されてもどんな先生か分からないので別にいいのだが……
自分たちの教室に入り、出席番号順に座ると引率の先生は
「もう少しで担任の先生がいらっしゃられるからもうちょっと待ってくださいね」
といって廊下に出て行き、数分すると戻ってきた。どうやら担任の先生を迎えに行っていたらしい。
廊下にはもう一人の人の姿がうっすらと窓越しに見えた。
「はい、担任の先生がいらっしゃいました。
これから一年お世話になる先生です。みなさんしっかりとあいさつしましょう」
と、引率の先生はご丁寧に説明してくださいました。って俺たちは小学生か!
心の中で軽く突っ込むが、引率の先生には聞こえるはずもなく、話を続けている。
「それでは、入ってもらいましょう。皆さんの担任の新志村美月(にしむら みづき)先生です」
え………?
聞き覚えのある名前が耳に入り、慌てて顔をあげてしまう。聞き間違えか、それとも同姓同名か……
けれど、目に映ったその顔は、間違いなく知っている人のものだった――――

「皆さんの担任の新志村美月先生です」
そう引率の先生が言った時、私は思わず驚いてしまった。
まさかそんなはずは……と思ったのだが、入ってきた若い女の先生をみると、驚きが驚愕へと変わる。
慌てて翔ちゃんの方を見ると、翔ちゃんも驚きから固まっていた。
いや、食い入るように見つめていた。
なんであの女がこの学校に……
新しい高校生活が始まるから、悪い虫が翔ちゃんにつかないようにと
今日も朝から掲示板の前という目立つところで翔ちゃんと私たちをアピールしたのだ。
高校生にもなると知らない女どもがたくさん湧いてくる。
しかも湧くだけならまだいいのだが、別の中学の男子でかっこいい人やかわいい人がいると
キャーキャーさわぎ、近づいてこようとするのだ。
その辺、今朝の私たちの作戦は成功したといっていいだろう。
女どもの会話を聞く限り、翔ちゃんの話題は出てこないし、
出てきたとしても私たちの名前とセットであった。
けれど、まさかあんな予想外の女が出てくるとは……
『新志村 美月』
翔ちゃんが小学三年生のとき知り合った高校生の先輩。
なぜ小学三年生の翔ちゃんが当時高校一年のあの女と知り合ったのかは知らないが、
翔ちゃんに誘われてよく私たちもあの女のところに遊びに行ったことがある。
高校生だから当時の私たちが知らないような事もたくさん教えてくれたし、勉強も教えてくれた。
その点は感謝してるが、私はあの女が大嫌いだった。
たぶん眞保ちゃんも嫌いだったと思う。

だって……

あの女は翔ちゃんに色目を使っていやがった!!
高校生のくせに小学生に色目を使い、発育した体を武器に翔ちゃんを誘惑していたのだ。
しかもそのせいで翔ちゃんが騙され、あの女に恋をしてしまった……
私たちの翔ちゃんがとられてしまう。小学生だった私たちでも、そのことは自然と理解できていた。
だから表では従順なフリをしつつも、あの女のことが大嫌いだったのだ。
けれど、それも長くは続かなかった。
高校二年も後半になってくると、女は大学受験の勉強があるからと翔ちゃんに会わなくなったのだ。
そして大学受験が済むと今度は大学に行くから会う事ができない。
私たちが小学4年の冬を最後に、あの女は私たちの目の前から姿を消したのだ。
会えなくなったすぐ後では翔ちゃんはすごく落ち込んでいた。
だから私たちが、ゆっくりと翔ちゃんの頭の中からあの女のことを消そうと慰めてきたのだ。
だから翔ちゃんは笑顔を取り戻し、私たちの元に戻ってきてくれた。そう、信じていた……
けれど、あの女が戻ってきた。まさか翔ちゃんがいまさらあの女に惹かれるとは思わないが……
万が一ということもある。今のうちからなにかしら対策を考えたほうが良さそうだ。

今日1日、俺はまともに思考をめぐらす事ができなかった。
入学式の日だから、まだ授業があるわけでもなく、
ちょっとしたホームルームや学校説明だけだったのだが、
頭の中ではずっと担任の先生のことばかり考えいていた。
新志村先生……いや、美月お姉ちゃん。会えなくなってかなりの年月が経っているが、
美月お姉ちゃんはあのころと変わらない笑顔で俺を見てくれた。
いや、あのころよりもずっと綺麗になっていると思う。
そんなことを思いながら美月お姉ちゃんのことを考えていると、
子供のころの思い出が次々と思い出された。
勉強を教わった事。いろいろな知識を教えてくれたこと。中学や高校の様子。
一緒にプールに泳ぎに行ったり、バーベキューをしたり、花火を見たり、
そして、お姉ちゃんに恋をしたこと……
楽しかった思い出を思い出すたびに、俺は嬉しさで顔をほころばせていた。
また、あの美月お姉ちゃんに会えたんだ。しかも自分たちの担任。これから毎日会う事ができる。
確かに当時は恋をしていたけれど、いまは別にそんなことはどうでもよかった。
ただ、長い間会えなかったのに会えた事が純粋に嬉しく、そして、懐かしかった。
そんなこんなでぼーっとしたままその日の学校を終えると、俺はぼーっとしたまま帰路についた。
けれど、俺はまっすぐ家には帰らず、寄り道をしていく。
ここは初めてお姉ちゃんとあった交差点。
買い物の帰り道だったお姉ちゃんと俺はぶつかってしまい、
お姉ちゃんは手に持っていた荷物をばら撒いてしまい、俺はそれをあわてて拾った……
そんなベタな出会いが俺と美月お姉ちゃんが知り合ったきっかけであった。
しばらくあるいていくと、小さな公園に行き着いた。ここもお姉ちゃんとの思い出の場所。
つらいことなどがあったら、ここでブランコを漕ぎながらお姉ちゃんに相談したりしてたっけ……。
そんなことを思い出しながら、俺は小学生以来漕いだ事のないブランコに座り、
ゆっくりと漕ぎ始める。
何時間くらいそうしていただろうか……
空がオレンジ色に染まりかけてきたとき、急に背後からクラクションが聞こえた。
振り返るとそこには赤いスポーツカー。空いた窓からは美月お姉ちゃんが顔を出し、
こっちに手を振っていた。
「この時期はご両親いないんでしょう? ちょっとうちに来ない?
  晩御飯くらいならご馳走できるよ?」
突然のお誘いに驚くが、親がいないのは本当なので俺はありがたくご馳走になる事にした。
両親がともにデザイナーの仕事をしている我が家では、この時期になると
両親が数ヶ月海外に働きに行くのだった。
それは俺がお姉ちゃんとあったころから変わらず、今も続いている。
車に乗ったのはよかったが、いざお姉ちゃんと二人っきりになるとなかなか話しかけることができず、
俺は黙ったままだった。
お姉ちゃんもまだ免許を取って日が浅いからか、こっちに話し掛けようとはせず、
慎重にハンドルを切っていた。
「さぁ、入って入って。一人暮らしの狭いアパートだけど、掃除だけはきちんとしてあるから」
街のはずれにある住宅街のアパートの駐車場に車を止めると、
お姉ちゃんは自分の部屋の鍵を開けつつ、俺を部屋の中へと促す。

「おじゃましま〜す……」
女の人の部屋に入るという緊張感から、ゆっくりと部屋の中に入っていく。
いかにも女性っぽいといった可愛らしいカーテンや家具などが目に入ってくる。
お姉ちゃんがいっていた通り、部屋の中は綺麗に整頓されており、掃除も行き届いているようだった。
「そんなに緊張しないでいいよ。もっと楽にさ♪」
笑いながら軽く俺の肩を叩くと、お姉ちゃんは部屋の奥の一室へと向かっていく。
「ちょっと着替えてくるから、適当にその辺に座っててね。
それと……かってに女性の部屋をいじくったらダメだぞ」
と、にやけながら部屋へと消えていく。言っておくが、俺にそこまでの勇気はないです。
しばらくすると、お姉ちゃんが部屋から出てきた。
スーツ姿のときはピシッとしているのだが、私服に着替えると可愛いデザインのせいか、
昔のお姉ちゃんのままのような気がして、急に緊張感が取れる。
「それにしても大きくなったね。間江寺ちゃんは」
テーブルをはさんで向かいがわに座ったお姉ちゃんは頬に手をついて、
こちらの顔をゆっくりと上から下まで見ていく。
「もう間江寺ちゃんはやめてくださいよ。美月おね……いや、新志村先生」
「ん〜ん、おねえちゃんでいいよ。じゃぁ、私は翔太ってよぼっかなぁ」
名前で呼ばれるのもなんだか恥ずかしい気がしたが、俺はそう呼ばれることを承諾した。
それからは俺たちは会えなくなってからの事をお互いに話し始めた。俺は小学の事、中学の事。
お姉ちゃんは高校の事、大学の事、教員試験の事……
一度緊張が解けると話が弾むもので、気付けばかなりの時間がたっていた。
「そういえば晩御飯ご馳走するんだったね。ちょっと待ってて、すぐに作るから」
そういうとお姉ちゃんは台所に向かい、さっさと準備をはじめる。
「大学4年間で腕を上げたからね。ぜったい翔太驚くよ?」
一度だけ小学生のときにお姉ちゃんが作った料理を食べた事があるのだが、
あの時は塩と砂糖を間違えていたらしく、とても微妙な味の料理を食べた記憶がある。
心配しながらも待っていると、台所からおいしそうな香りが漂ってきはじめ、
しばらくすると両手にお皿を持った美月お姉ちゃんが出てきた。お皿を机の上に置くと、
「ご飯ついで来るから少し待ってね」といい、再び台所へ向かう。
机に置かれたお皿には、おいしそうに湯気を立てた焼きたての和風ハンバーグが置かれていた。
見た目は完璧、匂いもおいしそう。どうやら大学で腕を上げたのは本当のようだ。
お姉ちゃんが戻ってきて、二人とも席につくと、いただきま〜すとそろって合掌をし、食べ始めた。
箸でハンバーグを一口サイズに切り、そっと口の中へ運んでいく。
美月お姉ちゃんはそれを嬉しそうに眺めていた。
「おいしい、すごくおいしいよお姉ちゃん!」
口に入れてかんだ瞬間、ジューシーな肉汁が口の中に広がっていく。
和風の醤油風味のソースもちょうどいい濃さで、味もバッチリだった。
「よかった。よろこんでもらえて」
食事が済んだ後も、俺とお姉ちゃんは楽しくこれからのことなどを話し合った。
「あ、そうだ。ちょっと見せたいものがあるから、こっち来て」
急にそう言って立ち上がると、お姉ちゃんは先ほど着替えていた部屋へと進んでいく。
扉に手をかけ開けると、先に俺に入るように手招きした。
なんだろう、と思いながらおれは部屋へと入っていく。
俺が入り終わると、お姉ちゃんも部屋の中に入り体の後ろで扉を閉めた。
寝室らしく、その部屋にはベッドと、洋服用のクローゼットがあるだけだった。
「それで、みせたいものって?」
「それはね……」そういってお姉ちゃんは俺に近づいてくると、
いきなりベッドの上に押し倒してきた。
「な、何を!」
「……私を、見てほしいの」
「え―――――――――――」

「……私を、見てほしいの」
長年秘め続けていた自分の思いを、素直に翔太に伝えていく。
「私はあの時から翔太が好きだった。けれど当時は小学生。
さすがにどうかと思ってたけど、翔太はもう高校生。
それに、あの時よりもさらにかっこよくなってた。だから、私だけを見てほしいの」
私は、ズボンの上から翔太の股間をなで上げていく。
それに反応するように、翔太のそれは少しずつ熱く、硬く大きくなっていく。
「お、おねえちゃん、な、何を」
急な出来事に翔太は驚いたように声を上げ、そして顔を赤らめていく。
私は昔から翔太が好きだった。それは今でも変わらない。そして、翔太も私が好きだったはずだ。
当時の彼が私を見る目は、明らかに私を恋しているものだった。
だから、今でもそうであろうと私は信じている。
初恋の相手が久しぶりに目の前に現れたならなおさらだろう。
翔太の驚きを横目に、私は少しずつ手の動きを大きく、強くしていく。
「だ、だめだよお姉ちゃん。こんなことしちゃ……」
さすがに高校生。これからすることがどんな事か理解しているんだろう。
口では抵抗しつつも、翔太の顔はどんどん赤らんでいき、
それはズボンを押し上げるほどに大きくなっていた。
「初めてなんでしょ? お姉ちゃんが優しくしてあげる」
恥ずかしさで身動きができない翔太のベルトをはずし、手をかけてズボンごと下着を脱がそうとする。
「ねぇ、やめてよお姉ちゃん!」
相変わらずも恥ずかしさから抵抗している。
翔太もまだまだ子供なんだなと思いながら、一気に下着を取り去った。
「………大きい」
すでに熱く反り返っているそれは想像以上に大きく、黒く、グロテスクな感じをかもし出している。
「うふふ、皮被ってるね。お姉ちゃんが剥いてあげる」
翔太の肉棒を片手で優しくつかみ、もう片方の手で下にずらすように皮を剥いていく。
つるん
皮という拘束具がはずれた事により、翔太の肉棒はより一層膨張し、赤く脈打っていた。
「ほんとにやめてよ、こんなことしちゃだめだよ」
いまだに続く翔太の声を聞きながら、私は肉棒に口を近づけ、しゃぶるように優しくそれを口に含む。
ぴちゃぺちゃ
「うっ!!」
これまで感じたことのない感覚に、翔太が体を振るわせる。
そんなウブなところが、翔太が童貞だということを物語っていた。
それまで皮を被っていた亀頭は強い生臭さを発しており、
外気にさらされていなかった事によりより強い快感を翔太に与えていた。
「む……んちゅ、ずちゅ……んあ」
ゆっくりと肉棒を全て口に含むと、上下に顔を動かしながら、
舌を使っていろいろなところを舐めていく。
「お姉ちゃん、やめて、俺……こんなこと」
翔太はすでに全身の力が抜け、抵抗する気はないようだった。
つまり、それは私を受け入れてくれたってことだ。
私はいったん肉棒から口を離すと、自分の服を脱ぎ捨て、翔太の上にまたがる。
「私が、翔太の初物マツタケを狩り取ってあげる」
片手で翔太の肉棒を固定すると、自分の恥部を擦り付けるようにあてがう。
「ま、まって…おねえちゃ」

ずちゃ!
愛液の水音とともに、翔太が私の膣内を貫く。
貫かれるとともに、全身を襲うような激痛がわたしの体の中を駆け巡る。
「く、……ふぅぅ!!」
痛いとは聞いていたが、翔太の侵入には予想以上の痛みがともなっていた。
結合部からは純潔の証の赤い液体が滲み出してくる。
「お、おねえちゃん、それって……」
滲み出してきたそれをみて、翔太が驚きの声を上げる。
まさか翔太は私が処女だったとは思っていなかったようだ。
「……っ、あはは、……ずっと、この……ときまで、守ってきた、んだよ?」
痛みに顔をゆがめながら、なんとか笑顔を作りしゃべる。
「じゃぁ、動くね」
痛みが引いてくると、私は翔太のために腰を上下し、肉棒を膣ですりあげる。
痛みが消えたわけではないが、痛みすらも翔太との交わりの証。
私はそれさえも嬉しさから受け入れる。
ずちゅずちゅ
私は翔太を喜ばすために、一生懸命腰を振りつづける。
「あん、……はぁっ!」
「う……おねえ……ちゃん」
すでに痛みは消え、私の中も翔太の中も快楽だけが体を支配していた。
腰を振りながらも、私は翔太の手を取ると豊富な胸へと持っていき揉ませるように手を動かす。
自然と翔太も自ら手を動かし、私の胸を揉みだした。
「ん………」
翔太のやわらかい唇に口付けをすると、むさぼるように自分の唇を押し付け、
口の中に舌を侵入させる。
最初は戸惑っていた翔太だが、次第と自分から舌を絡ませるように動かしてきた。
その動きがぎこちなくて初々しくて可愛い。口付けをしながらも、私は激しく腰を振る。
「だめだ、おねえちゃん、おれ、もう……」
私の中で翔太の肉棒がより一層大きくなり、何かをたえるようにぴくぴくと震えだす。
「いいよ、きて、私の……中に」
ラストスパートをかけるように私はよりいっそう激しく腰を振り、翔太の肉棒を締め付ける。
「う、あ………ダメだ!」
どん
「えっ……?」
翔太の肉棒から白濁の液体が出る瞬間、翔太は私の体を突き放した。
その衝撃で私の膣から翔太のものが抜け、白濁がベッドの上に飛び散る。
「どうして………?」
信じられない。愛し合っているはずなのに、いいよっていったのに、翔太は私を直前で拒んだ。
「おねえちゃん、ごめん。俺……まだ学生だし、責任取れないし……
それに、俺たち教師と生徒って関係だからさ。こういうことはまずいよ。
それに、俺はまだ自分の心がわからない」
ほんとにごめん。というと、翔太は気まずそうに自分の下着とズボンをはき、
私の部屋から出て行った。
後には、裸でぽかんと口を開けたままの私と、翔太の白濁がベッドの上に残っていた。

どうにかしないと……
そう思いながら、私と志保ちゃんは自分の席についた。
入学してから二日目。担任が翔ちゃんを奪い取る前に何とかしないと。
考えているうちに、担任が教室に入ってきてホームルームが始まる。
そのとき、私は違和感に気がついた。
あれ……?翔ちゃんが担任を見ていない?
昨日あれほど担任を見つめていた翔ちゃんが、
どういうわけか担任の方をまったく見ようとしていなかった。
それどころか気まずそうに顔をそらしてばかりいる。
担任も時々翔ちゃんのほうを見るのだが、顔をそらされ、悲しそうに話を続けていた。
昨日何かあったんだ。それも、担任のほうから……
まさかこんなにも早く担任が動くとは思っていなかった。ならば私も早く行動するしかないだろう。
どうやら担任は昨日うまくいかなかったみたいだ。なら、チャンスは今しかない。

私はカバンの中から、家から持ってきたナイフを取り出す。
そしてそれを自分の制服の中に隠しいれると、昼休みに翔ちゃんを屋上に呼び出した。
普通高校といえば昼休みになると屋上に生徒が集まるのだろうが、
うちの学校はどういうわけか屋上には誰も寄り付かなかった。
だから、人を呼び出すときなどは誰にも見られることなく話をすることができる。
一足先に屋上につくと、翔ちゃんが来るのを扉を見ながら待ちつづける。
しばらくすると、階段を上がる足音がし、扉が開いて翔ちゃんがやってきた。
「眞保、話って何だ?」
屋上にくるや否やストレートに話題に入ろうとする翔ちゃん。
その辺が昔から変わらない翔ちゃんの特徴でもあった。
だから、私もまわりくどい事はやめて、ストレートに本題に入る。
「前から翔ちゃんのことが好きでした。私と……付き合ってください!」

私がそう告げると、翔ちゃんは驚いたように動きを止めた。
あまりにも急激過ぎただろうかと思い、もう一度口を開こうとすると、先に翔ちゃんがしゃべった。
「何で……俺なの? 最近俺はお前たちを避けてばかりだし、
お前たちは俺をからかってばかりなのに……」
鈍い、気付いてなかったのかこの男は。普通あそこまでやると気付きそうなものなのだが……
まぁ、この際はどうでもいいだろう。
「避けられたのはしょうがないの。私たちがからかいすぎたんだから。
でも、それも私なりの愛情表現の1つだった。でも、それが嫌だって言うんなら私はもうしない。
それに、私と志保ちゃんが区別できないって言うんなら……」
そういうと私は制服の中からナイフを取り出し、刃をかまえ、
「お、おぃ、何を……」
特徴であった結んだ髪に刃をあて、一気にナイフを引いた。
ふさぁ
切り取られた髪が風に乗って舞い散っていく。
「これで、志保ちゃんと区別がつくでしょ?」
女の命とも言われる髪を目の前で切られ、翔ちゃんは驚き固まっていた。
しかし、すぐに真顔に戻り、しばらく悩んだような顔をすると、
顔を上げまっすぐ私の目を見つめてきた。
「眞保の気持ちはよく分かった」
「そ、それじゃぁ……」
「いいよ、付き合おう――――」

まさかとは思っていたが、やはりいきなり眞保から告白されたときには驚いた。
眞保が俺のことを好きだなんて気付かなかったし、所詮男のささやかな願望だと思っていたからだ。
しかし、いざ告白されるとなかなかOKと返事できないのが情けなかった。
昨日の事が、頭をよぎったからだ。
中には出していないとはいえ、お互い初めて同士で美月お姉ちゃんとセックスをしてしまった。
しかも、俺のほうから一方的に行為を中断し、何も言わないまま帰ってしまったのだ。
昨日お姉ちゃんに告白されて嬉しかったか、と聞かれれば俺は嬉しかったと答えるだろう。
初恋の人が自分を好きだったといってくれたのだから。
しかし、愛しているのかときかれるとYESとは答えられなかった。
確かにお姉ちゃんは初恋の相手だ。しかし、それは昔の話。あの時からすでに何年もたっている。
そのせいか、昔ほどお姉ちゃんのことを身近な存在と感じ取る事はできなかったし、
少し離れた存在のようになってしまっていた。
だから、俺はお姉ちゃんを愛しているとは言えなかった。
正直言うと、もう会いたくなかった。
向こうはこっちを愛しているとはいえ、こっちの気持ちを確かめるまでもなくセックスを……
だから、俺はお姉ちゃんときっぱり別れるために、眞保の告白を受け入れた。
「いいよ、付き合おう――――」
眞保のことは嫌いじゃなかった。どちらかというととても気になっていた、というべきかもしれない。
でも、それが眞保なのか志保なのかと聞かれれば困るのだが、
こうして眞保のほうから告白をしてきて、しかも自ら髪を切ってくれた。
ならば俺は眞保を本気で愛する事にしよう。
これがお姉ちゃんとの関係を断ち切るための関係ではなく、
本当の恋人同士の関係へとなるために………

 

 

眞保ちゃんが昼休みが終わって教室に戻ってきたとき、私は思わず声を上げて驚いてしまった。
姉妹おそろいの髪形が変わり、ショートヘアーになっていたからだ。
それだけならまだ、驚きだけで済んだのだが隣りにいる人物を見て
私はどうしていいか分からなくなった。
翔ちゃんといっしょにいる。しかも、お互いに顔を赤くしながら寄り添うように……
それだけで私は理解してしまった。眞保ちゃんが私を出し抜き、翔ちゃんに告白したんだと……
私たちはいつも一緒だった。姿は一緒だし声も一緒。好みも一緒だし髪型も一緒。
考えも一緒だし好きな人も―――
私たちはお互いに翔ちゃんのことが好きだった。
小さいときからずっと、あの女があわられる前からずっと。
だからあの女が消えてからは二人して一緒に翔ちゃんを慰めてきたのだ。
私たちは二人で一人。お互いの気持ちに気付いていたからこそ
一緒に翔ちゃんを愛しようと思っていたのだった。
たとえ翔ちゃんが私たちを愛さなくても、たとえ翔ちゃんがどちらかを好きになろうとも……
しかし、眞保はその私の思いを裏切った。
自分から、しかもお揃いの髪を切ってまで翔ちゃんに告白したのだ。
怒りがふつふつと湧いてくる。
いつもなら私と話してから席につくのに、眞保は翔ちゃんと笑みを交わし自分の席についた。
許さない。翔ちゃんを自分だけのものにした。翔ちゃんを私から奪った。
あの女じゃない。仲間だと思っていた眞保にとられた。それが、私の心を黒く染めていく。
そうか、眞保はそんな手段をとるか。ならば、私もあらゆる手段をとろう。
翔ちゃんを取り返すために。私の、私だけのものにするために―――

私は授業が終わると、一人で家に帰った。いつも横にいる眞保はいない。
翔ちゃんと一緒にゆっくりと帰っているからだ。
家に着くと、机の上に一枚の紙が置いてあった。
『今日はお父さんの仕事の関係で外泊します。食事は適当に取っておいてね』
どうやら、親は今日は帰ってこないらしい。仕事だといっているが、私は知っている。
私たちがいるから家ではセックスができない。
だから月に何回かは二人そろってホテルに泊まりに行く事を……
親がいないなら好都合だ。
私はたったいま思いついた考えに微笑しながら、眞保が帰ってくるのを待った。

「ただいま〜。志保ちゃん帰ってる?」
玄関から明るい眞保の声が聞こえてくる。
翔ちゃんと帰ってきたからだろうか、むかつくほどに上機嫌な声だった。ぎり、と奥歯を噛み締める。
いや、まぁいいか。これから私の復讐が始まるのだから。
「あれ?志保ちゃんいないのかな?お母さんもいないみたいだし……」
部屋の中をうろつく眞保に気付かれないように身を隠しながら、私は機会をうかがっていた。
そして、眞保が私の目の前を通過したとき……
私は急に飛び出し、気配に気付き振り返ろうとした眞保の頭を思いっきり厚い本で叩いた。
「きゃっ!」
短い悲鳴とともに、眞保の体が崩れ落ちる。どうやら見事に気絶してくれたようだ。
私は気絶した眞保の体を抱え上げると、手足を縛り、
口をガムテープで塞いで自分たちの押入れに押し込んだ。
そして、準備ができると私は受話器を持ち上げ、慣れた手つきで番号を押していく。
「あ、翔ちゃん?眞保なんだけど……今日、両親と志保ちゃんが出かけてて、私一人なの。
翔ちゃんも今ご両親いないんでしょ?だ、だからね、今日……うちにこない?」

電話を終えると、私はナイフを持って眞保のもとへともどる。
気絶したままの眞保の頬をナイフの腹で軽く叩き、目を覚まさせる。
「眞保ちゃん?目覚めた?あはは、自分がどんな状況かよくわからないみたいだね」
目を覚ました眞保は、なんで?というふうな視線を私に投げかけてくる。
しらじらしい。分かっているくせに知らないフリをする。それが私をさらにむかつかせる。
「なら、状況を教えてあげようか? えっとね、今日は両親はいないの。
そして、いまから翔ちゃんがうちにくるんだぁ。そして家には私しかいない。ね?
どういうことか分かるでしょ?」
そこまで聞くと、眞保の顔から血の気が引いていく。私がどうするつもりなのか気付いたようだ。
「でもね、彼は私に会いに来るんじゃないの。
可愛い可愛い恋人の眞保ちゃんに会いに来るの。だからね、私はこうするんだぁ」
私はナイフを取り出し、眞保と同じように髪の毛を切り落とす。
「私との区別をつけるために髪を切ったみたいだけど、私もこうしてしまえば区別つかないでしょ?
もともと翔ちゃんは私たちの区別がつかないんだから。だからね?私が翔ちゃんを食べちゃうから♪」
にやりと眞保に笑いかけ、何かを言おうと頑張る眞保を無視して私は押入れの扉を閉める。
そこで虚しく聞いているがいい。私と翔ちゃんが交わる音を……

しばらくすると、玄関のベルが鳴った。翔ちゃんが来たのだ。
私は精一杯の笑顔を浮かべ、翔ちゃんを招き入れる。
部屋に入ると、用意してあったお菓子を食べたりジュースを飲みつつ、
これまでの思い出話を話したりした。
ここでミスるわけには行かない。
私は自分の記憶の中の眞保と志保を入れ替えながら、うまく話をあわしていく。
まぁ、翔ちゃんは元から私達の区別が付かないのでそこまで神経質になる必要はなかったのだが……
そして、タイミングを見計らって、とうとう切り出した。
「私たち、恋人同士になったんだよね。だから……もう、してもいいんだよね?」
うつむき、恥じらいながら上目遣いで翔ちゃんを見つめる。
「髪だけじゃない。翔ちゃん自身で私の体に違いをつけて……」
翔ちゃんも赤くなりながら、静かに頷いた。
「うん、しよう……」

私は知識しかないのだが、翔ちゃんもマニュアル通りしか知らないらしく、
お互いに緊張しながらの性交渉が始まった。ベッドに横になった私の服を、
翔ちゃんがごくりとのどを鳴らしながらゆっくりと脱がしていく。
高校生になっても発育してない小さな私の体があわらになった。
はずかしい……
自分の体があの翔ちゃんに見られていると思うと、恥ずかしくて翔ちゃんを直視できなかった。
翔ちゃんは、慎重に私の小さな胸を触ると、撫で、舌を使って舐めていく。
翔ちゃんの手が、舌が私の体を這い回るごとに、
私は快感に体をのけぞらせ、恥部からはじわりじわりと愛液が滲み出していた。
「そろそろ行くよ……」
一通りの前戯が済むと、翔ちゃんは自分のモノを取り出した。
はじめてみるそれは大きく、黒かった。
あはは、これで翔ちゃんは私のものになる。眞保のものではなく、私のものになる。
私だけの、翔ちゃんになる……
翔ちゃんは私の恥部に肉棒をあてがうと、ゆっくりと私の中に侵入してきた。
「っっっ!!!」
膣が裂けるような痛みが私を襲う。
よくセックスは相手と一つになるとか言うが、まったくそんな感じではなかった。
異物。自分の中に自分以外の物が入ってくる感覚。
それは気持ちいと言えるものではなく、どちらかというと不快な感じであった。
けれど、あの翔ちゃんとつながっている。
その意識が、私の不快感を快楽へと変えていく。これが愛の力なのかもしれない。
「ゆっくりと動くよ?」
私が処女だと分かると、翔ちゃんは優しく動き始めてくれた。
ゆっくりと、ゆっくりと、優しく、痛くないように……
その動きがなんだか慣れているようで、私は疑問に思った。
まさか、翔ちゃんは初めてではないのではないだろうか……
今日の朝の落ち込みよう。あの女への翔ちゃんの対応。まさか、昨日の夜に……
ぎりり、と再び奥歯を噛み締める。するとそれを痛みに耐えるためと思ったのか
「ごめん、もうちょっと優しくしようか?」と彼は聞いてきた。
まぁ、今は他の事を考えるのはやめよう。初めてをとられてしまったのならもう遅い。
ならば、翔ちゃんを私で染め直そう。私以外とはできなくなるくらいに、完璧に――――
「ううん、大丈夫。もっと……動いていいよ?」
「そう?じゃぁ、痛かったらちゃんと言ってね?」
そういうと、彼は再び腰を動かし始める。
じゅちゅじゅちゅ、ぱんぱん
部屋の中には私の喘ぎ声、翔ちゃんの声、結合部からのいやらしい水音と、
肉と肉のぶつかる音が響き渡っている。
いまごろ眞保はこの音を聞いて、押入れの中でどんな気分になっているのだろうか。
くくく、あはははははっ!私を裏切った事、暗い押入れの中で後悔しつづけるがいい。
「眞保、そろそろ、俺は……限界だ」
眞保と呼ばれるのは気に食わないがこの際そのくらいはいいだろう。
「いいよ。出して、私の中に出して。私の中を、翔ちゃんで満たして!」
「う……くっ、出る、出すよ!」
翔ちゃんは一段と肉棒を奥深くに入れると、私の中に翔ちゃんをぶちまけた。
「ああぁぁぁぁぁぁっっ!!」

お互いにシャワーを浴びて服を着替えると、赤くなりながらも、
それじゃ…といって翔ちゃんは帰っていった。
作戦は成功。翔ちゃんは最後まで私だと気付かなかった。
上機嫌なまま私は自分の部屋に戻ると押入れを開ける。
中には目を真っ赤にし、涙を流す眞保の姿があった。
「あはは、いい気味。私を裏切って抜け駆けなんかするからよ。でも、残念ね。
私、翔ちゃんと繋がっちゃった♪中にも出されたし、私妊娠しちゃうかなぁ」
それを聞くとますます首を左右に振りながら、眞保は泣き崩れる。
私はそれを思いっきり笑いながら眞保のロープやガムテープをとっていく。
「いい? 翔ちゃんは私のものなんだから邪魔しないでよね?」

 

 

次の日に学校に行くのはなんだか恥ずかしかった。だって昨日眞保としちゃったからだ。
だから、朝から顔を合わせるのが気まずく、今日は一人で早くに登校していた。
「それにしても、眞保気持ちよかったな……」
昨日の事を思い出しながら、俺は自分のものを大きくさせていた。
初めてはお姉ちゃんだったが、あの時はいきなりだったのでそこまで感覚を楽しむ暇がなかった。
けれど、今回は恋人同士でゆっくりとやった。その分、ゆっくり快楽を味わう事ができたのだ。
それに眞保の膣の狭さといったら…… 
お姉ちゃんは処女だったといえど、完成された大人の体型だったからか
そこまで締め付けは強くなかった気がする。
けれど眞保は未発達のロリ体型。膣は狭く、俺のナニをぎゅうぎゅうと締め付けてきていた。
「また、やりたいなぁ……」
と、そんなことを思いつつ、俺は学校へと向かうのであった。

学校についてしばらくすると、佐倉多姉妹がやってきて俺は驚いた。
二人の髪型が一緒だったからだ。
それに気付いた片方が髪に手をやり、答える。
「ん? これ? あぁ、眞保ちゃんが短くしたみたいだから私も短くしたの。
私たちは双子でおそろいなんだから♪」
眞保ちゃん、と言っていたから志保の方だろう。ねぇ〜と隣りの眞保に同意を求めている。
眞保はというと、昨日の事が恥ずかしいのか、俺とは目を合わせようとせず、
自分の席に歩いていった。
「ねぇ、昨日から眞保ちゃんが変なんだけ翔ちゃん何か知ってる?」
志保の方が俺に話し掛けてくる。昨日俺は眞保と一緒に歩いて帰った。
だから、俺たちが付き合ってるってことを知ってるんだろう。だから俺にこう聞いてきたのだ。
だが、まさかエッチをした、とは言えるわけもなく、俺は適当にごまかしておいた。
「ふ〜ん。そっかぁ」
と、意味ありげな笑みを残して、志保も自分の席についた。

 

 

学校で翔ちゃんに会ったとき、私は悲しくて顔を合わせることができなかった。
翔ちゃんは昨日私とやったつもりでいるのだろう。
けれど、それは私ではなく、志保ちゃんだったのだ。
わたしは担任の出現であせり、大切な事を見失っていた。
志保ちゃんだって翔ちゃんのこと好きだったんだ。
だからこそ、二人で翔ちゃんと仲良くしていこうと、
言葉には出さなかったけれどお互いに信じてきたのだった。
けれど、それを私は破ってしまった。志保ちゃんが怒るのも無理はない。
だから、私は志保ちゃんを怒ったり憎んだりする事はできなかった。
けれど、私はこれからどうすればいいんだろうか。
志保ちゃんからは邪魔をするなと釘を刺されている。
けれど、翔ちゃんは私としたつもりでいるのだ。
まさかこのまま志保と眞保を入れ替える、なんてことまでしないとは思うんだが……
ここは別れ話を切り出したほうがいいのだろうか。
うん、そうしよう。私が志保ちゃんを裏切ってしまったんだ。
それぐらい、私がちゃんとしないと……

よっぽどあのことが恥ずかしかったのか、眞保は数日間俺とは顔をあわせようとはしなかった。
その度に志保に「何か知ってる?」と聞かれるのだが、俺は答えることができなかった。
まさか、俺がひどい事をした、ひどい事を言ったと思っているのだろうか。
あまりにも眞保が俺を避けているな……と思い始めたころ、眞保が急に話があると言ってきた。
けれど、俺はその日は用事が会ったので遅くなる、というと、眞保はじゃぁ翔ちゃんちに夜行くね。
とだけ言うと、自分の席へと戻っていった。
夜に俺のうちへ来る……それはつまり、またやりたいってことではないのだろうか?
つまりここ数日俺を避けていたのは、あの行為が予想以上に気持ちよくて、
眞保もまたやりたかったってことじゃないだろうか?
けれど、そんなことを言えば自分がえっちな子って思われてしまう。
だから、時間を置いたのではないだろうか。
ならば、俺はその気持ちに応えよう。えっちな子なんて思わない。
だって恋人同士なのだから。してあたりまえなんだ。
そう思うと俺は嬉しくなって、急いで用事を済ませに行った。

用事が済むと、俺は準備に取り掛かった。
シャワーを浴び、歯も磨き、下着も新しいものに履き替える……
なんだかそんなドラマのような行動をするのが恥ずかしく、また楽しかった。
ピンポーン
約束の時間になるとドアベルが鳴った。ドアを開けると、そこにはうつむいた眞保が立っていた。
これからすることが恥ずかしいからだろう。
「さぁ、あがって」というと、眞保は俺について部屋へと入ってきた。
「で、話なんだけど……」
と眞保がいいかけたところで、俺は眞保を押し倒した。
再びエッチしたいなんて女の子が言うのはとても恥ずかしい事だろう。
だから、眞保が恥ずかしい思いをする前に、俺のほうからしてあげようと思った。
これなら眞保から誘ったわけではなく、俺がやったことになるから。
それなら、眞保はえっちな子って気にしなくて済むのだから……
「ちょ、ちょっとまって、は、話を……」
眞保が何かを言いかけるが、俺はそれを言わせないよう、
眞保の口を自分の口で塞ぎつつ、服を脱がしていく。
「らめ、はな、ひを……」
二回目だから一回目とは違い、最初からけっこう激しく前儀をすると、眞保は力が抜けたのか、
呂律がまわらなくなっていた。
もう我慢できない。前儀もほどほどに、俺は自分の物を取り出す。
それをみた眞保が目を見開き、体を引こうとする。
「らめ、まって!」
俺はかまわず眞保の体を引き寄せると、自分の肉棒を眞保の恥部にあてがい、一気に突き入れた。
ぶちっ!
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」
何かを突き破るような感覚がペニスにしたかと思うと、部屋の中に眞保の悲鳴が響き渡った。
そして、結合部からは鮮血が滲み出している。
「え――――――」
一瞬俺はわけがわからなかった。なぜ、眞保の膣から血が出るのだろう。
眞保は処女じゃないはずなのに……
頭が真っ白になった俺から眞保は離れ、服を着てしゃべりだした。
「この間のは……私じゃなくて志保ちゃんだったの」
それから、眞保はこれまでの経緯を話し始めた。
二人とも俺のことが好きだったこと。
眞保が志保を裏切り、俺に告白した事。志保がそれに怒って、あんな計画をしたこと……
俺は信じられなくて、認めることができなかった。

「うそ……だ」
もし本当なら、俺は眞保を強姦したも同然になる。
たしか眞保はさっき待ってと言ってなかったか、ダメと言ってなかったか……
けれど、シーツについた赤い眞保の血が、それらが事実だった事を告げている。俺はなんてことを……
「だからね、私今日は翔ちゃんと別れようと話をしに来たの。
裏切った私が、志保ちゃんから翔ちゃんを取ることはできないから。
だから、あの告白は志保ちゃんからって思って。だから……さよなら」
それだけ言うと、眞保は俺の家から出て行った。
取り残されたおれは、ただ呆然とするのみだった。
この1週間で三人の女性としてしまった。
一人にはいきなり襲い掛かられ、一人は彼女と思ってやったのに本人ではなかった。
最後の一人にいたっては、俺からの無理やりだった。
俺はどうすればいいんだ……

次の日、俺は学校に行く事ができなかった。どうあの双子に会えばいいか分からなかったからだ。
俺が愛しているのは眞保なのか、志保なのか……。
美月お姉ちゃんとあんなことがあった後だからと、簡単にOKなど出したのが間違いだった。
俺は自分の心が分からない。志保も眞保も外見はまったく一緒。
さらにこれまで見分けれていなかったのだから、
どっちがどういう性格なのかということすら分からないのだ。
なのに、片方だけ愛する事なんてできるはずがなかったのだ。
俺はなんてことを……
そればかりが頭に浮かび、俺は苦悶しつづけた。
その間にも時間はどんどんと過ぎていき、いつのまにか学校が終わる時間になっていた。
ピンポーン
しばらくすると、ドアベルがなった。出たくはなかったのだが、あいにく両親はいない。
大事なことかもしれないので出ないわけにはいけなかった。
「は〜い……」
気のない返事をすると、おれは玄関に向かい鍵を開ける。
開いた扉の向こうにいたのは美月お姉ちゃんだった。

「学校を無断欠席したから心配しちゃって」
部屋に上がると、お姉ちゃんはそう切り出した。
「すみません、どうも体調が悪くて、電話する気にもなれなかったんです」
ホントの事などいえるはずもなく、俺は適当にうそをつく。
「そぅ………」
お姉ちゃんは出された紅茶を一口飲む。
そのままお互いに黙り込んでしまった。
あの出来事からまともに顔を合わせてもいない。
だから、自然と気まずい雰囲気となりはなすことがない。
けれど、その沈黙を美月お姉ちゃんが破った。
「この間はごめんね? いきなりで驚いたでしょう」
沈黙の原因の出来事について、お姉ちゃんは謝ってきた。
「いえ、驚きましたけど……もう大丈夫です。だから気にしないで下さい」
その後にもいろいろな事があったために、俺にとってはあの出来事はけっこう薄れていた。
だから、お姉ちゃんの謝罪も、すんなり受け入れることができた。
「しかし、翔太には眞保ちゃんって彼女がいたんだね……私、知らなかったなぁ」
眞保……彼女……
今、一番悩んでいる言葉が聞こえ、おれは自然と泣き出していた。
「お姉ちゃん、俺……」
辛かった。誰かに相談したかった。昔みたいにお姉ちゃんに聞いてもらいたかった――――
だけど、涙が溢れ嗚咽ばかりで、俺はそれ以上話すことができなかった。
そんな俺をお姉ちゃんは優しく抱きしめ、頭を撫でてくれる。
「うちにこよ?そこでお姉ちゃんが話を聞いてあげるから」
また、話を聞いてくれる。そのことが嬉しくて、俺は泣きながら頷いていた。

お姉ちゃんの部屋につくと、お姉ちゃんは温かいココアを入れてくれた。
俺はそれを飲みつつ、ぽつり、ぽつりと最近のことを話し始めた。
それをお姉ちゃんは言葉をはさまず、一生懸命聞いてくれている。
「それでね、俺は……あれ?なんだか急に眠気が……」
話していると急に頭がぼぅっとし、眠くなってきた。だめだ、このままじゃ寝てしまう。
なんとか寝ないようにと頑張るのだが、耐え切れなくなって目を閉じてしまった………

 

 

ふふふ、どうやらココアに入れた睡眠薬が効いてきたようだ。やっと翔太が私の元に戻ってきた。
話を聞く限りではだいぶ佐倉多姉妹にたぶらかされたようだ。私の翔太をたぶらかしやがって……
けれど、あの二人は私には勝てないだろう。なんたって私が翔太の童貞を奪ったのだから。
それにいまあの姉妹は翔太を苦しませている。だからこそ、翔太は私の元に戻ってきてくれたのだ。
誰にも翔太を渡しはしない。ちょっとこの前は強引で翔太を困惑させてしまったようだけど、
もう逃がさない。
だから、早いところ翔太を繋いでしまおう。自由にさせているから悪い虫がついてしまうのだ。
虫に会わせる機会さえ与えなければ、翔太はたぶらかされる事もない。
私は押入れから手錠を取り出すと翔太をベッドに寝かせ、
大の字状態で両手、両足を手錠でベッドの柱に固定する。
これで、私はず〜っと翔太と一緒にいられるのだ。

「う………」
しばらくすると、ごそごそと動いて翔太が目を覚ました。
「おはよう翔太。いや、これからは翔くんって呼ぶね。改めておはよう翔くん♪」
まだ頭のはっきりとしていない翔くんに笑顔で呼びかける。
「ここは……え、何で手錠が……」
体が動かないのを不思議に思ったのか、自分の両手を見た翔くんが手錠に気づいて驚く。
「それはね、翔くんがどこかに行かないようにするためなの。
だって翔くんはどこかに行くと悪い虫にたぶらかされて悲しい目にあうでしょう?
今回だってあの二人のせいで悲しい目にあった。
だからあの二人には私がしっかりとお灸を据えておくね。
だから、翔くんは安心して。これでもう苦しむ事はないんだから。
これでず〜っと一緒に私といられるよ♪」
そう言って、私は鋏を取り出し、翔くんのズボンを切り取っていく。
「もし、翔くんが私から逃げようとしたら……これを切り取っちゃうからね?」
下着も切り取り、あらわになった黒い棒を鋏でつつきながら、私は翔くんに微笑みかけた。
「お姉ちゃん、なんでこんなことを……」
「ん? 翔くんが好きだからに決まってるじゃない。だからね、翔くん。
翔くんは私以外の女に触れちゃいけません。いや、話すこともいけません。
ううん、他の女を見ることだっていけません。
それができないなら、先ほど言ったことを実行しますね?
私そんなことしたくないですから、翔くんも私に手間をかけさせないで下さいね♪」
そういうと、自分も服を脱ぎ捨てると翔くんにまたがった。
なんだか一週間前と同じみたいだが、今回は前回と違う。今回は翔くんは完全に私のものなんだから。
「それじゃ入れるね。んんっ!」
私は腰を沈め、翔くんの大きく熱い肉棒を膣で咥え込む。
そしてそのまま、大きく上下に腰を動かし始める。
「あん、翔くんの……もので膣が擦れて……、やっ、だめ、気持ちいい」
なれてくると上下だけでなく、翔くんを気持ちよくさせるために腰を前後にも揺らす。
「あはははは、翔くん好きだよ? 大好き……
これからはずぅぅぅっと一緒。もう離さない……絶対に離さない……
ずっと私の……私だけのものなんだから……
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん
翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん翔くん………………
あはっ♪ 名前呼んでるだけで気持ちよくなってくる。ん……翔くん、や、だめ、そんなに……
もう翔くんったら。これからは毎日毎日飽きるまで膣に擦り込んでもらうからね?
あ、飽きなんて来ないか。だって……
私たちはこんなにも愛し合ってるんだもん。
あははっ………翔くん好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き…………………………」

眞保が翔ちゃんに別れ話を切り出しに行ってから、翔ちゃんは学校に来なくなった。
別れたことはその日のうちに眞保から聞いていたのだが、
眞保がこんなに物分りのいい子だったなんて。
私の双子のはずなのに。
翔君が学校に来ないのは、たぶん今回の事が相当ショックだったんだろう。
だから私が翔ちゃんの心を癒してあげなきゃ。
毎日会ってあげるし、何回だって私の体を使わせてあげる。
そうと決まれば今日さっそく会いに行ってあげよう。
私はそう決めると、早く学校が終わるように、集中して授業を受けることにした。

あの女の様子がおかしい。それに気付いたのは昼を過ぎてからだった。
別のことを考えすぎていたからか、新志村への注意を怠っていた。
これまで翔ちゃんにふられて落ち込んでいたはずなのに、
なぜか一昨日からず〜っと笑顔になっていた。
それもはちきれんばかりの明るさで。
まさか、翔ちゃんに何かあったのだろうか……そんな不安が私の中に芽生えてくる。
翔ちゃんが来ない……なのにあの笑顔……
まさかあの女が翔ちゃんを取り返したのか。いや、そんなはずはない。けれど……
そんな考えばかりが頭に浮かび、私は翔ちゃんのうちへの道を急ぐのだった。

「翔ちゃ〜ん、大丈夫〜?」
家に着くなり、私はチャイムを鳴らしながら中に呼びかける。
だけど、中から答える声はなく、また人が動く気配も感じられなかった。まさか本当に……
いても立ってもいられなくなった私は、庭の端にある植木蜂を持ち上げる。
昔から間江寺家はここに合鍵を置いてあったのだ。
私はそれを摘み上げると、すぐに玄関に向かい鍵を回す。
「翔ちゃん、入るよ?」
返事がないので無断で家に入る。
閉め切られているからか、中の空気は淀み、床には埃が薄っすらと積もりかけていた。
不安を抑えつつ、家の中を歩き回る。
翔ちゃんの部屋、台所、お風呂場……
あらゆる場所を探してみた。しかし、翔ちゃんは何処にもいなかった。
慌てて新聞受けをみると、ここ二日新聞が取り入れられていなかった。
さらに、部屋の中にもこの二日生活したような跡は見られなかった。
そのとき、私は台所の流し場にさげられているティーカップに気がついた。
後から洗うつもりだったのか、まだあらわれていないカップが二つほどさげられている。
おかしい。翔ちゃんの性格からして、食器類を洗わずに置いて行くことなどないはずなのに……
そのとき、その一つに赤いものがついているのに気がついた。
口紅―――――
鮮やかな赤。翔ちゃんの母親が使うものではない。
あきらかに若い人向けのもの……
見間違えようはずもなく、それは間違いなくあの女がつけている色の口紅だった。
「あの……女ぁ」
ぎりりりり……
許さない。翔ちゃんのはじめてを奪っただけでなく、翔ちゃんを奪いさるとは……
そのとき、後ろから声が聞こえてきた。
「志保ちゃん、翔ちゃんを取り返そう」と……

翔ちゃんが学校に来なくなって、私も心配していた。
私が別れ話を持ちかけたから、翔ちゃんは困ってしまったのではないかと……
もう二日も来ていないのだ。たとえ別れたといえど、会えないままなのは寂しい。
ずとこのまま気まずいのも嫌だ。せめて以前のように話せるくらいには戻りたい。
そこで私は放課後に翔ちゃんちに急いで行った。
しかし、そこには赤い口紅のついたティーカップを見て肩を震わせている志保ちゃんが立っていた。
瞬時に私は状況を理解する。
「志保ちゃん、翔ちゃんを取り返そう」

私たちは急いで高校に戻ると、タクシーを呼び出した。
担任の赤いスポーツカーはまだ駐車してあり、担任は帰っていない。
それを確かめながら、私たちは学校のすぐ横に止めたタクシーの中で、
担任が出てくるのをまっていた。
本来ならタクシーはこんなことには使えないだろう。
けれど、この運転手さんは私たちの昔からの知り合いで、
私たちには小さいころから親切にしてくれていた人だった。
「二人にどうしてもって頼まれたからやるけど、今回だけだからね」
そういいながらも、運転手はにこりと私たちに笑いかけてくれる。
どうやら、私たちの必死さが伝わってくれたようだった。
あまりにも遅いので、タクシーから出て教員用の玄関近くに身を潜める。
翔ちゃんを取り戻したのなら、もっと早く出てくると思っていたのだが……
しばらくすると、教員用の玄関から、担任が上機嫌で出てきた。
今にもスキップをはじめそうなほどである。
担任が車に乗って走り出すのを確認すると、私たちもタクシーに乗り込む。
「あの赤いスポーツカーを追って!」
さすがタクシー運転手のベテランというべきか、
しばらく進んだだけで担任の行き先がだいたいわかったらしく、
かなりの車間距離を空けつつも見失うことなくついていっていた。
そして、ついに私たちは担任の家を見つけ出した。
どうやら街外れの住宅街にあるアパートの一室のようだ。
担任が部屋に入ったのを確認して、私たちはタクシーから降り、部屋番号を確認する。
表札に、新志村と書いてある。
「101……間違いないね」
好都合なことにどうやら担任の部屋は1階のようだった。これならなんとか侵入できるだろう。
二階なら、小柄な私たち二人では困難なところであった。
私たち二人は素早く窓の位置、植木、塀などを確認する。
私たちはそれを頭に叩き込むと自分たちの家へと戻っていった。

次の日、両親には学校に行くフリをしつつ、私たちは担任のアパートに向かった。
両親たちは今日は朝から外出するらしく、私たちが学校に行かなかったことはばれないだろう。
アパートに着くと、すでに担任のスポーツカーはなかった。
HR開始20分前。もう学校に行っているだろうし、HRが始まらないかぎり、
私たちがいないことには気付かない。
「眞保ちゃん、行くよ……」
志保ちゃんに声をかけられ、私は頷く。
あたりに誰もいないことを確認すると、窓ガラスに近づいていき、テープを張っていく。
昨日確認しておいたところだ。
ちょうどこの窓は小さく、木の陰になっていて外から見えにくい場所だった。
なので私たちはテープを張り終えると、音を立てないようにガラスを打ち破る。
二人して慎重に部屋の中に侵入すると、静かに部屋の中を歩き出した。
「この部屋……しかないよね」
「うん、絶対そこだよ」
担任の部屋は台所兼居間の一部屋と、
居間私たちの目の前にある個室の二部屋から構成されているようだった。
つまり、翔ちゃんを監禁するにはここしかないわけだ。
「いくよ」
志保ちゃんがドアノブに手をかけ、慎重にあける。
「翔ちゃん!!!」
扉が開いてすぐに眼に飛び込んできたのは、下半身を露出した状態でベッドに縛り付けられている翔ちゃんだった。
下半身は汚れ、疲れきったように眠り込んでいる。
「あの……女ぁ……よくも翔ちゃんにこんなことを……」
怒り出す志保ちゃんをなだめ、私は手錠の鍵を探した。
これで見つからなかったらどうしようもなかったのだが、
担任は普通に机の上に出しっぱなしにしていた。
まさか私たちがこんな所に来るとは思っていなかったのだろう。
もしくは、嬉しさのあまり油断していたのかもしれない。
「翔ちゃん、起きて!ここから逃げるよ!」
私が手錠を外す間に志保ちゃんが翔ちゃんをたたき起こす。
私は担任の箪笥をあさると、翔ちゃんでも履けそうなジーパンを引っ張り出した。
「ん……あ、志保、眞保ぉ!!!」
助けが来たことに翔ちゃんは喜び、泣きながら志保に抱きつく。
「いいから、早く逃げるよ。とりあえずこれを履いて!」

目の前に佐倉多姉妹が現れたとき、俺はてっきり夢かと思った。けれど夢ではない。
俺はあの監禁から助けられたのだ。自分でほっぺたをつねってみる。
「……痛い」
俺は、助かった―――――
監禁されてからは毎日が地獄のようだった。お姉ちゃんが帰ってくるたびにノンストップでセックス。
どれだけ搾り出されても中断することはなく、
出し切って自分のナニが痛くなっても止めてくれることはなかった。
それが、今はない。志保と眞保の二人に助け出され、俺は佐倉多家の一部屋に座っていた。
「ほんとにありがとな。志保、眞保」
そう言って俺は二人の頭を撫でてやる。どっちかを選ぶのなんてあとでいい。
いまはただ、助かった喜びを味わいたかったから……
何もすることがなく、ただ俺たちはすわってぼ〜っとしていた。
志保も眞保もあの事件を引きずっていないのか、どちらも険悪のムードではないようだった。
二人で俺を助け出したことによって、志保の敵対感情が薄れたのかもしれない。
そんなことを考えていると、あたりが暗くなってきた。
気付けば二人とも目を閉じて眠りこけている。
「しょうがないな……今日は助けてもらったし、晩御飯くらい俺が用意してやろうか」
そう思い、おれは立ち上がると、佐倉多家を後にした。

佐倉多家を出ると、俺はいったん自分の家により、服を着替えて財布を取る。
さすがにいつまでもこのジーパンではいけないだろう。
しかし……久しぶりに自分の家に帰ってこれた。もうダメかもと思ったときもあったのだが。
これも志保たちのおかげなんだなと思うと、早く美味しい晩御飯を食べさせてあげたくなる。
気分を新たにし、玄関から外に出ると俺は近くの商店街へと向かい、
晩御飯のための食材を買い始めた。
「よし、こんなもんでいいだろう」
手にした買い物袋には今日の晩御飯用の食材と明日用の食材が少し、
それとお菓子が詰め込まれていた。
二人には迷惑をかけたんだ。それにきっと疲れている。
これくらいはしてあげていたほうがいいだろう。
さらに何品か必要なものを買い揃えると、俺は佐倉多家に急いだ。
佐倉多家を出てからすでに1時間は経っている。
一応置き手紙はしてきているのだが、気づかずに心配しているかもしれない。
そう思い、俺は荷物をしっかりと持ち直し佐倉多家に急いだ。

チャイムが鳴ったのはそんな時だった。
私は少し前に翔ちゃんが出て行ったときの音で目が覚めていた。
最初は何処に出て行くのか心配だったが、出て行く直前に翔ちゃんが
「すぐに戻ってくるから」と言っているのを聞き、少し寂しかったが安心していた。
あぁ、翔ちゃんはまた私たちのところに戻ってくるんだと。
気付けば眞保はまだ隣で寝いていた。酷いことをしてしまった……と今は思う。
悪いのは眞保ではない。あの女なのだ。
眞保ちゃんは翔ちゃんがあの女に取られる前にどうにかしようとしただけ……
その証拠に、眞保ちゃんだって翔ちゃんが好きなはずなのに、すぐに身を引いてくれた。
それに今回だって、眞保ちゃんの作戦があって、
眞保ちゃんがいてくれたからこそ翔ちゃんを取り戻せたのだ。
やはり私たちは双子、争う必要なんてないんだ。
これからも二人で翔ちゃんを守ろう。そして、
二人で愛していこう……
ピンポーン
と、そこでチャイムが鳴る。翔ちゃんだろうか、いや、出る時に起こさないように行ったのだ。
わざわざ帰るときに起こすような真似はしないだろう。それじゃぁ、普通の来客か。
両親がいないので私が出るしかないだろう。けれど、志保は忘れていた。
翔ちゃんが帰ってきたことで気が緩んでいたのだろう。
もう一人の訪問者の可能性を……
「はぁ〜い」と言ってドアノブに手をかける。
ばんっ!!
「きゃっ!」
手をかけるのと同時にドアが勢いよく外側に開かれる。つられて私は外に引っ張り出された。
「翔くんは……どこっ!!」
開かれたドアの隙間から訪問者が家に侵入する。
新志村美月……忌まわしきあの女が、今私の傍に立っていた。
翔ちゃんを探したのか、服は乱れ、腕は擦り剥き……血がにじんでいた。
切り傷もある。ガラスでも割ったのかもしれない。
髪は乱れ、顔からはかつての美しさが損なわれ、目は色を失い、暗く黒く、かすみ濁っていた。
あっという間に家の中に上がると、眞保ちゃんが眠る部屋の扉を開けようとする。
運がいいというべきか、翔ちゃんは丁度今いない。
ならば、この女を諦めさせることも可能かもしれない。
この狂った女の相手をするのは面倒だ。それに時間をかければ翔ちゃんが戻って来てしまう。
ここはさっさと退場を願おう。
「ちょっと先生、いきなり何なんですか。
私達の家に間江寺君なんていませ「私の翔君を何処に隠した!」
私の声に新志村の声が重なる。
プチ……
今、何て言った? この女……『私の』なんて言いやがらなかったか?
「ちょっと……誰があんたのモノだって? 翔君は私たちのものなんだけど?」
その声に、新志村が振り返る。
「あ、こんにちは佐倉多さん。ん〜? 姉のほうかな? 妹のほうかな?」
「そんなのあなたには関係ないわっ! とっとと出て行きなさいよ!」
それに対して、新志村はクスリと笑う。
「あぁ、志保ちゃんのほうか」

「っ…………!」
そんな……一瞬で私と眞保ちゃんを見分けるとは。
翔ちゃんばかりを見ていたと思っていたが……やはり敵に注意を怠らないってことか。
「こうやって面と向かって話すのは久しぶりね……それより、私の翔くん……どこにやった?」
口調は穏やかだが、内面は狂ってやがる。その証拠に、顔には作り笑顔が張り付いている。
「だからあんたのじゃなくて、私たちのって言ってるでしょ!」
「ふぅ〜ん、へぇ〜」
「な、なによ」
なんだこの気に障る態度は……
「へぇ、二人のモノなんだ……」
「そうよ、だからあんたのなんかじゃないの!」
「でも、おかしいなぁ……」
「な、何がおかしいのよ!」
再びクスリ、と笑う。
「だって……翔くんは『眞保ちゃんの』告白を受け入れたんでしょ? 志保ちゃんのじゃなくて」
この……女ぁ……
新志村の声には、明らかにこちらを馬鹿にしたような響きが含まれている。
こいつには……こいつにだけはそんなこと言われたくない。
「あんたに翔ちゃんの何が分かるのよっ! たったの数年……しかも長年会ってなくて。
こっちは翔ちゃんが小さいころから一緒に過ごしてるの。
あんなみたいな泥棒猫が入る隙間なんてないのよ!」
「入る隙間がないのは貴方の方よ? 志保ちゃん。
だって私は彼の初めてをもらっちゃったんだもん。知らないでしょ?
ウブな彼がエッチの時どんな反応……どんな可愛い声上げたかなんて。
私は知ってるの。だから彼と私は特別な関係なのよ?
それに、貴方は選ばれなかったものね。翔くんが選んだのは眞保ちゃんだもん」
「うるさいっ!!! うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!」
確かに翔ちゃんは眞保ちゃんを選んだ。しかしあれは仕方がなかったこと。
この女に取られないようにするため。
もし、私が告白していたら翔ちゃんだって私を選んでくれた。
だから、私はそのことに関して眞保ちゃんをもう憎まない!
けれど……この女に言い負けるのだけは許さない。
「眞保は……私がいいように誘導しただけよ」
口から、思ってもないことが次々と出てくる。この女に……負けないために。
「だって眞保みたいな弱虫が翔ちゃんを手に入れることなんて出来ないもの。
だから、私がせめて告白だけでもさせてあげたのよ。
所詮眞保は使い捨て。現に翔ちゃんは私だって愛してくれるわ。
でも残念ね。翔ちゃんは私のもとに帰ってきたのよ。
貴方……捨てられたのよ? 私の作戦に負けたのよ?
あはは、この負け犬。いや、出来損ないの泥棒猫。
良かったわ。眞保を上手く使えて。 私の勝ち、さぁ、早く出て行きなさいよ。この年増っ!!」
ぴき……
新志村の作り笑いの表情が凍りつく。

「とし……ま?」
「そうよ、と・し・まっ!! 膣だって緩々なんじゃない? おばさん」
「おばさん? 私がおばさん? あはは、お前なんて乳臭いガキじゃないか。
膣が緩々だって? お前なんかキツキツで翔くんを受け入れることだって出来ないんでしょ?
それにそのまな板。翔くんも満足しないでしょうね。
だって翔くん……あんなに私の胸に飛びついてきたんだから」
「そうね……でも、私はまだ成長するのよ。あんたは年取っていくだけでしょ?
それにね、私はあんたが知らない翔ちゃんのことたくさん知ってるんだから。
食事の時の癖、好きなもの嫌いなもの、お風呂の入り方、その他何でも……
小さい時からずっとずっと一緒にいたんだから。だから、どうすれば翔ちゃんが喜ぶかも知ってるの。
でもあんたは分からないんでしょうね。一生その垂れた胸で頑張ってれば?」
「 ……くくく、あははははっ!」
急に、新志村が笑い出す。
「そうか、そうなんだ……確かにお前の方が知ってるみたい。
なら……お前がいなくなれば私が一番になれるんだっ!!
そして、翔ちゃんも騙されることなく私を見てくれるんだ!!!
そうだ、そうなんだ……お前さえ、お前さえいなければ翔ちゃんは私のものなんだっ!!!!!」
新志村は横に立てかけてあった金属バットを手に取ると、こちらに向かって一気に振り下ろした。
野球好きな父が購入したバット……それが私のスレスレのところで宙を切る。
勢いあまった新志村は私を通り越し、玄関のドアの辺りまで行っていた。
「な……狂ってるよあんた! 冗談じゃない!」
死ぬ。間違いなく死ぬ。
金属バットなどしゃれにならない。
玄関への道を塞がれているかぎり、玄関からは出られない。ならば……
急いで体の向きを買え、眞保ちゃんが寝ている部屋への扉を開けようとする。
あの部屋ならば裏口もあるし、窓もある。逃げれるはずだ。
ドアノブに手をかけ、扉を開ける。
ドッ!
そのとき、信じられないほどの衝撃が私の後頭部を襲った……

 

佐倉多家についたとき、俺は違和感を感じた。
あたりはすっかり暗くなり、あたりの家には電気がついている。
なのに、佐倉多家には電気がついていなかったのだ。
「まだ寝てるのかな?」
あれだけ二人には精神的な負担をかけ、さらに俺を助け出すという肉体的な負担もかけている。
あれからずっと寝ていてもおかしくはないと思うのだが……
そう思いつつも玄関の扉を開け、二人が待っている部屋へと向かおうとする。
けれど、何か雰囲気がおかしかった。なにが変なのかといわれると、何が変なのかは分からない。
けれど、本能が全力で俺に告げている。この家はおかしい―――と。
「志保?眞保?」
たとえ本能が拒否しようとも、俺は確かめなければならない。
まだこの家には志保も眞保もいるはずなのだ。
俺は二人を呼びつつそ〜っと部屋の扉を開けた。
「寝てるのか?」
そう思い、おれは入り口のところにある電気のスイッチを入れた―――――

「なっ!!!!!」
明かりに照らされた部屋は、赤く染まっていた。床、壁、天井……
部屋のあらゆる場所に赤い染料が塗られている。
けれどそれは不規則で、飛び散ったように模様を作っていた。
そして、部屋の真中には、赤黒く変色した何かの塊が存在していた。
「なんだよ……これ」
俺は後ずさりをしようと、足を一歩後ろに下げようとして何かにぶつかった。
「え―――――――」
「やっと見つけた。翔くん♪だめだよ、逃げちゃダメだって言ったじゃない」
振り返ると、そこには返り血で全身を真っ赤に染め、
片手に金属バットを持った美月お姉ちゃんが立っていた。
驚いて俺は4歩下がる。足の裏に血のどろっとした感触がまとわりついた。
「なん―――で………」
顔に不気味な笑みを浮かべたまま、お姉ちゃんは首をかしげる。
「ん?それのこと? だってそれ、翔くんを苦しめた悪い虫だよ? 虫は退治しなくちゃ。
それにわたしから翔くんを奪っていったんだもん。一度なら許してあげてもよかったんだけど、
二度も奪っちゃったらね。心の広い私だって許せないよ♪」
「だからって……なんでこんな!?」
あり…えない。ありえない。こんなこと、ありえない。これは……夢じゃないのか?
「あ〜ぁ、また翔くんがたぶらかされちゃってるよ。また教育のしなおしかなぁ。
そういえば、約束破ったらどうなるか覚えてるよね?
あはっ♪ ホントにあれをやったら教育できなくなっちゃうから、別の罰にしてあげよう。
そうだなぁ……まずはその頭から治さないといけないかな?」
そういうと、美月お姉ちゃんは手に持ったバットを構え、ゆっくりと近づいてくる。
「ま、まさかそれで叩くわけじゃないよな? そ、そんなもので叩かれたら……死んじゃうよ?」
「大丈夫だよ。わたしが翔くんを殺すわけがないでしょ♪
さぁ、逃げないでよ。こんどこそ私だけの翔くんにしてあげるんだから」

うそ……だろ。まさかここまでするなんて。
狂っている。間違いなくこの女は狂っている。
すでに目の前にいる女は、優しかった美月お姉ちゃんではない。
目の前にいるのは別人。ただ狂気へと堕落した醜い化け物が存在するだけだった。
視線を横にそらすと、今は醜い肉の塊となった、可愛らしい姉妹の残りが横たわっていた。
志保、眞保……ごめん。俺のせいでこんな……
俺は頭の中で、姉妹に謝罪を告げる。
それが済むと、俺は目の前の化け物へと意識を切り替えた。
俺は死にたくない。こんなところで死にたくない。
もし、あのバットで死ななかったとしても、俺は一生監禁されて生きていくことになるんだろう。
そんなのは……いやだ。
ごっ!
振り下ろされたバットが俺の腕をかすめ、地面にめり込む。
「っう!」
かすったとは言え全力の一撃、かすめた腕が悲鳴を上げる。
痛い、半端なく痛い。夢ではない。これは、間違いなく確かな現実……
「あはっ♪ うまくかわしたね。でも、かわしたら意味がないんだよ?これは治療なんだからぁっ!」
バキッ!
横一直線に振られたバットが、今度は俺の腹をかすめて本棚を叩き砕く。
「お姉ちゃん! 正気に戻ってよ!」
化け物にこんな言葉なんて通じないかもしれない。
だけど、俺は少しでもお姉ちゃんを信じて言葉を放つ。
いや、ただ単に死にたくなかっただけかもしれない。
「正気に戻る? あはははははっ♪何いってるの翔くん。お姉ちゃんは今も正気だよう!」
ゴス、ドカッ、バキ、グシャ……
攻撃を外すたび、お姉ちゃんは構えを変えていろいろな角度からバットを俺にめがけて振ってくる。
このままでは殺される。いまだってギリギリかわしているが、すでに体は動きすぎて限界だった。
それに、ところどころバットが当たり、青痣になっている。
ひょっとしたら骨にひびくらいは入っているかもしれない。
このままでは数分ももたず、あのバットが俺の頭を粉砕するだろう。
そんなの……いやだ。
ぜったい……いやだ。
精神の疲労が、体の痛みが、死への恐怖が俺の理性を極限まで削り取っていく。
すでに俺には、自分が生き残るという事しか考えられなくなっていた。
「……お前の」
「えっ?」
お姉ちゃんは俺の声が聞こえたのか、再び振りかぶったバットを止め、俺の直前で足を止める。
「なにか言った?翔くん」
俺の声を聞くためか、バットの構えを解き少し近づいてくる。
俺はゆっくりと体を動かしながら、部屋の隅に寄っていく。
そして……

「お前の言いなりなんかになるかっ!」
俺は無我夢中で近くにあった観葉植物の鉢を投げつける。
「きゃっ!」
突然の事で驚いたお姉ちゃんがバットから手を離し、バットが下に落ちる。
「お前なんかに殺されてたまるか!」
俺は無意識に落ちたバットを手にとると、大きく振りかぶり、思いっきり振り下ろしていた。
ぐちゃっ
一瞬、目の前を赤い物体が横切る。
それでもかまわず、俺は再びバットを振り上げた。
「誰が、お前、なんかに、殺されるか、誰が、殺されるか。俺は、死なない。この、化け物め。
お前が、死ね。死ね、死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!!」

気がつけば俺の両手は真っ赤に汚れ、全身も真っ赤に染まっていた。
部屋には肉の塊が相変わらず散らばっている。
けれど、それは俺が帰ってきたよりも、明らかに量が増えていた。部屋もさらに赤く染まっている。
「は、はは……」
思わず、膝をつく。
「俺が殺しちまったのか……」
新たにできた肉の塊を見つめながら、ぽつりとつぶやく。
「そうか、おれが……」
部屋のあちこちは家具や木材の破片が飛び散り、無残な光景となっていた。
「おれ……が…… う……く、志保ぉ、眞保ぉ」
死ぬしかない。死んで……償うしかない。
死ぬなんて卑怯と思うかもしれない。けれど、俺のせいで志保と眞保が巻き込まれ、
二人は死んでしまったのだ。ならば、その分も償うしかない。
彼女らは……向こうにいるのだから。だから、俺も彼女らの元に行く。
それが、せめてもの彼女たちへの償い……
台所へ行き、包丁を取り出す。
「今から……行くよ」
首に包丁を当て、力を入れようとして……
後ろからその手を止められていた。
「ダメだよ、翔ちゃん……死んだりなんかしちゃ」
ありえない声。もう聞けないはずの声……
驚きのあまり、ゆっくりと後ろを振り返る。
するとそこには……
笑みを浮かべた眞保が立っていた。

 

「私の翔君を何処に隠した!」
廊下から聞こえてくる大きな声で、私は眠りから目を覚ました。
この声は……新志村?
どうやら、私たちが翔ちゃんを取り返したと気付き、押しかけてきたようだ。
「翔君は私たちのものなんだけど?」
その新志村に対し、志保ちゃんの声が聞こえる。
私たちのもの……
志保ちゃんはそう言った。
翔ちゃんを助け出している途中、志保ちゃんの私に対する怒りが
薄れて行っていう事には気がついていた。
けれど、まさかそこまで許してくれてるとは……
あまりの嬉しさに、一瞬目の奥が熱くなる。
ダメだ、今こんなことろで泣いちゃぁ……
その間にも、新志村と志保ちゃんのいい争いが続いている。
そうだ、早く加勢しないと。
「志保ちゃ「眞保は……私がいいように誘導しただけよ」
え……?
今……なんて?
「眞保みたいな弱虫が翔ちゃんを手に入れることなんて出来ないもの。
だから、私がせめて告白だけでもさせてあげたのよ」
次から次へと、信じられない言葉が聞こえてくる。
さっきまで……私たちと言っていたのが嘘のようだ。
どうして? なんで? 私を……許してくれたんじゃなかたの?
「所詮眞保は使い捨て」
「!」
使い……捨て……
全て……志保ちゃんの思惑通りだったってこと?
あは、あはは、あはははははは
なんて私って馬鹿な子なんだろう。
私が志保ちゃんを裏切っちゃった。だから身を引かなきゃなんて思っちゃって。
馬鹿だなぁ。
もったいないなぁ。
志保に翔ちゃんを譲る理由なんてないじゃない。
翔ちゃんは私を選んでくれたんだから。
志保でも新志村でもない。選ばれたのは私。
志保に加勢する必要なんて、少しもない。
あは、あはははははは。せめて、二人で潰し合えばいい。
私はその場を離れると、事の成り行きを見守るために二階へと上がっていった。

一階から物音がしなくなったので一階に下りてみる。
音だけを聞いていれば激しく争ったようなのだが……さて、どうなったのか。
私にとってはどっちでもいい。一人減ればあとあと楽になる。
けれど、部屋の扉を開けた私を待っていたのは、予想以上の光景だった。
転がっている死体は二つ……そして、台所には血まみれの翔ちゃんが座り込んでいた。
私は一瞬で理解する。なるほど、邪魔者は消えたのか。
そっと翔ちゃんの後ろから近づくと、包丁を持っていた手を止めた。
「ダメだよ、翔ちゃん……死んだりなんかしちゃ」
振り返った翔ちゃんが、驚きで目を見開く。
「私は生きてるから……ね?」
私が生きていることで気が緩んだのか、翔ちゃんの目に涙が浮かぶ。
「眞保ぉ……俺……俺……美月、お姉ちゃん、を……」
「大丈夫、それから先は口にしなくても」
ぎゅっ
っと、翔ちゃんの頭を両手で抱きかかえる。
「大丈夫、翔ちゃんは悪くないから。悪いのはその二人」
「それでも……俺が……」
「いいの。確かに、翔ちゃんにも責任がある。
でも、それはこれからゆっくりと果たしていけばいいの。
ゆっくりと……一生かけて……。その間、私が……ずっと傍にいて支えてあげるから」
「う……眞保ぉ……」
泣き崩れ、私の胸に顔をうずめる翔ちゃん。
これで……完璧だ。
邪魔者もいない。心の隙間につけ込んだ。
もう……離さない。
翔ちゃんは……私だけのもの。
他の女には、二度と手を出させない。
いや、他の女には二度と会わせない。
そうだ、翔ちゃんを匿おう。
ことのほとぼりが冷めるまで。
死体は適当に強盗の仕業にでもすればいい。
だから、翔ちゃんを外には行かせない。
悪い虫が付かないように。
それなら安心でしょ?
会う女が私だけなら翔ちゃんだって私しか見れないもの。
よかった。
これで二人きりになれた。
ずっと一緒……
ずっとずぅっと一緒だよ?
翔ちゃん……愛してる。
小さいころからこれから先まで、翔ちゃんだけを愛してる。
だから翔ちゃんも私だけを愛して。
そして、二人だけの未来を歩んでいこう?
ずっと、ずっと、永遠に……

END

2007/08/25 完結

 

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