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お嬢様物(仮?)



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「お嬢様、春香お嬢様、お目覚めの時間です」
そう言って、私の目を覚ましてくれるのは執事で幼馴染の秋原君。
「何時もありがとう」
そう言って目を擦って目を覚ます私。
小さい頃から、真面目で勉強好きでちょっと優柔不断で……私の成績が落ちた時も
一生懸命勉強を教えてくれた。
ちょっと嫌な事は私の事を恋人と見てくれないことだ。
只のお嬢様と執事……そんな関係で終わるのは私は嫌だった。
彼が何故家で執事をしているかと言うと……実は私の成績が終わった事に関係していた。
私は小学6年の時勉学への意欲を失っていた。
はっきり言って、何もしたくない、そんな状態になっていたのだ。
そんな時、彼がそんな私を見かねて勉強を教えてくれるようになったのだ。
彼との勉強は楽しかった。両親はそんな私を見て微笑んでいた。彼の両親は私達の会社の大株主で、
他にも色々な事業を支援している人材だった。
でも彼の両親は死んでしまった。事故だったらしい。相手は酔っ払いだったらしい。
金はある。でも住む場所が無い彼を引き取ったのが私の両親だった。
彼は、只で住ませて貰うのは悪いと言う事で、雑用係を引き受けている。
まあ、彼のそばにいれるので私は断っていない。
彼が私の手伝いをしてくれたら彼のそばにいる機会も多くなる。そう思ってた。

だが、それはもろくも砕け散る。あの雌狐によって。

学校が終わって放課後、私は彼の様子を見に行った。そこで私は信じられない物を見たのだ。
「ねえ、あなた春香ちゃんと付き合ってるの?」
甘ったれた女の声。私は気になってそっと覗いてみる。
そこには、彼と私とは別の女がいた。美川夏絵。超巨乳の頭悪そうな女の子。
「付き合ってません!彼女とは只の使用人の関係です!」
「へー、だったらさあ、私と付き合わない?」
そう言って彼女は服を脱ぎだす。
「ねえ、こんな状況で私が誰か呼んだら、皆どう思うかしら?」
彼は顔を真っ赤にしながらあたふたを回りを見渡してます。

駄目です。あんな雌狐に誘惑されちゃ駄目です。
「……この、おっぱいだって自由にして良いんだよー」
ぽよんぽよんと揺れる胸。私だって少しはあるもん……。
彼は慌てて逃げようとしますが彼女は蛇のように睨んでいます。
「あんな、わがまま娘なんかよりずっと良いでしょう?」
「………お嬢様の悪口を言うな………」
静かに響く声。はっきり言って悪役声です。でも良いんです。あの雌狐の驚いたような顔!
ひとまず誘惑されてませんね。
でも、このままでは不味いです。このままでは彼は彼女に奪われます。
そうしたら彼女は彼を食い尽くすでしょう。
駄目です。それだけは避けなければいけません。

がちゃがちゃとドアを開けようとする。
「ねえ、秋原く……秋原、ここにいると聞いたんだけどいるかしら?」
「はっ、はいなんでしょうお嬢様!!」
あはははははははははははははははは!正直者ですわね秋原は……。
部屋の中で『チッ』と舌打ちの音と『誰かに喋ったらあること無い事言いふらすぞと』
……うふふふふふふふふふふ。もう許しませんわ。帰ったら執事長に言って彼女の事を調べないと。
「一人で帰るのは寂しいんです。秋原と一緒に帰りたいんです」
甘えたような声、あの雌狐への思いはこれっぽちも出さない。
「かしこまりました!掃除が終わったら、直ちに!」
……学校の仕事優先か……秋原らしいけど、ちょっとむかっ腹が立つ。
あの女がいなければもっと早かったんじゃないの?
決めた、あの女が彼に手を出せないようにしよう。その為には彼女の事を知らないと。

だが、事件は思わぬ方へと向かう。

「『ハニートラップ』?」
執事長の言葉を私は鸚鵡返しする。
「はい、その可能性は高いと思います。彼女の会社も彼の株で成り立ってるような物ですからな。」
私はわなわなと体を震わせた。許せない。あの女だけは許せない。
「……これを回避する手段は一つしかございません」
私は執事長の声に耳を傾ける。
「春香様が、秋原様とねんごろになり御婚約すれば宜しいかと」
「!!!!!!」
「お二方の意思もございますが、彼が成年となれば我等の大株主になるのは確実ならば、
反対する理由はございません」
「でも、父や母が何というか」
「御安心を。御両親はお二方の結婚を公私にわたって期待なさってます。」

私はその日の夜、彼を自分の寝室に呼び寄せた。
「今日の掃除の時間の件、一部始終見させていただきました」
多少怒った様に言う。
「……申し訳ありません」
素直なのは美点だし、それなりの美形だ。だからもう自分の物にしてしまおう。
お父様達の許可は貰ったような物だ。
「もしかして、あの女に欲情しましたか?」
「いっいえ!決してそんな!」
「だったら、何故謝るんです?」
押し黙る彼。
「だったら、私の体に欲情した事は?」
意地悪そうに聞く。
「…………あります」
「!!!!!!つまり、私の体を見てこっそり自慰をしてたの?」
「違います!只、寝てる時のお嬢様がキレイで……その……」
私は胸の奥から笑い声がこみ上げてきた。後一押しだ。もはやあの雌狐に与える時間は与えない。

その頃、執事長は資料を読んでいた。危険性Lv80。
108まであるセキュリティランクのうち上位に属しており、
『即刻排除』の案件だった。自ら出るしかない。執事長はそう決断すると、着替えを開始した。
そう、この服こそ、一子相伝の真拳『執事真拳』後継者の証だった。
そして、今執事真拳の超感覚で屋敷に近づく黒い影達を感知した。
それと共に、お嬢様と彼の唇が合わさった事も。
「ふっ、彼を執事真拳の後継者にしたかったのだがな」
執事長は寂しそうにそう言うと、モニタールームから出て行った。

「執事真拳奥義地天逆転撃!」
その台詞と共に重力が逆転し黒い影を吹き飛ばす。
「執事真拳……だと?まさかあの伝説の奥義をこの目でうぎゃー!」
その台詞と共に黒服達が吹き飛ばされる。
「貴様、何故それだけの力を持ちながら執事の身に甘んじている!」
「執事だからです」
「「答えになってねー!」」

突っ込みを無視してさらに技を放つ。
「執事真拳奥義、敵意感知怪光線!!」「執事真拳奥義、一人ダイヤモンドフォーメーション!!」
「執事真拳奥義、竜巻旋風波動!」「執事真拳奥義、片手千手観音!!」
「うわー駄目だー」
忽ちの内に吹き飛ばされる黒服。
「やっぱり、黒服だけでは駄目か」
そう言って、木陰から出てくる夏絵。
「なるほど、彼を奪いにきたということですな」
「くくくくく、だって彼、私のところの大株主よ?それを手に入れたら色々できるじゃない」
「なるほど、ならこの戦い我が主の分身がお相手いたしましょう」
その言葉と共に、執事長の体から黒いオーラが噴出する。
「なっ何これ?」
「これぞ、執事真拳超奥義『主人精神力場』です。そしてこの黒いエネルギーこそ、彼女の嫉妬心」
「あの子の嫉妬心?笑わせないでよ。あんなポヤポヤお嬢様の嫉妬なんて」
次の瞬間に、夏絵の体が宙に舞う。
「彼に罪を被せ様として!」「彼を好きでもないくせに!」「彼の好きでもない体で誘惑して!」
「好きでもない体で誘惑して?」
「春香様はどうやら結ばれたようですな。彼はどうやら慎み深い胸が好みのようですな」
「変態性癖の持ち主め!」
そう言ってショットガンを放つ彼女。
「執事真拳…只の防御!!!」
その瞬間に、全ての弾丸が動きを止めた。
夏絵がモードを切り替え、次々と弾丸を射撃する。飛来する無数の弾丸。
「フン!」
気迫で全て吹き飛ばされる。
「哀れですな」
「何?」
「武器と金しか信頼できる物が無く、しかもその銃にはなんら思いが溜まっていない。
  そんなもの奥義を使う必要すらなし!」
「ひいいいいいいいいいいいっ!」
「あなたを殺すのには1秒もかからねど……只殺しては禍根が残る……
我が最終奥義で粉砕してあげましょう!」
そう言うと、執事長の体内に黒いオーラが蓄積される。
「執事真拳・最・終・奥・義・!」
そう言うや否や、黒いエネルギーが執事長の体内に蓄積される。
「時空・湾・曲・絶命波ぁぁぁぁ!!」
時空湾曲絶命波。それは主人の怒りのエネルギーを凝縮し、
敵の存在を過去から根本的に『消滅』させる凄い技である!
そのエネルギー波の後は何事も無かったような場所だけが残った。

エピローグ

僕は今、春香と付き合ってる。
優しくて、可愛くて、ちょっと嫉妬深いけど僕の事が好きな春香と。
でも時々思う。春香の相手は僕で良いんだろうか?
もっと女の子にモテモテな美青年の方が春香に合ってる様な…。
それでも、僕に甘えまくって、御飯を食べさせてくる彼女を見てると頑張らなきゃと思う。
「あの、婚約の件ですけど」
「本当に、僕なんかで良いの?」
「秋原君じゃなきゃ駄目です。私をしっかり支えてくれたの秋原君だけだったから、
秋原君を私が支えます」
にこりと笑う彼女。………あの、一つだけ謝らせてください。
その笑顔だけで……失礼ですが勃起しました。

END

2007/04/15 完結

 

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