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埋めネタ日記



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12月4日 
  やった、とうとうたかちゃんと二人きりの生活を手に入れた。
邪魔ばかりする両親も事故に見せ掛けて消した。
  二人が結ばれるという運命の前には死、あるのみ…
  後は哀しみに暮れるたかちゃんを優しく包んであげるだけ。 
  心配しなくて大丈夫よ。私がずっと居てあげるから。
私だけのたかちゃん、たかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃん
たかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃんたかちゃん……

2月2日
  たかちゃんも大分落ち着いてきた。
両親が死んですぐの頃は、ずっとふさぎ込んでいたけど、私の愛の力で回復していった。
しかも、たかちゃんは私にどんとん依存していく…葬儀が片付いた最初の夜に一緒に寝てあげたら、
それ以来お姉ちゃんと一緒じゃないと寝られないみたい。
「高校生にもなってこんなんじゃ最低だ」って悩んでるみたいだけどそんなことないのよ。
  このままいけばお姉ちゃんの初めてをたかちゃんにあげる日も遠くないわね…うふふ、楽しみだわ。
たかちゃん…待ってるわ

2月8日
  なんていうことだ!!たかちゃんに…私のたかちゃんに汚らわしい毒蟲がついてしまった。
  たかちゃんのクラスメートらしい。
  たかちゃんが夕飯の時にいつも私を癒してくれた笑顔で嬉しそうに告白されたこと、
それにOKしたことを報告してきた。

「もう一人で寝られる。大丈夫だよ」って言って一緒に寝てくれなくなった。
  ダメよたかちゃん!たかちゃんはお姉ちゃんと一緒に寝なくちゃいけないの!
また怖い夢を見てうなされちゃうわよ!!
それに腐ったドブから涌いた害虫の相手なんかしたらきれいで純真な
たかちゃんの心と身体が穢れちゃう。
  手遅れになる前になんとかたかちゃんの目を覚まさせないとといけないわね。
  まずは門限をもっと早くして学校には迎えに行かなきゃ。
携帯もGPS付きのを持たせないと…

2月15日
  あの悪夢のような日から一週間。たかちゃんはどんどんあの蟲の毒に冒されていっている。
  夕食の時間に話すことの殆んどがそいつのとのこと。
  いくら私が「たかちゃんにはあの女は相応しくないから別れなさい」って言っても
いうことを聞いてくれないしあれからずっと一緒に寝てくれないし休日も私を置いて出かけてしまう。
  さらに、「お姉ちゃんはもう僕のことで気を使わなくていいんだよ」と言ってきた。
たかちゃんの口からこんなに恐ろしい台詞を聞くことになるなんて…
  私といないとたかちゃんはダメになっちゃうのよ!

3月10日
  自分の無力さを今日ほど呪った日はない。たかちゃんがとうとう穢されてしまった!!
  たかちゃんの温もりを求めてたかちゃんのベッドに入ったとき、
大好きなたかちゃんの匂いに混じって別の臭いがした。
そう、女の臭いだ。
しかも微かに鉄のような臭いもする。
  まさか!?と思い掛布団を放り投げベッドをよくよく観てみるとうっすらと血の跡が…
  これらから導かれる結論はたかちゃんの貞操が寄生虫なんかに奪われたという絶望的な現実…
きっと嫌がるたかちゃんを無理矢理襲ったのね。
そして既成事実を盾にしてボロボロになるまで貪って用が済んだらゴミのように捨てるつもりなのね。
  そんなことさせない…私が守るから……そうよ!やっぱり、私がたかちゃんを守ってあげないと。
  安心して、たかちゃん。こう見えてお姉ちゃん害虫駆除は得意なのよ?
  これを書き終わったら早速行かなきゃ。そして明日の夜は悲しむたかちゃんを慰めて、
久々に一緒に寝るの………楽しみだわ。

 私は日記を閉じ、軽く背を伸ばして身体をほぐすと台所に向かい、
布を巻いた刺身包丁と出刃包丁をバッグに入れると玄関を出た。

2007/03/10 完結

 

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