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貴方と私。いつもいっしょ。



1

守護霊……という言葉、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
それは本人には見えず、自分を守ってくれると言うが……俺の場合はちと違う。
  そう……守護霊が見えてしまうのだ。いや、見えるなんてレベルじゃない。
『彼女』に触れるし、『彼女』も物に触れるのだ。とはいえ、僕以外には『彼女』は見えないので、
怪奇現象みたいになってしまう。
  初めて彼女と会ったのは、自分の部屋だった。幼心ながらに、知らない女の子が居るのは
普通は怖いが、何故か怖くなかった。それは守護霊だからか。
  『彼女』を親に紹介しようとしたら、当然見えないので……
「子供だから想像力豊かねぇ。」
と言われてしまった。それ以来、俺は人前で『彼女』と話す事はしない。
まぁ、守護霊といっても全く役立たない。『彼女』が転んだりして傷付くと、俺も傷付く。
俺が風邪をひいて具合が悪くなると、『彼女』も具合が悪くなる。正に一心同体なのだ。
しかしそのせいで恋人なんかできやしない。一度いい感じになった娘がいたが、
『彼女』にずっと横で睨みをきかされた。
  さぁて、俺の人生どうなることやら……

 

「ふぁぁぁぁ……」
今日も気持ちいい欠伸から始まる朝。まだ眠気が残る。洗面所に行き、顔を洗おうと鏡の前に立ち、
雪のように白く柔らかい髪を梳かす。
……この白い髪、周りからは奇特の目で見られるが、結構気に入っている。
親は二人とも黒いため、遺伝という訳ではない。話しによると、どうやら近親婚らしい。
どれほど近いかはわからないが、子供の俺に影響あるんだ。難しい結婚だったのかもしれない。
今は二人とも仲良く海外出張に行ってるから、その熱愛っぷりは変わらないだろう。
「うー、つめてぇ!」
タオルを探して手をのばすと……
「はい、おはよ。」
「ん、あんがと。」
『彼女』がタオルを手渡してくれる。そう、俺の守護霊であり、一心同体の『彼女』。名前は……
「今日は朝から体調がいいのね、翔。」
「お互いにな、翔子。」
俺の名前、皆川 翔から取って、翔子と呼んでいる。……もっとも、そう呼ぶのは俺しかいないため、
あまり名前に意味はないが。
翔子もまた、俺と同じく髪は白く、腰まで長い。それに加えて切れ長の目、
高い鼻と、整った顔をしている。

 

正直、今まで翔子以上に綺麗な女性を見たことがない。この美貌を世の中に見せられないのは
非常に残念だ。彼女も鏡に映らないため、自分の顔を知らないらしい。
「どう?今日の私は?」
「相変わらず綺麗なこって。」
「うふふ、ありがとう。翔もかっこいいわよ!」
最近の朝はこういった褒め合いから始まる。実際翔子は綺麗だが、俺はまぁ、普通だろう。
髪が白いのを除けばいたってノーマルな顔だ。
「おっし!それじぁ学校に行きますか。」
ギリギリな時間だ。走ってかないと間に合わなそうだ。素早く制服に着替え、空っぽの鞄を掴み、
部屋から飛び出す。築二十年。結構綺麗なアパート。
親はこのアパートの家賃以外は一銭も払いやしない。食費や雑費は自分で稼げという鬼畜っぷり。
別にバイトも面白いからいいんだけどね。
「はっはっ…はぁっ……」
家から学校まで、歩いて二十分。走ればその半分で着くだろうか。時計を見る。
部屋を出た時点で残り九分。やべぇ。今月はもう遅刻出来ないってのに。
もうちょっと早めに起きればいいのか。






「げえっ!やばい!」
校門が見えるところまで来ると、教師が校門を閉め始めていた。今時なんて古いシステムなんだ!
「はぁっ…ぐっ!間に合わん!翔子!頼む!」
「はいはい、おまかせ!」 翔子が一足先に校門まで走り、閉じるのを押さえる。
突然動かなくなった門に、焦る教師。
「よっしゃっ!」
その間に楽々通り抜ける、それを見計らい、門を放す翔子。
「ありがとな、毎度毎度。」
「ふふん。翔が良ければそれでいいのよ。」
翔子の身体能力は、男の俺より全体的に高い。やはりこれも俺に影響があるようで、
俺が体を鍛えれば、自然と翔子も強くなるのだ。常に俺より強いのが癪だが……
そして今日も暇な一日が過ぎていく。学校行って、バイトして。家に帰って飯食って寝る。
翔子がいる以外は平凡な一日な……はずだった。
だが、今日のバイトで、その暇な毎日が崩れ去るのだった……

2

「ありがとうございましたー。」
  ……このバイト、ただの本屋なのだが、人のいない田んぼ中にあるため、客が滅多に来ない。
それもそのはず。街中に本屋なんていくらでもあるのな、こんな辺鄙な所に来る訳がない。
  そのため店長も、「じゃ、後はよろしくね。」とか言ってパチンコに行ってしまう始末。
ちくしょう。今客が来たから後一時間は暇になっちまう。
「暇ねぇ。」
「暇、だな。」
  そういやクラスの友達に、
「バイトやるなら楽できて暇なバイトがいい!」とか豪語していたが、
実際にやってみると苦痛以外の何物でもない。
プルルルル……
  暇死にしそうな時に、ちょうど店の電話がかかってきた。
「はい、こちら……」
「あ、皆川君かい?」
「店長、なにか?」
「いやぁ、言っておくの忘れちゃってたんだけどさ、実は今日、新人さんが来るんだよ。
悪いけど、基本的な事は教えといてくれるかな?しくよろー。」
  ピッ
「……しくよろー、じゃねえよ、このヅラ野郎。」
「今度取ってやろうかしら。」
「こんな人の居ない時にやっても意味が……ん?」

 

 電話を切って振り返ると、カウンターの前に一人の少女が立っていた。歳は俺と同じくらいか。
……正直、心では翔子並に綺麗だと思った。
  翔子と同じく腰まである髪は黒く、まるで女優のように美しかった。
……ああ、いかんいかん、こんなふうに女の子を見てるtあgjぶ
「いでででで!」
「?」
「なぁにデ・レ・デ・レしてるのかなぁ〜?」
  翔子が自分の頬を思いっきり抓る。その痛みは俺にもくるわけで。
直接引っ張ると、不自然に頬が盛り上がるので、俺を痛めつける時はよくこうする。
「いや、ごめん、ちょっと虫歯が染みて。」
「それはそれは、お大事に。」
「えっとそれで……なにかお探し物でも?」
「いえ、バイトの件で……」
「あ、はいはい。」
  どうやら早速来たようだ。机を探してみると、彼女の写真が貼ってある履歴書を見つけた。
えーと名前は……
「皆川、静流?へぇ、俺と同じ名字なんだ。俺も皆川っていうんだよ。」
「ええ、知ってます。皆川翔さん。雅山高校二年。両親は共に海外出張中なため、今は一人暮らし。
兄弟はいない。恋人も多分いな……」

 

「ウェイ、ウェイ!ウェイト!!なんでそこまでしってる?」
  『まさかストーカーか?』彼女に見えないように、紙に書き、翔子に見せる。
翔子は不機嫌なまま彼女にガンを飛ばしている。
「ううん、こんな奴知らない。それに翔にストーカーなんていないよ。いたらぶっ飛ばしてるし。」
  ……さいですか。いや、でも翔子が違うと言うんなら違うんだろう。じゃあなんで知ってるんだ?
「……覚えてないんですか?私の事?」
「い!?」
「ショーウ〜!?」
  い、いや、待てよ。落ち着く、俺。翔子以外に親しくなった女なんていないはずだ。
小、中学の時はこの白い髪のせいで誰とも接しなかったし、
高校に入ってからはそれなりに人付き合いはあったが……
  それなら覚えているはずだ。あっ!まずい、なんか涙目になってる。
俺が原因で泣かれるのはやめてくれ。人生に荒波立てたくはない。
「い、いいです。明日にはわかりますから。それより仕事を教えて下さい。」
  少し涙声だったが、クールに努めていた。それ以降、仕事内容を教えても、
はい、年か言わず、かなりおとなしいこだった。

「イ・ラ・イ・ラするるるぅぅぁぁああ!!」
バキィ!
「いってぇ!こらっ!俺の体なんだから大事にしろよ。それに無暗に看板を壊さない。」
  翔子が殴った『熊、出没注意』の看板は、見事に真っ二つになっていた。
俺の指の付根からは、少し血が滲んでいる。
「なに?あの女?!翔が仕事の事教えてる間もずぅーーっっっと翔の顔ばっか見やがって!
私の翔を汚されたね!犯されたね!!」
「……まぁ、仕事の覚えは早かったから、別にいい……ぐぇっ!」
  喋ってる途中で喉を突かれる。こっちは苦しくて喋れないというのに、同じく苦しいはず翔子は、
そのタフな精神でまだ愚痴をこぼし続ける。
「はぁ!?なに甘やかしてんの?!昔の知り合いだからって付け込みやがって、
翔は覚えてないんだから、シッポまいて消えろっての!……この……ド畜生がぁー!!!」
バキィ!
「ちょっ!やめれって!痛い!」
  また物に当たる翔子。今度は『俺、出没注意』の看板が真っ二つ。
  だが、今日の出会いは、まだまだ波乱の人生の、ほんの序章でしかなかった。

3

「ふぁぁぁぁ……」
  くそう。昨日はやたらと翔子のやつが興奮してたから眠れなかった。
アイツのテンションが高いとこっちにまで影響が来る。
「ふぁぁぁぁ……」
  学校に向かう間、ずっと欠伸ばっかしている。俺の寝不足が翔子にも伝わっているのだろう。
登校途中、ずっと申し訳なさそうにしている。
「その……ごめんね?ショウ〜?」
  ですり寄って謝ってくる。普段はお高くとまり、強気な翔子だが、俺に迷惑をかけたと思うと
こうやって甘えた声で謝る。まるで猫のような奴だ。
  こいつの影響かどうかわからないが、俺の女の好みが猫みたいな女になってしまった。
いいよね、強気反転甘えっ娘。
「ふぁぁぁぁ……」
  学校に着くまで計十回の欠伸。
「ごめん!ごめんね?ショウ、ほ、本当に許して?」
  翔子から計五十回のごめんを聞いた。そんな翔子に「うん、うん。」としか言わない俺鬼畜。
  そんなささやかな幸せに包まれた朝は、教室に入ったとたんにぶち壊される事になった。
  「いやったはぁー!!翔ー!つ、い、に!
  俺の人生エロゲ化計画が実行されることにったぁぁ!!ふげあふぁ!?」

 

「ま、少しは落ち着けよ、圭太。」 
「ふふ、さ、さすが。高速の右を持つ男。相変わらず見えなかったぜ。」
  今、目の前で地面に伏した男、秋川圭太。(自称)俺の親友だとか。
いつも俺に抱き付いて来る度、翔子のストレートに沈む。
「で?今日は何を思い付いたんだ?ん?前は『エロゲ主人公みたいに図書室で勉強する』
  とかいってたよな?」
「ふふ、あの時は図書室の隅で寝ちまってな。誰にも気付かれないで閉じ込められちまったい。」
  言ってる事はキモいが、顔は恐らく学校一のかっこよさだろう。
まぁ、性格がコレだからモテはしないが。
「ふふふ……ぐふふ、つ、ついに、今日!今まで立てたフラグが!ついに起動する!!」
  鼻血を出しながらも、満面の笑みで立ち上がる。ここまで清々しい笑顔。
どうやら今回は本気のようだ。
「ふふ、実はな、今日このクラスに転入生が来るのだよ。……しかも女の子、噂では美人!
……ああ!来たこれで全ては一つに繋がった!謎はとべてすけた!」
「つまりこういう事か?『転入生というのは、昔お前が結婚の約束をした幼馴染み』、と。」

 

「その通りでございます。ちなみにそこは、許婚やいつの間にか出来た義妹も可」
「はぁ、馬鹿馬鹿しい。それこそ正にエロゲじゃねえか。そんな人生あってたまるか。」
  一人悶えている圭太を放置し、自分の席に向かう。窓際の一番後ろ。
あー、今日も暖かい、ベストポジションだ。
「翔、やっぱりアイツとの付き合いやめたほうがいいよ。翔まで変態扱いされちゃう。
  私、そんなのやだよ?」
  翔子の言葉に、首肯する。とはいえ圭太も悪い奴ではない。ただの愛すべき馬鹿なのだ。
「圭太君、キモいから消えて。」
「ていうか、学校やめたんじゃなかったの?」
「君のせいでこのクラスが変質者扱いなんだけどー。」
  哀れ圭太。クラスの女子から罵倒を浴びる。『かっこいい人に触られてもセクハラではない』
という理不尽も、圭太には当てはまらないだろう。
「ホームルーム始めるぞ。こら圭太!なに一人で騒いでんだ。さっさと席に着け。」
  担任が入って来る頃には、圭太はすでに半泣きだった。しょーがねーなー、
昼飯でも一緒に食べてやるか。翔子が少し不機嫌になるかもしれんが、仕方ない。

 

「よーし、じゃあ早速だが……うん、みんな知ってるかもしれんな。
  今から転入生を紹介する。入ってきてくれ。」
  担任が呼び掛けると、前のドアが開く。正直、転入生が来てもなんら変わりないので、
興味が無かったが、あの圭太が美人だと騒ぐくらいだ。面でも拝んでおくか。
「あの、オンナァァァァーーーー!!!」
「ん?!」
  俺が見るよりも先に、翔子の怒声が響く。慌ててその生徒を見ると……
「ああっ!?」
  思わず俺も叫んでしまった。クラスの皆から視線が向けられる。しかし気にしてはいられない。
その転入生は……
「おお、翔、この子はお前の従姉妹らしいな。皆川静流。みんな、よろしくしてやってくれ。」
  ザワザワ…すっげー美人……
  ザワザワ…ウチのクラス、いや、学校一じゃないか?
  クラスのみんなが騒いでいたが、俺はまだ驚きから復帰していなかった。
「みなさん、はじめまして。ご紹介された通り、皆川静流と申します。そちらの皆川翔さんとは、
  相思相愛の仲です。」
「なっ?」
「「「「「「にぃーーー?!?!」」」」」」
「冗談です。」
  そ、そうだよな。よかった、冗談で……
「翔!アイツを、あの女狐を殺す許可を!!早く!ハリー!!」
「翔ー!キサマァーー!俺の静流ちゃんになにをしただぁー!!!」
  ……約二名、本気にしてるやつがいるが。

4

「……ですから、ここの訳は、『この泥棒猫!』ということになります。」
「なんなの?あの女?転校するやいなや、自己紹介で愛の告白?しかも翔に?ありえないわよ。」
  四時間目、英語の授業。すでに昼前だというのに、翔子はずっとこんなテンションだ。
理由は当然、衝撃の転校生、皆川静流。俺の従姉妹らしいが、まったく記憶にない。
親族関係なんて、自分の親以外に接したことはないはずだ。
  でも、先生が従姉妹だっていたんだし、本当なのかも。
「えー、では次、この単語は、『genocide』ですね。はい、リピートアフタミー。」
「しかも休み時間になるたび翔に近付いたりして。ああいうのがストーカーになったりするのよね。
ま、運悪く翔は休み時間は毎回トイレに行ってたけどねっ!」
  せっかくの俺の心のオアシス、風子先生の授業が集中できない。
このかわいい声に癒されるのを毎週楽しみにしてるのに。
『翔子 うるさい』
「だめよっ!私のこの怒りは、決して消えることは……」
『だまらないと 今日はもうくちきかないよ』
「……………」
  ふふふ、かわいいやつめ。

 時はついに昼休み。授業間の休みはトイレにいて凌げたが、さすがにこれはそうもいかない。
ああっ、ほらっ!懸命に話しかけようとする圭太を無視して……
「翔さん、昼休みです。案内ついでに食堂でお昼ご飯にしましょう。」
  ギュム
  何のためらいもなく、俺の手を握り、グイグイと引っ張る。
  ゴゴゴゴゴ………
「………」
  翔子の怒りが、顔を見なくても分かる。ただ、さっきの言いつけを素直に守っているため、
無言のまま自分の手の甲を抓っている。
  翔子による激痛と、静流ちゃんの暖かく、柔らかい感覚に涙が出そうだ。
だめだ、このまま食堂に行ったら胃潰瘍になる。誰か……ヘルプッ!
「………」
「………」
  ふと顔をあげると、捨てられた老犬のような目をした圭太と目が合った。……全然かわいくねぇ。
「け、けいたも、一緒に……」
「えっと、そこの方。いつまでぼーっと立ってるんですか?邪魔、なんですけど。」
「ウワアァァァァン!ちくしょーー!!!」
  哀れ、圭太。静流ちゃんに一蹴され、泣きながら教室を飛び出ていった。
「さ、邪魔ものも……一応、いなくなったので、早く食堂に行きましょう。」

 場所は移って食堂。我が校の食堂のスタンスは、『おふくろの味』らしい。
いかにも『おふくろっ!』と言った感じのおばちゃんが厨房を仕切っている。
「さ、翔さんは何を食べますか?カレー?カツ丼?それともわ…」
「素うどん。安いから。」
「そうですか。では、私も。」
  そう言って彼女はお金を入れ、食券を二枚買いテキパキとうどんを受け取る。
かなり手慣れてる辺り、前の学校も食堂があったのだろうか。
などと考えているうちに、片方のうどんを俺に渡す。
「これぐらい自分で買うよ。はい、お金。」
「いえ、いいんですよ。再会できたお祝いです。安いですけど、気持ちはいっぱいですから」
「あぁ、うん。ありがと。」
  俺のお金を持った手をそっと包む。ああ、やっぱり暖かい……と同時に、やっぱり激痛。
さっきから抓りっ放しの手を、更に爪を立てる。
「ふふふ、おいしいですか?そんな女に奢ってもらった素・う・ど・ん・わぁ〜〜〜?」
  んにゃろう。俺が言い返せないからって調子に乗りやがって。
今一度主従関係をはっきりとさせておくべきだな。

「んんっ。」
  うどんを喉に詰まらせたふりをし、胸を、というか乳首をドンドンと叩く。
当然その感覚は翔子にも伝わるわけで……
「ひぁぅっ!」
  突然のことに可愛らしい悲鳴をあげる。ふふ、これが男と女の違いだ。気持ちよかろう!……が!
「あ、ふるぅぅ。」
  その快感もまた、反射して俺に伝わり、おもわず変な声をあげてしまう。
「…………」
  そんな俺の様子を、静流ちゃんは怒ったような目で見ていた。
「あ、はは……え、と…素うどん、おいしいな。」
「無味、ですけどね。」
  そんな雰囲気で、俺は青ざめ静流ちゃんは不機嫌、翔子は嬉し恥ずかしなまま、
昼休みは過ぎていった。






「あ、もうこんな時間ですね。」
「ん?まだ授業までには時間あるよ。」
  食休み中、急に静流ちゃんが立上がり、そんなことを言う。
「いえ、今日は引っ越しの関係で、早退するんです。ごめんなさい。なんだか慌ただしくて。」
「いや、別に構わないけど……じゃあ、また明日。」
「ええ、そうですね。また今度……」
  すると、彼女は突然、俺耳元に近付き……
「……今度ふたりきりで食べましょうね。」
  そう、囁いた。

2007/08/31 To be continued.....

 

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