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修羅サンタ 〜三択の二択編〜

第1回 第2回
正月編 バトルチョコ編 白い日編 トナカイ恩返し編 黒いサンタ編 6月の花嫁編 水面に映る花火編 外伝 砂浜の砂時計編 壇上の決闘編
運命の交差点編 三択の二択編 二人のサンタクロース編        
美紗の狂愛編 最後のサンタクロース編        
Grunnlegger編 起 老章 前編          


1

秋風が吹き荒み、風に舞い踊る枯葉を見る度に、少しだけ寂しさを感じる11月のある日。

 

「卓也、ちょっと話がある。放課後保健室まで来い」

 

昼休み、いきなり教室に現れた黒百合は、卓也を見つけるや否やそう言い、教室を後にした。
行き成りのことで戸惑っていた卓也だったが、取りあえず言われた通りに放課後になって保健室へ入る。

「失礼します。黒百合先生、話って……」

先月の家庭科室より発生した火災。
それに逃げ遅れた三択による、決死の保健室の爆破。

これらにより火元の家庭科室や周辺の壁、天井などが黒コゲになってしまったが、
人的被害は無かったことが幸いし、直後から改修工事が始まっていた。
まだ工事用幌が所々掛かっているが、2,3ヶ月後には以前の姿を取り戻すだろう。
塗装用シンナーの仄かな香り漂う、保健室の中央に置かれたテーブルと一対の椅子に黒百合は座っていた。

「来たか。まあ座れ。何か飲むか?」
「あ、じゃあコーヒーを」
「分かった」

言われるままに座り、出されたコーヒーを頂く卓也。
挽きたてのコーヒーの芳しい臭いがシンナーと混じり、ちょっと独特な匂いが保健室を包む中―――

う〜〜ん、やっぱり黒百合さん、怒ってるのかな?
先月の火事の時に止められたのにも関わらず、火の中に飛び込んじゃったからな……
でも、そのことについては後悔はしていない。
取った行動は無茶だったけど、三択さんを助ける為なら―――

卓也がブツクサと考えている間黒百合は、座るとコーヒーをブラックで飲み、
おもむろに煙草に火を点ける。

「ふうーーー………、うん、コーヒーと煙草はやっぱり合うなーー」
「はあ……それで、話って……」
「おっと、そうだったな」

まだ吸い掛けの煙草を灰皿に移し、ちょっと温くなったコーヒーを一気飲みして、
一息つくと、静かに話し始めた。

「率直に聞くが……卓也、進路希望用紙は提出したのか?」
「え?は、はあ一応……」

それはつい先日、三択からクラス全員に配られた、高校卒業後の進路の希望を書かされた用紙だった。
卓也ももちろん将来の進路を書いたが、何でそのことを黒百合が知っているのか、聞いてくるのか
さっぱり分からなかった。

「ああ、別に言わなくてもいい。どんな進路を選ぼうがそれは卓也の自由だ。
唯、ちょっとだけ私の独り言を聞いててくれ」
「え、ええ……いいですけど」
「ありがとう」

黒百合は深く、深く深呼吸すると、視線を卓也から窓の外の景色に移し、静かに話し始めた。

「先ずは先月の火事の件。今考えてもいくら三択を助ける為とはいえ無茶だったと思う。
だが、その無茶のおかげで三択が助かったのは紛れも無い事実だ」
「……………………」
「無茶や無謀な行動は決して褒められたことではないが、卓也のその勇気と想いは見せてもらった。
だから卓也、お前が入院中に私から「認定」の証をあげた」
「え、えーーーーー!!!!「認定」の証?そ、それって、その、つまり……」

卓也は反射的に左頬を擦った。
いきなりの告白に狼狽する卓也と、外を眺めながらちょっとだけ頬を染める黒百合。

「まだ続きがある。この行為の意味は分かるな?もし卓也がその気だったら…………
三択を見守り、寄り添い、共に歩んで欲しい。アイツは…………もう一人では生きていけないだろう。
卓也という存在を知ってしまったアイツは…………もう以前には戻れない。
アイツは今まで不幸の連続だった。だから、これから先の人生は幸せになって欲しい。
だが卓也に無理強いはしない。全ては自分で決めてくれ」





「ハ、ハ、ハーーーークシュン!!!……ううーー寒いなーー。って私ってノルウェー出身じゃん。
零下ウン度の国で生まれて育ってきたのに、たかが10度チョイで寒いなんて……。日本に馴染んできたのかしら?
いや、多分卓也が私の噂をしてるのね。んもう……どんなこと話してるんだか♪」

廊下の寒さに身を縮込ませつつ、足早に職員室に戻ろうとしていた三択だったが、
職員室まで数十メートルまで来た所で、突然耳障りだけど聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた。

「この声は……って考えるまでもないわね。何で妹のキンキン声が職員室から?」

ゆっくりと職員室に近付こうとした所、職員室のドアが壁に叩きつけるように開き、
三択は瞬間的に柱の影に隠れて様子を伺って見た。
すると―――

「三択ーーー!!殺す!!絶対殺してやる!!よくもお兄ちゃんを誑かしやがって!!何処だ!!
何処にいる!!!出て来い、三択ーーーーー………………」

職員室から飛び出してきた美紗は、血相を変え、三択の名前を叫びながら三択の居る方の反対側に走っていった。

これ自体は見慣れた光景で、三択も何時もなら冷やかしたり、ちょっかいを掛けたりするのだが―――

「それよりも、何で妹が職員室から出てきて、怒っているのか調べなきゃ」





「あの野郎……」
「いや、もう突然のことで……我々も止めたのですが、何しろ相手はあの「美紗」ですから……
大の大人が数人がかりで取り押さえようとしたのですが、御覧の有様で……まったく訳が分かりませんよ」

話しを聞くとこうだ。

美紗は進路指導の先生に職員室に連れて来られ、進路のことについて説教を受けていたが、
進路指導の先生が急用で席を外し、暫くは大人しくしていたと思っていたら、急に暴れだした―――

とのことだ。

その話しを裏付けるかのように、三択が茫然自失としながら見つめる先には、
原型を留めない三択の机が無残な姿を晒していた。
だが、そんな仕打ちを受けたにも関わらず、三択は溜息を1つ付いただけで、
とても落ち着いていた。

「んーー……まあ余り気にしないで下さい。あれの癇癪には慣れっこですから」

三択がニコニコしながら手を振ったので、他の教師はそれ以上何も言えずに各々の職務に戻っていった。
だがもちろん三択は気にしていない訳が無く、顎に手を当てながらじーーーっと壊れた机を見つめた。

しっかしあの妹、何でまた私の机を粗大ゴミにしたのかしら?
アイツの性格だと、物に当たらないで私に直接襲ってくるはずなのに……
あっ、もしかして、机の上に飾っていた私と卓也のラブラブ2ショット写真を見てキレたのかしら?

三択は散らかった机を漁って見ると、確かに写真はあったのだが、まったくの無傷だった。

あっれ〜〜?これじゃないの?じゃあ何だろ〜??

三択が腕組みしながら机の前で考えていたら、1人の教師が近付く。

「あ、先生。朝に机の上に生徒達の進路希望用紙を置いときました……ってこれは一体如何したのですか?!
まるで此処だけ爆発でもしたような……」
「え?……ああ、先生は今来たばかりでしたっけ。別に何でもないですよ。ちょっとした不慮の事故って所ですよ♪」
「はあ……事故ですか……」

あまりの惨状に続く言葉が無いのか、それ以上は聞かずに去っていった。

進路希望用紙?ああ、こないだクラスで配ったわね。でも何処にあるの?

瓦礫と化した机を探すこと数十分。

あ、これね?

瓦礫の一番下、床にそれらしき紙が散らばっていた。
だが、それらはしわくちゃになったり、破けてたり、足跡が付いていたりと酷い有様になっていた。

その中で、多分美紗が引き千切ったのだろう、細かい紙の切れ端が散らばっていたのが見えた。

あんにゃろ〜、ビリビリに破きやがって!!
一体誰の進路希望用紙なのよ。

幾つかの破片を集める中、ある1つの切れ端に「卓也」という名前があることを発見した

え、ちょっとこれって卓也の進路希望用紙だったの?
ということは、妹はコレを見て破ったって事?
アイツが卓也の進路希望用紙を破るなんて……

散らばっていた紙の切れ端を全て集め、さながらジグソーパズルのように繋ぎ合わせ、
セロテープで止めていった。
そして、幾つか足りない箇所はあったが、おおよその部分は完成した。

ふう〜〜、こんな所かしら。さーて、卓也は何て書いたのかしら?

三択は継ぎ接ぎだらけの進路希望用紙に改めて目を通して見た





そして、その夜―――

 

深夜番組を見ながらビールを飲んでいた黒百合は、突然インターフォンが鳴り、怪訝さを覚えた。

「ん?こんな時間に誰だ?」

既に時計は午前1時。

どう考えても怪しい訪問客に黒百合が右手の拳を握りつつ、扉の覗き窓から外を覗くと、
そこには見知った顔1つ。
取り合えず扉を開ける黒百合。

 

「―――三択じゃないか。こんな時間に何事だ?」
「……………………」
「黙ってちゃわからん。何とか言え」
「…………………………」
「…………ふむ。まあ事情は知らんが取りあえず上がれ」





「さて、尋常ならざることが起きたってことはお前の様子から見てよーーく分かった。
話してもらおうか?―――何があった?」
「………………」

すると三択は、手に握っていた一枚の紙を黒百合に差し出した。

「ん?何だコレは。読めっていうのか?何々……お、卓也の進路希望用紙かーー。…………ん?
な、何ーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

「ふうーー……で、如何するんだ?」
「どうって……うん……」

煙草に火を点け、ゆっくりと吸っている、落ち着き払った黒百合に対し

戸惑いと歓喜が綯い交ぜになっているような、複雑な表情の三択

そして二人の視線の先にある、卓也の進路希望用紙

「はっきりしないな。こうなることはお前が一番望んだことじゃないか。
なのに何でそんなに変な表情してるんだ!!」

ちょっとイライラしたのか、黒百合は三択を睨みつけながら、問題の紙を指でトントンと叩いた。

 

その紙にはこう書いてあった

 

 

「第一志望  サンタクロース」

 

 

「うん……確かにこうなって欲しかったし、正直天にも昇るほど、ううん、宇宙に飛んでいけるほど嬉しいわ。
でも……」
「もしかして……「最後の試験」のことを話してないのか?」
「………………うん」

はあーーーー…………
肝心要のこと言わないでどうすんだ!!
普段のノリでさくっと言っちゃえば良いんだよ!!
……と、言いたいけど、「最後の試験」の内容が内容だからな……

そりゃ、三択も言い出しにくいよな。
とはいえ―――

「三択、私からはあれこれ言えない。逆に聞くけど、アンタは今まで何の為に生きてきたの?」
「へ?何のって……」
「アンタがあの艱難辛苦の数年間を生き抜いたのは何の為?卓也に逢いたかったからでしょ?
卓也という存在がいたからこそアンタは今此処にいるんでしょ?でなきゃとっくに自殺してたんじゃない?」

まったく反論出来なかった。

そう、三択・ロースという存在、人間は卓也無しには考えられなかったのだ。

「確かに「最後の試験」については最終的には卓也が決めることだ。
でも、少しは卓也のことを信じてあげろ。多分彼なら―――」





1人、三択が帰った部屋で黒百合は、溜息交じりに呟く。

「ここでハッピーエンドにならなきゃ……アンタの人生って何だったの……」

 

 

黒百合の家からの帰り道。車を運転しながら三択はこれからのことを考えた。

やっぱり……言うしかないわよね……
でも卓也なら…………私の卓也なら、「最後の試験」も受けてくれるわ。
もう一人なんて…………ヤダ……ヤダよ……

 

 

 

それから一週間後

 

「三択さん、一週間も学校を休んで、やっと今日出勤して来たと思ったら「放課後屋上に来て」だもんな……
何の用だろう?」
「ふんっ!!アイツの用件なんて唯の口実よ!!お兄ちゃんと二人っきりになって、
イチャイチャするつもりなんだわ!!」
「でも、それだったら何で美紗も呼ばれたんだ?」
「うーーん……それが謎なのよね……」

そう、いつものパターンだったら卓也だけこっそり呼び出し、内緒話でもするはずなのに、
今回は卓也と一緒に美紗も呼び出したのだ。

また流血沙汰になるのではないかとハラハラしている卓也に対して、
美紗はニヤニヤと笑いながら指をポキポキと鳴らしていた。

「まあどんな理由にしろ、私もアイツに聞きたいことがあったのよね」
「おいおい、何聞くか知らないけど、穏便にな」
「それはアイツの返答次第よ」

そして待つこと数分。徐に鋼鉄製の扉がゆっくりと開く。

「むっ、来たわね!!」
「三択さん!!」

扉の奥から三択が現れ、ゆっくりと卓也と美紗に近付く。

「さて……美紗!!アンタも呼んだのは私の話を聞かせる為よ。大人しく聞きなさい」

ビシッ、と右手の人差し指で美紗を指差す三択。
だが、その瞬間美紗の怒りが一瞬にして頂点に達し、額に一瞬青筋が浮かべ、美紗の手が動く。

鈍い音と共に三択の人差し指が美紗の手で90度に折れ曲がった!!

「ギャアアアア!!ゆ、指が、反対に……何すんのよ!!痛いじゃない!!」
「ふんっ!!三択のクセに偉そうに私を指差すな!!何様のつもりよ!!!」
「美紗!!いきなり何てことするんだ!!三択さん、大丈夫ですか?」

いきなり美紗に人差し指をへし折られ、しゃがみこんで涙目になっている三択に
卓也が駆け寄り、手の甲に折れ曲がった人差し指を優しく擦った。

「あっ……」
「すいません、美紗には後で言っておきますから。大丈夫ですか?」
「ううん。卓也が擦ってくれたからもう大丈夫よ。それよりも大事な話があるんだけど聞いてくれる?」
「……分かりました」

右手の人差し指を擦りつつ、三択は立ち上がると、心配顔の卓也と
むすっとしている美紗を見る。

「話と言うのは他でもないわ。卓也の将来についてよ」
「!!!…………はい」
「へえーーー………、奇遇ね。私もそのことについて聞きたかったのよ」
「あら。じゃあ丁度よかったわ。その鳥頭にちゃんと記憶しときなさいよね」
「ちょこちょこと私を馬鹿にしやがって……いいからさっさと話せ!!」

顔を卓也に向け、真っ直ぐな視線を卓也にぶつけ、三択は決心する。
今から話す内容を聞いて卓也がどう反応するか、三択は心配でならなかった。
そして正直言って話したくはなかった。

余りにも卓也にとって大きい代償。
見方によっては自分の不幸を武器にして、卓也の同情を買っているのではないかという自己嫌悪。

だが、三択は話す。もしエゴだとしても、三択は卓也が欲しいから―――

 

「まず最初に一週間も学校を休んじゃってゴメンね。ちょっと決心を固めるのに時間が掛かっちゃってね」
「そこまで?!それじゃ相当な覚悟なんですね」
「そうよ。座禅や山岳修行や滝に打たれたり、温泉に入ったりもして……もう大変だったわ」
「最後のは絶対観光じゃない!!前置きはそのくらいにして本題を話せ!!!」
「ちぇっ、せっかちね。……じゃあ話すわ」

この一週間、考えに考えた結論。
生まれて29年の間で一番考えに考え抜いた結論。
そして辿り着いた結論は――――

「卓也……今から話すことはよく聞いてね。実はサンタクロースになる為の「最後の試験」があるの。
その試験の内容は……んとね、あのね、えっと……その……ううーーーー」
「焦れったいわね!!言いたい事があるんでしょ!!さっさと言いなさいよ!!!」

三択からしたら内容が内容なだけに、美紗が喚いたところで三択が簡単に切り出せる訳がなかった。
もちろん三択の望みでもあるわけだから、言わない訳にはいかない。
それが分かっていても、卓也にとってこれから話す内容は大きな決断を迫ることになり、
話すことに是か否か三択は大きく悩んだ。
しかし、最終的に三択は自分の心に正直になる。

それが、この一週間、自分自身と向き合って辿り着いた結論。

私……卓也が大好き。愛してる。だから、だからずっと一緒に――――

一瞬の逡巡を経て、三択は決断する。これがベストだと信じて……

「卓也……私と一部の関係者以外……例えば、貴方の親、友人、その他およそ関わりある人ない人関係なく、
この地球上の人間全ての記憶から「塚本卓也」という人物の記憶を消します。
もちろん、戸籍、本籍、まあ簡単に言うと、「塚本卓也」がこの国で生きた18年間の生きた痕跡は全て消します。
記憶、記録……個人情報も……全て……

「塚本卓也」という人間は始めから存在しないことになるわ。

それでもいい、何もかも捨ててでもサンタクロースになって私と歩みたいって言うなら、
12月25日の午後23時59分までに黒百合と初めて会ったあのモミの木まで来てちょうだい。
……待っているから」

 

 

三択の話はあまりにも突飛な話で、卓也も美紗も直ぐには理解出来なかった。
だが、三択の真剣な表情から、これが冗談などの類では無い事は容易に理解できた。

 

「三択さん…………それって……俺に、今まで生きた俺の存在を、消せって……」
「…………は、はは……あははははは!!!はあ?バッカじゃないの?
そ、そんな戯言信じられるか!!例え本当だとしても、お兄ちゃんがそんなことする訳ないでしょ!!
寝言は寝てから言いなさいよ!!」

卓也の顔には一つの覚悟が出来ているのか、真剣表情が浮かびあがっていた。
それとは反対に美紗は顔を真っ赤にして激怒している。
卓也はともかく、美紗からしたらはいそうですかとそう簡単に納得できる話では無いだろう。

「そして、美紗。アンタとは最後までウマが合わなかったけど、何だろう……上手く言えないけど
良くも悪くも忘れられないキャラクターだったわ。あ、もちろん嫌いだけどね♪
それじゃ卓也、あと一ヶ月しかないけど慌てないで考えててね…………じゃあね」

言うだけ言うと、三択は駆け足で屋上を後にした。
まだ卓也の返事を聞く決心がついてなかったのだ。
全く予想外の告白に、残された美紗は言いたいことだけ言って去った三択に罵声を浴びせた。

「はあ?何言ってんのよ!!私はずーーーっと、ずーーーーーっと前から大っ嫌いだったわよ!!
そんな話認められないんだから!!!」

喚き散らす美紗の後ろで、卓也はただ三択が去った後を見つめていた。

 

 

全ての決着は一ヵ月後―――

2010/12/25 完結

 

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