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分裂少女 「もうひとつの結末」



第1話 『紅い未来』

これはIFの世界……
もしも「女」がこうしたら……
もしもあの時こうだったら……

それはほんのちょっとしたことで始まるもう一つの可能性……

そして……

「女」が黒いオーラを漂わせて男が住んでいる部屋を睨んでいると、おもむろに男が出てきた。
何か買い物にでも行くのだろうか、そのまま何処かへ消えていった。

それを見届けた「女」は残忍な笑顔で

「くっくっくっ……チャンスだわ。今あの部屋には泥棒猫只一人。邪魔者が居ないうちに
ちゃっちゃと「処理」しちゃうか」

足音一つ、物音一つ立てずに、静かに男が住んでいる部屋の前まで来て呼び鈴を押そうとした瞬間

待て!!

インターホンを押す寸前で、「女」の動きが止まった。

待て待て待て。確かに今部屋に居るのは泥棒猫一匹だけ。今このインターホンを押せば
のこのことアホ面下げて出てきた泥棒猫の頭を、この手に持っている石で叩き割り
マグロの解体ショーよろしく、生爪を剥ぎ、指を折り、五臓六腑引きずり出してもいいんだけど、

本当にいいの??

その程度じゃ、気が済まないわ。ただ嬲り殺したんじゃだめ。
魂というか……、心までズタズタにしないと、ね。
そうよ、そうだわ。アイツは私に対してここまでしたんだから、私だって
トコトンやってやるわ!!
じわり、じわりと真綿で首を絞めるようにじーっくりと追い詰めてやるわ……
うふふふふふ………

「女」はそこまで考えた所で部屋を後にし、闇に消えてった。

翌日、普段どうりの朝を迎えて男は仕事に、泥棒猫は家事に勤しんだ。
家事がひと段落した午後、泥棒猫が買い物に部屋を出て数分後、物陰から見守る影があった。

「よし、買い物に行ったわね。行動開始!!」

ベランダ側から排水溝をスルスルと登り、窓に手を掛けてみる。
すると音も立てずに開き、「女」は無人の部屋に侵入した。

部屋は狭いながらもきちんと整理整頓されてて、部屋の真ん中にテーブルにテレビ。
襖で隔てて隣にはベットが置いてあった。

キョロキョロと周りを見ていた「女」はある物を見つけた。
それは男と泥棒猫の結婚式の写真だった。
幸せそうに微笑みながら写っているその写真を「女」は叩き割ろうとしたが―――

駄目駄目駄目!!!そんなことしたら泥棒猫は警戒するわ。
この怒りは腹に溜めて、泥棒猫に吐き出してやるわ!!

他に何か無いかと探していたら、「女」は見つけてしまった。
テーブルに置いてあった

 

母子手帳を

 

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突然、「女」の頭の中で声が響き渡った。

壊せ!!壊せ!!全てを壊せ!!憤怒の心に身を委ねろ!!
殺せ!!殺せ!!邪魔者は皆殺しだ!
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ

「ぐああああああぁぁ!!!!!」
頭の中を駆け巡った破壊、殺人衝動は「女」の自我を奪おうとしたが、「女」は
髪を掻き毟りながらも必死に耐えていた。

壊すことも、殺すことも賛成よ!!でもね、まだ早いわ!「私」が手を下すんだから、
「アンタ」じゃないわ!!!!

この手を泥棒猫の血で真っ赤に染め上げるんだから!!

「はあ、はあ……、ふう、やっと収まったわ。……でも何時まで耐えられるか……おっと
余り時間も無いわね。早く用件を済ませなきゃ」

「女」はつい先程秋葉原で買ってきた物をリュックサックから取り出した。
それは数個のピンホールカメラと盗聴器だった。

「よし、これを……まずはあそこに設置して、と」

プラスドライバーを慣れた手つきでテレビのカバーを外し、中を覗いた。
するとカバーの裏の端っこに数ミリの穴が開いていて、ある機械が張りついていた。

「あ、あったあった。まだ付いてたんだ。これを取り外して、買ってきた最新のに取り替えてっと。
……あれ?」

「女」は自分自身に驚いた。

「何で私、こんなに手際が良いんだろ。まるで初めてじゃないみたい……。
それにテレビにカメラが付いていたのを知っていたような……」

だが今は記憶の引き出しを捜すよりも、機器の設置を急いだ。
暫くして、全ての機器の設置が完了した所で外から階段を上がってくる音が聞こえてきた。

「やば!!」

脱兎の如く入ってきたベランダから外に飛び出し、一気に地面に飛び降りたと思ったら
一目散に走っていった。

「ただいま〜………ん?」

泥棒猫が帰ってきて、部屋に入った瞬間変な違和感に襲われた。

ん……………。何か変ね。何かは分からないけど……。

泥棒猫はふと匂いを嗅いだ。すると

「う!何で血の匂いがするの?」

 

アパートを離れ、走り疲れた「女」はトボトボと歩き、。やがて、近くの公園に着いた。
その公園のベンチに座り、暫くしたら大声で笑い出し

「くっくっくっ………あ―――――――ははははははははははははははは!!!!ーー……、
全ては終わりそして始まるわ。紅い未来が、ね」

2006/11/05 To be continued.....

 

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