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恋ニ堕チル時ハ(仮)



1

これは恋する女の子のお話です。

ある日、少女は少年に恋をしました。

しかし、少年にはとても仲の良い女の子がいたのです。

少女は、どうすれば少年が振り向いてくれるか考えました。

「どうすれば彼は振り向いてくれるんだろう?」
「彼にこの思いを伝えたい」
「でも彼にはいつも要らないモノがくっついてる・・・」
「あの女がいつも邪魔をする」
「あの女、あのメス犬がいなくなれば良いのに」
「あの泥棒猫・・・殺してやりたい・・・」

そこまで考えたところで、少女はふと思いました。

「あぁ・・・そうか・・・ころしちゃえばいいんだ」

ある雨の日、少女は少年ととても仲の良い少女を殺してしまいました。
手には赤く染まったナイフを握っています。
そして頬を赤く染め、少年に思いを伝えました。

「ねぇ、×××××くん。私、あなたがずっと好きだったの」
「ううん、好きじゃない。愛してる」
「そこに転がってるゴミよりもずっと」
「ねぇ、×××××くんは私のこと好きだよね?」
「私は×××××くんのこと、愛してるよ」
「顔も声も体も仕種も」
「全部。×××××くんのものなら全部」
「×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん」

「・・・・・・・・・」

少女と少年がどうなったのか、それからは誰にも解りません。
ただ一つだけ云えるのは、少女は幸せになったということだけです。

めでたし  めでたし

2

ここは雨が降りしきる放課後の校舎裏。

「ねぇ、×××××くん。私、あなたがずっと好きだったの」

下駄箱に入っていた手紙で呼び出されて来てみたら僕の目の前にはありえない光景。

「ううん、好きじゃない。愛してる」

そう告白する彼女の手には血塗れのナイフ。

「そこに転がってるゴミよりもずっと」

足元に倒れているのは恋人未満だけど友達以上に仲の良かった女の子。

「ねぇ、×××××くんは私のこと好きだよね?」

なんだよこれ………演劇部の稽古か新聞部のドッキリ?

「私は×××××くんのこと、愛してるよ」

彼女はナイフをその場に捨て、僕の方へ歩み寄ってくる。

「顔も声も体も仕種も」

どう考えてもおかしいだろ。正常じゃない。異常だ。

「全部。×××××くんのものなら全部」

彼女は何か言いながら近づいてくる。けど。

「×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん」

ココニ居テハイケナイ、逃ゲナキャ!

「う、う、う゛わぁぁぁぁあああぁぁぁあっっっっ!!!」

僕の本能が逃ゲロと叫んでる。
だけど後ろを向いて逃げようとしたら彼女に捕まえられてしまった。
両腕を取られて羽交い絞めされているが女の子なのに凄まじい力だ!
僕は腕力に自信がある方ではないけど、並みの女子よりはあるはずなのに!

「もう、×××××くんたらなんで逃げるの?メス犬を駆除したんだから誉めてよ」
「メ、メス犬?駆除?そ、そんなことよりキミのしたことは殺人じゃないか!」
「違うもん。私の×××××くんに付き纏うストーカー女をちょっと懲らしめただけ。
  それに私の×××××くんを誑かす泥棒猫は殺しても私的には罪にならないもん」

「そうね、私もそう思うわ」

『え?』と後ろを振り向いたとき、僕の目に映ったのは………

………自分を刺したナイフを、今度は持ち主に刺そうとする仲の良かった女の子だった。

彼女は逆襲を開始する。

「はぁ、はぁ、おなかってね、内臓さえ傷つかなければ割と平気なものなのよ」

言ってる割に狙うのは腕や足、それも太い血管ない外側の部分。完全に嬲っている。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺し尽くす。

「ウフ、アハハ、アハハハハハ! 彼に近づく女は許さない! 私は、私は彼が!」

彼女は自身の血と返り血そして雨で滲んだセーラー服のスカートを翻し、
とびっきりの笑顔で宣言した。

「好きなんだから」

2006/10/15 完結

 

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