ここは雨が降りしきる放課後の校舎裏。
「ねぇ、×××××くん。私、あなたがずっと好きだったの」
下駄箱に入っていた手紙で呼び出されて来てみたら僕の目の前にはありえない光景。
「ううん、好きじゃない。愛してる」
そう告白する彼女の手には血塗れのナイフ。
「そこに転がってるゴミよりもずっと」
足元に倒れているのは恋人未満だけど友達以上に仲の良かった女の子。
「ねぇ、×××××くんは私のこと好きだよね?」
なんだよこれ………演劇部の稽古か新聞部のドッキリ?
「私は×××××くんのこと、愛してるよ」
彼女はナイフをその場に捨て、僕の方へ歩み寄ってくる。
「顔も声も体も仕種も」
どう考えてもおかしいだろ。正常じゃない。異常だ。
「全部。×××××くんのものなら全部」
彼女は何か言いながら近づいてくる。けど。
「×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん×××××くん」
ココニ居テハイケナイ、逃ゲナキャ!
「う、う、う゛わぁぁぁぁあああぁぁぁあっっっっ!!!」
僕の本能が逃ゲロと叫んでる。
だけど後ろを向いて逃げようとしたら彼女に捕まえられてしまった。
両腕を取られて羽交い絞めされているが女の子なのに凄まじい力だ!
僕は腕力に自信がある方ではないけど、並みの女子よりはあるはずなのに!
「もう、×××××くんたらなんで逃げるの?メス犬を駆除したんだから誉めてよ」
「メ、メス犬?駆除?そ、そんなことよりキミのしたことは殺人じゃないか!」
「違うもん。私の×××××くんに付き纏うストーカー女をちょっと懲らしめただけ。
それに私の×××××くんを誑かす泥棒猫は殺しても私的には罪にならないもん」
「そうね、私もそう思うわ」
『え?』と後ろを振り向いたとき、僕の目に映ったのは………
………自分を刺したナイフを、今度は持ち主に刺そうとする仲の良かった女の子だった。
彼女は逆襲を開始する。
「はぁ、はぁ、おなかってね、内臓さえ傷つかなければ割と平気なものなのよ」
言ってる割に狙うのは腕や足、それも太い血管ない外側の部分。完全に嬲っている。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。
刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺す。刺し尽くす。
「ウフ、アハハ、アハハハハハ! 彼に近づく女は許さない! 私は、私は彼が!」
彼女は自身の血と返り血そして雨で滲んだセーラー服のスカートを翻し、
とびっきりの笑顔で宣言した。
「好きなんだから」 |