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姉妹日記 『もう一つの姉妹の形』



2.5

  あぁ、もう!なんなのよ!婚約者!?
  涼さんにそんな人がいたなんて思いもしなかった
  夏姉ちゃん・・・・そんな風に呼ぶってことは、幼馴染とかなんかなのかな?
  胸が大きくて清楚で綺麗な女の人だった
  けど、その清楚な雰囲気と同じ綺麗な声で私に残酷な言葉を吐いた
『涼ちゃんの婚約者の夏美です』
  初めて人を殺してやりたいと思った
 
  あ、でもでも!その後はハッピーなことばかりだった
  なんと、なんと!涼さんからデートのお誘いが!
  うぅ・・・・お誘いを受けたのは良いけど、やっぱり自分に自信が持てなかった
  ごめんね、涼さん・・・・涼さんを騙すようなことして・・・・
  本当にごめんなさい・・・・涼さん

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3.5

 春乃の話によるとデートはうまくいったらしい
  けれども私と春乃が入れ替わっていたことを涼さんの妹さんにバレてしまった
  そして、二度と涼さんに近づくなと言われた
  正直な話、私はそんな脅しに屈するような半端な気持ちで恋などしていない
  あの夏美って人にも・・・・冬香って人にも
  絶対!ぜ〜ったい!涼さんは渡さないんだから!!!

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4.5
今日、とうとう・・・・涼さんにあのことがバレてしまった
どうしよう、嫌われてしまった・・・・
涼さんは誠実な人だ、だから嘘が大嫌いだと知っていたのに
私は涼さんを騙してしまった・・・・
嫌われても当然だよね、失われた信用を取り戻すのは
簡単なことではないことは充分にわかっている
けれども!私は身も心も涼さんに捧げた(つもり)
なのです!絶対に諦めたりしません!
もっと、もっと!女を磨いて涼さんが振り向くほど良い女になる!
それで失われた信頼もゆっくりとけど必ず取り戻してみせます!!

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5.5

深夜、突然鳴ったケータイを取り私は送られてきた写メールを見て深く絶望した
それは・・・・あの冬香という子と涼さんが口付けているモノ・・・・だった
そして、鮮明に蘇える夏美って人との涼さんのキスシーン
送信者は非通知で解らなかった、けれども・・・・
メールの最後に文面があった
『お兄ちゃんは、わ・た・し・の・も・の』
本人が送って来たんだ、許せない!
私が涼さんを好きなのを知っていて!よくもよくも!!!

その翌日、私は涼さんの友人に頼み込んで涼さんの電話番号とメールアドレスを聞き出した
早速メールを送ったけど、返事は無い・・・・
今日は土曜日、こんな気持ちであと2日も耐えるなんてこと、私には出来なかった
膳は急げ、私は涼さんの家まで向かった
もちろん、住所も涼さんの友人に聞いていたので難なく涼さんの家までたどり着けた
待つこと一時間、ようやく涼さんが顔を出してくれた
思わず笑む私に涼さんは急いでカーテンを閉めてシャットアウトしてしまった
数分後、私は悪魔の喘ぎを聞いた
カーテンの隙間からチラッと見えた悪魔は私を見て微笑した

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5.6

 そう、あれは秋の紅葉がはらはらと舞い、綺麗に道を赤に染めていた季節だった
  まだ小学生になったばかりの私は親戚の家に来て、まだ見ぬ景色に惹かれ
  秋の紅葉の彩りに誘惑され、一人その道を歩んだ
  歩く度に新たな景色が広がり私はその景色を必死で追った
  その結果、幼い私は道に迷ってしまった
  されに不幸は続いた、あまりに夢中になっていたので外の色は夜のそれに変わってしまていた
  泣くことしかできなかった、小さな私の小さな泣き声は夜の闇に覆われてしまい誰にも届かなかった
  孤独感で胸をいっぱいにしながら私は叫んだ
  助けて!私を見つけて!・・・・と
  すると不意に私の腕が引かれ、王子様が姿を現した
  それは・・・・まだ幼いお兄ちゃんだった
  赤みがかった茶色の髪を夜風に揺らしながらお兄ちゃんは静かに笑んだ
  親戚のお兄ちゃん、私にとってそれだけの存在だったのに
  その日からお兄ちゃんは私にとって王子様になった
  
「ねぇ、冬香・・・・あんたのお兄さんって付き合ってる人いるの?」
  お兄ちゃんと同居を始めてすぐ、友達の鎌瀬狗沙良がそんなことを聞いてきた
「さ、さぁ・・・・解らないよ」
  お兄ちゃんの恋人になりたい、そうは思ってもお兄ちゃんの恋人の存在なんて見たくもないし
  知りたくもない
  だから私はお兄ちゃんからそういう話を聞かないようにしてきた
「ならさ、コレ・・・・渡してくれないかな」
  手渡されたそれはピンク色の封筒に包まれ、ハートマークのシールがそれを止めていた
「なに?これ?」
  解っている、ラブレターだ・・・・けど、いまどきラブレターって
  古すぎ・・・・
「ラ、ラブレター、その・・・・ほら!あんたのお兄さんすごく可愛い顔してるじゃん!だからね!」
  私はニコッと笑むと渡されたラブレターを目線まで持ってきてビリッと破りそのまま捨てた
「な!なにすんのよ!」
「うっさい、あんたなんかに私が何年も言えなかった事、先に言わすか!」
  バチン!乾いた肌の音と共に私の頬が赤く染まった
  思い切り睨み返してやると沙良はさらに憤怒し私の頬を叩いてきた
  痛みは感じなかった、それよりも悔しかった、こんなにも簡単にお兄ちゃんに気持ちを伝えようと
  出来るなんて
「人に頼んで自分の気持ち伝えようとする女・・・・お兄ちゃんが見るわけない!」
  そうだ、自分の言ったことに自分で妙に納得してしまっている
  ここは強気よ、お兄ちゃんのことを想えば友情がひとつなくなるなんてどうってことなかった
「それに、お兄ちゃんはあたしが好きなのよ!だからあんたなんて眼中にないの!」
  言葉で怯ませた隙に私は思い切り沙良の頬を叩いてやった
「ふん、負け犬!」
  私は悪役のような捨て台詞を残して、頬を抑え悔しそうに私を睨む沙良を
  誰もいない夕暮れの教室に残して出て行った

 帰って来て、私一番にお兄ちゃんに甘えようとした
  けれど、お兄ちゃんの様子がおかしいのに気づいて私はそれを途中でやめた
  元気のない、お兄ちゃん
  反対に肌の艶が増し、嬉しそうなお姉ちゃん
  これは、二人になにかあったんだ
  幼い女の勘が私にそう告げていた
  その夜私は行動を起こした
  夜遅くお兄ちゃんの部屋に向かい
「失恋でもした?」
  直球でそう聞いた・・・・
  そして、私たちはいつの間にか唇を合わせていた
  その瞬間私の頭の中で独占欲が噴出した
  こっそりケータイでその様子を撮り、最近お兄ちゃんを惑わしていると評判の
  南条秋乃のケータイにそれを送った
  番号は前に南条秋乃のケータイを偶然私が拾いそのときに確認済み
  私はフッと笑んでお兄ちゃんの背中に手を回しその裏でケータイで南条秋乃に
  私とお兄ちゃんの愛し合ってる証拠を送った
  もちろんそのあと沙良にそれを送ってやった
  お兄ちゃんにこれ以上誰も近づかないように・・・・

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6.5

私・・・・決めたの・・・・もう自分は偽らないって
  ほんとの私を見てもらおうって
  あれはね、涼さんのメッセージだったと思うの
  本当の私は魅力的だって、そのためにあの女どもを利用したんだって
  そうとも知らずに・・・・ふふ、バカは人たち
  それにね・・・・涼さん・・・・
  もう限界、待てない!我慢できない!
  涼さんとキスしたい!
  涼さんのファーストキスは奪われてしまったから、あの女どもの数千倍
  ううん、数万倍私が涼さんとキスする!
  抱いてもらうのだって同じ!
  涼さんは私のモノ!もう誰にも触れさせない!
  それとあとであの女どもに思い知らせてやる・・・・
  自分たちがいかに愚かなことをしたか・・・・
  見てなさい・・・・・ふふ

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7.5

 もう、涼さんってば・・・・いくら私が大事だからって
  クラス全員の前で・・・・あんな
  嬉しくて、キス・・・・しちゃった♪
  照れりこ照れりこ♪
  そうだよね〜、涼さんはほんとは私が好きで好きでどうしょうもないんだよね〜
  その気持ち、私はしっかりと受け取ったよ♪

 そのあとの照れ隠しのツンツン具合もまた絶妙
  涼さんってば、私を焦らす天才だね♪あはっ♪
  あ、いけない・・・・私一人浮かれていてはいけない
  聞くところによるとあの女共、冬香と夏美は切迫する家庭事情の為親戚の家のお手伝いを
  しなければならなくなったらしい
  ふん、そのまま帰ってくるな、ブタ女ども!
  あ〜!折角涼さんとの甘甘ラブラブストロベリーな余韻を味わっていたのに!
  そうだ、そんなブタ共なんかよりも涼さんのことだよ!
  きっとブタ共がいなくなってせいせいしているだろうけど、食事の面では苦労しているはず
  ここは恋人の私が涼さんの面倒を見てあげないとね♪
  どんな顔するかな?嬉しさのあまり、私が涼さんにいただきま〜す・・・・かな?
  きゃは♪一度やってみたかったのよね〜、ご飯ですか?お風呂ですか?そ・れ・と・も
  きゃは〜〜〜〜〜♪想像するだけで頭から湯気が出るよ
  あ、その前に満面の笑みで伝えよう
  涼さんのこと、大好きだって・・・・てへ♪

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2006/08/24 To be continued.....

 

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