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死の館



登場人物紹介

南校生徒、山岳部
1:井田 敦也(イダ アツヤ)二年三組。
無愛想で、友達は少ないが、その友達の質は高い。いつも冷静沈着。

2:高田 翔太(タカダ ショウタ)二年三組。
自称、敦也と親友関係。もてたいがそれが前に出過ぎるため、もてない。童貞。
学園卒業前に、脱童貞を目指す。

3:桐谷 美保(キリヤ ミホ)二年三組
敦也の幼馴染みであり、唯一敦也が普通に話せる相手。敦也の事が好きだが、その事に疎いため
ヤキモキしている。影の学園アイドル。

4:市原 奏(イチハラ カナデ)二年四組
自他共に認める学園のアイドルだが、少し我が儘なとこが玉に傷。容姿端麗、頭脳明晰と、
完璧なタイプ。それを鼻にかけるのがまた厄介。

5:神崎 光(カンザキ ヒカリ)二年四組
活発で、男勝りな所があるが、美少女の部類に入る。翔太とは喧嘩友達といった辺りだが、
互いに好意があるかは不明。

6:神崎 明(カンザキ アカリ)二年二組
光の双子の妹だが、性格は正反対でおとなしく、地味。そのため、双子でも簡単に見分けられる。
昔、目の手術に失敗し、眼鏡が無いと何も見えない。

7:楠木 絵理(クスキ エリ)二年一組
昔の事故により、片足が不自由な女の子。既に治っているのだが、精神的なもので動かないため、
筋力が衰えてしまった。読書が大好き。

8:高田 由良(タカダ ユラ)一年二組
翔太の妹。兄譲りのお調子者な性格で、ムードメーカ的な存在。翔太の友人である敦也が好きだが、
美保の気持ちを知っているので抑えている。

9:馬場 隆(ババ タカシ)
25歳。筋肉質で、いわゆる体育会系教師。山岳部顧問であり、今回の部活旅行の引率。
生徒からの評価は、ごく普通。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

洋館の主
春川 知奈美(ハルカワ チナミ)本名かは不明。
今回山岳部に招待状を出した、奏の親戚。とはいえ、奏も見たことがなく、どんな人なのかも不明。
噂では、若くて美しい女性だとか。

1

――敦也
きっかけは何気ない一言だった。
「夏休み、みんなで旅行に行かない?」
奏の提案だった。俺達山岳部……とはいえ、ほとんど活動はしてない……が、
奏の親戚の家に招待された。俺は面倒だと言ったのだが、美保に強引に連れられてしまった。
そして今はバスの中。日も暮れて来た時間、山中を進む。かなり高い所まで来た。
隣りでは美保が熟睡して居る。無防備なもんだ。
外の味気無い風景を眺めていると、前に座っていた翔太が、イスから身を乗り出して話しかけてくる。
「おう、敦也。実はな、今回の旅行、俺には計画があるんだ。」
「…計画?」
面倒に思ったが、一応返事はする。
「人里離れた洋館……たくさんの美少女達……この条件から導かれるのはただ一つ!脱・童・貞!
だぁぁぁぁ!!!!」
お前が報われないのはそこにあるんだぞ?といいたくなるが、黙っておく。言っても無駄だし、
自分で気付かないと無意味だろう。
「な?お前も乗るだろ?」
「断る。」
俺にとっては、完全に無意味なことだ。この後、そんな余裕もない程悲惨な旅行になるとは、
俺も含めて誰も知らなかった………

――由良
「脱・童・貞!だぁぁぁぁ!!!!」
兄さんがまた変な事を叫んでいる。妹として、兄のイメージ低下は避けて欲しい……
でももう手遅れみたい。みんな引いちゃってる。
はあ、なんであんなのが兄なんだろう。ほら、敦也さんにだって軽くあしらわれちゃってる。
……かっこいいなぁ。
でも、そんな敦也さんの肩に頭を乗せながらぐっすりと寝てる美保さんを見ると、胸が痛くなる。
『私、あっちゃんが好きなんだ、幼馴染みとしてじゃなくて……男の子として。』
それを相談されたとき、本当に泣きそうになった。でも、私も敦也さんが好きだと言ったら、
きっと美保さんは身を引いてしまう。優しすぎるから。
そんな事をさせてまで、敦也さんに好きだと言える事なんて無理。だから私は黙っていた。
美保さんも好きだから、二人には幸せになって欲しい。
私が……私さえ我慢すれば、全部丸く収まるんだ。だから我慢…………でも、黙っていれば、
離れて見てていても構いませんよね?
兄さんを避けるように顔を背けた敦也さんと目が合い、苦笑いされる。
ああ……また、私の胸が疼く……敦也さんがイケナインデスヨ?

――翔太
俺の懇願虚しく、周りからは色のいい反応はもらえなかった。
「な?お前も乗るだろ?」
無理やり敦也を誘ってみる。わが親友ならわかってくれるはず……
「断る。」
と思ったが、こいつはそういう奴だったよ。ちょっと腹癒せにからかってみる。
「お前はいいよなー。もうかわいい候補がいるからさぁ。」
敦也の隣りで寝てる美保ちゃんを見ながら言う。どうみても美保ちゃんが敦也に好意を持ってるのは
バレバレだ。だから俺としても二人がくっついてくれるのはありがたい。
だから絶対に美保ちゃんには手を出さないようにする。ただ一つ問題なのは……
「候補?誰が?なんの?」
敦也本人が爆発的に鈍感って事だ。わざとか?と思うほど、色恋ざたははぐらかす。
「美保ちゃんが、さ。」
「まさか。」
苦笑いしながら顔をそらす。その目線の先には由良がいた。……む、こいつ、もしや俺の妹狙いか。
もし由良と敦也が結婚までいくとなれば……
『今後ともよろしくお願いします、兄さん。』
『兄さん』『兄さん』『兄さん』
それを想像しただけで吐き気が…………

2

――美保
とても心地良い、あっちゃんの肩。寝たフりしてるけど、本当は最初からずっと起きてる。
ドキドキして寝れないから。
考えてみれば、あっちゃんが居る旅行なんて初めて。無理やり連れて来てもよかった。
翔太君が変な事を叫んでいたけど、私も似た様なことを考えている。
この旅行の間に、あっちゃんと………
そんなことを考えていたら、体が熱くなってきちゃった。いけない、いけない。私は変な子なんだろうか?
誤魔化そうと薄目をすると、あっちゃんが私を見ていた。一瞬似して体が硬直してしまった。
な、なんでこっちを見てるの!?
「こいつ……」
なにか呟いてる。
「面白い癖っ毛だな。」
ガクッ
はぁ、なんか期待外れ……まあ、あっちゃんに期待するのも無駄かな。私が引っ張っていかないと
だめだからね。

そろそろ起きようかと思った時………
ガタン
「んん?」
バスが少し揺れ、運転をしていた先生が声を出す。
「おかしいな……ガソリンはまだあるし、故障か?」
周りから不満の声が上がる。
「いいじゃない、あれが目的地なんでしょ?あれぐらい歩いて行きましょうよ。」
奏ちゃんがそう提案した。

――奏
私が提案したように、皆で森を抜け、歩いて洋館まで向かう。
まったく、こんな不便な所に別荘を建てるなんて理解できない。しかも余り知らない親戚から
招待されるなんて、なんかおかしい。
でもまあ、みんなそれなりに楽しみ似しているようなのでよしとする。
少しだけ舗装された道を歩くこと数十分。やっと正門までたどり着いたけど……
「で、でけぇ〜〜!!」
翔太君がみっともなく大声で叫ぶ……無理もない。本当に大きいのだ。山の森に隠れていたためか、
近付くまでわからなかったが、正門から見ただけでもウチの学校の校舎ぐらいはある。
こんなところに住むなんて、とても疲れそうだ。
「あ、あれ何?」
エリっちが不思議そうに指差した先には……
「時計塔、か。」
あら、珍しい。敦也が答えるだなんて。
確かにそこには時計塔があった。ちょうど私達の居る正門とは正反対で、
洋館を線対称に分けるように中央にそびえたっている。
夜の闇にライトアップされたそれは、妙に不気味に見えた。その上……
「つ、つめたい!」
雨まで降り出した。敦也君が珍しくしゃべるからよ!

――絵理
「ほら、冷えてきたから、さっさと入るぞ。」
先生が促すと、皆で正門に入る。松葉杖をついている私を、光ちゃんが、しっかりと支えてくれる。
こんな私が山岳部なんかに入った理由がこれだ。
障害があり、なかなか部活に入れなかった私を、カナちゃん(奏)が誘ってくれた。
ちなみにカナちゃんが山岳部に入った理由は、『暇そうだから』らしい。
それから私とカナちゃんは親友になった。カナちゃん以外も皆優しくてとても助かっている。
庭の中央まで来た時、異変は突然起こった。
ガシャン!
大きな音がして振り返ると、鉄の正門が閉じていた。
「風かな?」
光ちゃんが言った直後………
ガルルルルル……ワンッ!!
犬の吠える声が聞こえた。よく見ると、庭の隅の穴から、五匹ぐらい這い出ていた。
その私たちを見る目は、餌に飢えた獣のようだった。
「あ、あれって!軍用犬じゃない!みんな逃げて!」
そうカナちゃんが叫ぶと、皆スイッチが入ったように混乱し、玄関へと走り出す。そんな中私は……
「いよっと!」
翔太君におぶられていた。………そんな翔太君の横顔が、なんとなくかっこよく見えた………

3

――敦也
「ハァ、ハァ、ハァ」
皆急に走ったため、息が切れている。なんとか走り抜き、ドアを閉め、犬を追い払う事ができた。
「か、奏!なんであんなのがいるんだよ?」
「知らないわよ。私だって聞きたいぐらいだわ。」
さすが自称アイドルを誇るぐらいだ。もう息も整え、平然と返事をしている。
「あ、あっちゃん!大丈夫?怪我なかった?」
「おまえな…俺の事より自分の事心配しろよ。お前こそ、怪我してないか?」
「うん…ありがと。」
そう言うとホワッと笑う。
「しかし許せんな。あんな凶暴な犬を放し飼いにしておく上、迎えも無いとは……
ここの主と話をつけてくる。」
「私も行きます。私がいないと話にならないでしょうから……とりあえず、
適当にこちらに行ってみましょう。」
言うやいなや、先生と奏は十数枚あるドアのうちの一つを開け、さっさと行ってしまった。
「あっちゃん……どうする?」
「散歩でもしながら適当に時間つぶすさ……一緒に行くか?」
「うん!」
それを聞き、俺は美保と一番入口から遠いドアを開け、入っていった。それは……地獄の幕開けだ……

――光
「ひ、光ちゃん……やめようよ……勝手に入ったら怒られちゃうよ?」
「なぁーに心配してんのよ。大丈夫だって。」
私は明と洋館を探索し始めた。あの様子だと先生達が戻ってくるのは遅くなりそうだ。それに……
「こういう広い家……私の冒険家としての魂が燃えるわよ!!」
「だからまずいってば〜。」
まったく、相変わらず弱気ね、明は。私達は双子だってのに、こうまで違うのかしらね。
「なによ、あんただって図書室があるかも、っていったら喜んだじゃない。同罪よ。」
「そんなぁ〜」
「それに、あんなめにあったんだから、これぐらいは許されるわよ。」
おどけながらもしっかりとついてくる。見掛けによらず、本に関しては貪欲だ。本が嫌いな私とは、
本当に正反対だ。
やっぱ本なんか読むよりスポーツよねー。
「それにしても…本当に広いわね…」
廊下だけでも、相当な長さだ。電気は着いているが、小さな豆電球が等間隔で点いているだけなので、
全体的に薄暗く、廊下の先もよく見えない。
……正直に言えば、不気味なのだ。
「ほら、この部屋なんか面白いドア……あれ?」
振り返ると、いつの間にか明が居なかった。さっきまではいたはずなのに………

――???
あなたがついにやってきた。私が招待した洋館へ。でも、正確にはこの洋館に
すんでいいのはあなただけ……
他の人は皆消すだけ。私とあなたは一生をここで過ごす……最初の犬に、誰も食い殺されなかったのは
残念……でも安心して。
邪魔者を消す方法なんて、いくらでもあるから……私にまかせてくれれば、きっと……いえ、
絶対うまくやってみせる。
「ん?おお、――か。こんな所でどうした?」
馬場隆……あなたの通う学校の先生…邪魔な人…
私は誤魔化すため、道に迷ったと言う。あたりに人はいない。殺るなら今。
「そうか、じゃあ俺と一緒にホールに戻ろう。この洋館に住んでる人が見当たらん。」
そう言うと、なんの疑いもせず、背中を向ける。……馬鹿な人。背中に隠していた
ネイルハンマーを取り出し、振りかざす。…もちん、釘抜きの方を向けて………振り下ろす!
ガッ!
「ぐあ!?」
一撃で膝を突く。まだまだ足りない。消えてもらわないと。
ガッ!ガッ!
「やめ…――!な、にを……す……」
私の名前が呼ばれるが、構わない。私の名前を呼んでいいのはあなただけだから。
他の奴等は……虫酸が走る。
ガッ!ドカッ!グバッ!
打撃音が水気を含む音に変わる。
「ふふふ…アハハハハハはははははは………」
グバッ!ドッ!グシュッ!
もう完全に死んでいる。それてもまだ振り続ける。あなたのためにしていると思うと、
快感で体が熱くなり、止まらなくなる。
「まっててね……私の大事な大事な……なによりも大事な弟………――ちゃん…ふははは……
あっはは………」
気付けばもう、叩くところが無くなっちゃった……残念………

4

――敦也 〈一階東側通路〉
「なんてこった……」
しばらく歩き進んで初めて気付いた。この通路には所々、廊下を区切る様にドアが設置してあった。
やたらと枚数が多いと思ったのだが……
「一方通行とはな。」
ホールから見て奥へ進むと、その側のドアに取っ手が無かった。
「どうしよう、あっちゃん……戻れないよ…」
美保が泣きそうな顔ですがりついてくる。こういう時に慰める術を俺はよく知らない。
「戻れない事もないだろ。そんな家があってたまるか。…先に進んで一周でもすれば戻れるさ。」
どうしてかこう刺のある言い方になってしまう。人を拒絶する傾向があるからか。
「えぇ〜。本当に?」
知るか。と口に出そうだが、喉で止めておく。……美保にだけは、俺を軽蔑のまなざして見てほしくない。
「大丈夫だ…いくぞ。」
「あっ……」
グイッと手を引っ張って行く。これぐらいしないとなかなか先へ進んでくれないからだ。
そうやって手をつないだ途端、黙ってしまった。
「ん?」
そうしてまたドアを開けた途端、激しい違和感に襲われる。すぐにわかった。
この通路だけ、横に部屋がないのだ。
ドアは突き当たりの一枚のみ……進むしかないか。
「なに?これ。」
そのドアにはドアノブが無く、一枚の紙が貼ってあるだけだった。
「えーっと……『スペインとサイパンの違いはな〜んだ?わかったら大きく叫ぼう』……?」
その問題を読んだ瞬間……
ガコォンッ
なに大きなものが外れたような音がし、振り返ると………
「まじかよ…」
さっき閉めたドアが、ゆっくりと迫ってきた…………

――奏 〈一階西側通路〉
「もう……なんなのよ、ここ……」
私は完全に道に迷ってしまった。いや、この場合家に迷ったと言うべきか。
その上先生ともはぐれてしまった。……この歳で迷子だなんて勘弁だが、そうも言ってられない。
携帯を見てみるが、完全に圏外。いまどき電波の届かないところなんてあるのね………
とりあえず、ポケットにある飴玉を舐めて気持ちを落ち着かせる。甘い物は鎮静剤になる。
「落ち着け……常に冷静に。」
それが私の好きな人の口癖であり、モットーであった。もっとも、その人の事を考えると、
落ち着いてもいられなくなるのだが。
適当にドアを開け、部屋に入ってみると、そこには幾つかの本棚と、机、その上には本が開いてあった。
「さしずめ書斎っつとこね。」
臆する事無くイスに座り、本を覗いてみると………
『森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介………いずれも世に名高い賢者である。
だが、今の時代には欲にまみれた愚者と成り代わるものあり。
さて、その名を叫び、世に知らしめよ。わからぬ者、自然の恵みにあやかる資格なし。』
「……?」
まったく意味不明。これが一体なんだと……

ガチャ
席を立とうとした瞬間、横から出たベルトに体を固定される。
「な、なんなの!?悪ふざけもういい加減に……っ!」
少し叫んだ時気付いた。……酸素が…薄れてる……

――翔太
皆で洋館の探索に行っちまったため、ホールには俺と由良と絵里ちゃんが残っていた。
「由良、お前は探索に行かなかったんだな。こういうの好きそうじゃねぇか?」
「私はそんな子供じゃありまん。それに、絵里さんと二人っきりにしたら何をするかわからないので。」
「アホか。俺はそんな鬼畜と違うぞ。節度ある紳士で……」
「紳士はバスで叫びません。」
くっ!さすが我が妹。人の揚げ足をとるのがうまくなってきたな。これは要注意だ。
三人でしばらく雑談していると……
「答…は……の数…!」
どこかのドアの向こうから、叫び声が聞こえた。あまり内容は聞き取れなかったが。
その瞬間、ドアの一つが開き、中から敦也と美保ちゃんが出て来た。
「めずらしぃな。敦也が大声出すなんて。ゴキブリでもいたか?」
「そんなんじゃないんだよぉ。大変だよ、この洋館……」
美保ちゃんが必死な顔で説明する。一方通行の通路。なぞなぞと迫ってくるドア。
……まったく信じられなかった。
「おいおい……冗談だろ?それじゃあまるで、からくり屋敷どころか、殺人館じゃねえか!」

――由良
さすがに今回のことは信じられなかった。いくら敦也さんの言葉とは言え、
人殺しの罠なんてないと思ったが……
「はぁ、はぁ、み、みんな無事?」
足下がおぼつかない奏さんが、ホールに入ってきた。かなり息が上っているようだ。
そして奏さんからも聞いた。洋館の罠を。
「そう……敦也君たちも引っ掛かったのね…」
「ああ、なんとか解けたけどな。……あの庭の犬と言い、本当に冗談じゃすまされないな。」
目の前の会話がとても難解だった。実際自分が体験していないからなんだろうけど………
「あれっ?みんな集まってなにしてんの?…先生居ないみたいだけど……」
明さんと光さんが一緒にホールへ来た。これで先生以外は揃ったことになる。
奏さんの話を聞いてから、恐怖感が込み上げて来て、寒気がした。今だけ……今だけなら。
そう思い、敦也さんに近付き、自然な形で寄り添った。
「なんか……怖いです。」
「大丈夫さ……なんとかなるさ。」
そう言ってもらうだけで気持ちが楽になった……そのとき。
「由良ちゃん!!」
いきなり美保さんが叫んだ……
「誰かが殺人者かもしれないんだよ!!?あっちゃんから離れて!!」

――???
結局、見回りだけでは誰も罠に掛からなかった。しかも、大切なあなたが罠にかかってしまったのは誤算だ。
あなたになにかあったら……私……。
でも誤解しないでね?あなたじゃなくて、その隣りに居る邪魔者を潰したかっただけなの……そう、
自分の感情を押さえ切れず、後輩にキレてる醜い女を……
「落ち着けって!美保!…由良ちゃんは悪くないだろ?」
あなたの怒気を含んだ声……少しこまった顔……それを見て、聞くだけで、体が熱くなってしまう……
下着ももう、ビショビショなのよ?
「◆†≠…!……鵲僉堯鵞!!?」
「@&*≒√だ…ろ!?」
あなた以外の声はすべてノイズになってしまう。聞き取る必要も無い。うるさい。うるさい。うるさい。
うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。
あなたがここに居なかったらみんな消してしまうところだ。でもそれじゃだめ。
あなたの見ていないところでやらないと。
「くそっ……奏。先生はどうした?」
「…れが……≠鵲僉襦棔次帖
何?あの男を探してるの?だったら見せたあげる……もう、直視できない様な形だけど、ね。

5

――敦也
「ね?あっちゃん、私の隣りに居れば安全だから……みんな…みんな危ないんだから!」
軽く美保が錯乱し始めていた。あんな目にあったからだろうか。あからさまに周りと接する事を避けて居る。
「ははは……や、やだなあ、美保ちゃん。俺達が危害加えるわけないだろ?」
翔太が慌てて仲裁に入る。確かに、今の美保の言ってる事はめちゃくちゃだ。
と、その時、ひゅっと風を切る音。
「え?」
ガシャーーン!!!
振り替えると、中央にシャンデリアが落ちてきた。誰もいなかったため下敷きにはならなかったが、
そこには………
「き、キャーーー!!イヤァーー!!」
一斉に飛び交う複数の叫び声。恐怖、驚愕、悲しみ……そこにはすべてが混じっていた。
そう、そのシャンデリアには………
「はは、あは……う、嘘だろ?」
フラフラと近付く翔太。目線はただ一つ……シャンデリアに巻き付く様になっていた死体だった。
それはもう直視出来る様な物ではなかった。頭は潰され、血は体中にべとべとと張り付き、
強烈な死臭を放っていた。俺も込み上げる吐き気を抑え、何とか近付き、確認する………

――奏
「これは……先生、だな。顔は潰されてわからないけど……服と言い、体格と言い、間違いないだろ。」
「……ドッキリなんだろ?なあ、敦也?」
そんなわけない。離れて見ても本物の死体だとわかる。こんな匂いを、偽造できっこない。
でもまずい。この状況で疑われるのは……私だ。
「奏ちゃん!?」
真っ先に美保ちゃんに呼ばれた。いや、名前を叫ばれた。ああ、違う。私じゃ……ないのに。
「奏ちゃん、先生と一緒にいたんでしょ?これ、どういう事なの!?」
「そんな……私じゃ…ないよ………私は……」
「奏ちゃんが……やったんじゃないの!?」
「違う!私だって、途中から先生とはぐれて……それで……」
いくら弁解しても周りの疑いの目ははれない。
「おい、よせよ美保。言い過ぎだ。」
「そ、そーだって……たはは……」
こういうとき、男子はフォローしてくれる。
「あっちゃん!いくら奏ちゃんだからって庇わないで!」
「そうよ……一番疑いがあるのよ?」
女子は醜さが露にされる。えりっちまでも私を疑う。酷い、酷い!
「私じゃない!!……あなたたちの中にだっているんじゃないの!?」

――絵里
正直、私も完全にカナちゃんが殺ったと思った。だって、他にできる人なんていない。
でも、もしカナちゃんが犯人なら、理由が全く見当たらない。
少なくとも、カナちゃんが先生に殺意を抱いていたということは見えなかった。
人の心は友達でもわからないけど…
「いやよ…もう、いや、イヤァ!!」
突然、明ちゃんが狂った様に叫び、一人で走りだして勝手にドアの向こうへ入ってしまった。
「あ、明!!」
呆然として立ち尽くす七人。この複雑な洋館に加え、館内を彷徨っているかもしれない殺人鬼のことを
考えると、疲れるのも当然か。
「取りあえず……こうしててもなにもかわんねぇし、明ちゃん探すついでに、
此所から出る方法も考えようぜ。」
翔太君が案を出す。普段はおちゃらけているけど、こういう時には頼りになるのかもしれない。
「そうだな……明を探す班と、脱出法を探す班。二つに分けるけど、いいか?」
それに続いた敦也君の提案に、他の人達もうなずき、賛成する。ただ、私と美保ちゃんは少し渋った。
それもそのはず、殺人鬼が仲間にいるかもしれないのに………

6

――翔太
翔「これでいいな。」
なかなか納得のいく分け方になった。明ちゃんの行ったドアを進むのが、俺、由良、光。
まだ誰もも入っていないドアへ、脱出法を探すのが、敦也、美保ちゃん、奏、絵里ちゃん。
敦「じゃあ、気をつけてな。」
敦也に励まされる。そんなこと初めてで、変に寒気がした。照れ隠しに頭をかき、返事をする。
翔「はは、こっちは大丈夫だって…お前らこそ、気をつけろよな。」
最高の笑顔を見せてやろうと、顔をあげた……が。
由「兄さん……もうみんないっちゃいましたよ?」
敦也班は誰ひとりみてやいなかった。ちくしょう……
光「ほら、早く行くわよ!翔太。明が危険な目にあってるかもしれないでしょ!?」
グイグイと馬鹿力で引っ張られる。相変わらず強引な奴め!
翔「だぁ!もう、大丈夫だっつの。明ちゃんはお前の妹なんだ。殺人鬼の一人や二人ばったばったと……」
由「兄さん、今はそんな冗談言ってられないと思いますよ……本当に。」
確かにそうだが、これでも自分では畏怖しているんだ。……誤魔化すためにおちゃらける。
これが俺の処世術なんだからな………

――敦也
明を翔太達に任せ、脱出法を探す。とはいえ、四方を山に囲まれ、正門には狂犬。
その上洋館内には殺人鬼が彷徨ってるときた。
それを考えるだけで憂鬱になるのだが、何より今は……
美「奏ちゃん……絶対にあっちゃんに近付かないでよね!」
奏「まだ言ってるの?だから私じゃないって!」
美「嘘よ!信じられないわよ!二人きりになったら、その人を殺すつもりなんでしょ!?……ね?
あっちゃん。だから私といれば安全だからね?」
仲間内での疑心暗鬼。さっきの死体は、間違いなく人の手によるものだった。
一緒にいた奏が疑われるのは無理もないが。
特に警戒心が強いのが美保だ。この洋館にきてからなにかおかしい。
美「大丈夫だよ、あっちゃん。私が一緒なら。他の人…特に女の子と一緒にいちゃだめだよ?
殺されちゃうから……」
奏「そのあっちゃんが殺人鬼だったらどうするのよ?」
美「そんなわけないでしょ!!?勝手に罪を着せないで!あっちゃんだなんてきやすく呼ばないでよ!
この人殺し!」
そう美保がヒステリック気味に叫ぶ隣り、『本当に俺が殺人鬼だったら?』という黒い思案が浮かぶ。
本能から沸いた醜い塊が、理性を突き破りそうになるが、なんとか飲み込む。
イケナイ……保たないと………理性を………

――絵里
最悪な雰囲気のまま、時々カナちゃんと美保ちゃんの言い争いかあるまま進んでいった。
途中、敦也君の顔色がひどく悪い気がしたけど、しばらくしたら普通と変わらなかった。
見間違えだったかな?
ガチャさらにドアを開けると………
敦「真っ暗だな……電気が切れてるみたいだ。」
電球はあるが、スイッチを変えてもつかなかった。このままでは何も見えない。
絵「はい、敦也君。」
そう言って懐中電灯を渡す。山岳部の備品だが。渡すとき、美保ちゃんにすごいきつく睨まれたが、
怖くて目を合わせられなかった。……なるべく敦也君に近付かない方がいいかも。
そして光を付けた途端……
グルルルルルル……ウーッウーッ!
どこかで聞いた覚えのある唸り声。一瞬にして背筋が凍る。これは……あの……
奏「あ、あ……嘘でしょ?…なんで……なんでここにも犬がいるのよ!!?」
カナちゃんが真っ先に叫びだす。その金切り声と光によって、狂犬も私達の方に気付く。
まずい、襲われたら私、逃げられない……
敦「まじかよ……」
敦也君は至って冷静に犬を照らしていた。こっちへと迫っているのに!!

7

――奏
狂犬はためらう事なく、真っ直ぐ私たちの所へと向かって来る。その目には殺意が満ち溢れていた。
敦「アブねぇ!」
敦也君がえりっちを庇う様に、狂犬の飛び付いた軌道からそれる。
確かに、足が不自由なえりっちを庇うのは賢明な判断だが………
(私だっているのよ…なんで私も助けてくれないの?…)
そんな黒い感情がこんな時にも浮かぶ。私は庇ってもらえなかった、助けてもらえなかった。
私も足を怪我したら守ってもらえるかな?
グガァ!
再度狂犬は敦也君に飛び掛かる。だが、次は逃げずに、右の拳を犬の頭に叩き付けた。すると……
ギャインギャイン!
予想以上にのたうち回る狂犬。その眉間には、深々とガラスが突き刺さっていた。シャンデリアの破片だ。いつの間に拾ったのだろう。
狂犬はそのまま大量の血を流し、ビクビクしながら動かなくなった。白目をむき、絶命していた。
敦「はあ……死んだか。……大丈夫か?絵里。」
絵「う、うん、ありがとう。」
またえりっちを気遣う。足が不自由だからってそれはないよ。………私だって!
「あっちゃん…ドウシテ?」
その時私の思いを言葉にした人が居た………

――美保
信じられなかった。あっちゃんが私ではなく、他の女の子を庇ったのが。私だって危なかったのに。
敦「大丈夫か?絵里。」
まただ。まただ。またあっちゃんは私以外の女の子を心配している。その子だって殺人鬼かもしれないのに。
そうよ…なら、私が守らないと……私の近くに居させないと。
美「あっちゃん…ドウシテ?」
フラフラと近付き、あっちゃんの腕をつかむ。この安堵感を誰にも渡したくない。
あっちゃんが守ってくれるのは私だけ!
美「ドウシテ?ナンデ!?……絵里ちゃんだけ庇うなんて……私も、私も襲われたんだよ?
怪我しなかったかって…心配してくれないの?……そんなにこの娘が足手まといなら、
置いてくればよかったのに!!」
それで……殺人鬼に殺されちゃえばいいのに。もう黒い感情はおさえがきかない。
美「絵里ちゃんはホールに戻って一人で待ってて。もう私のあっちゃんに守ってもらえるだなんて
甘い考えでついてきたら迷惑……足手まといなの!!」
敦「美保!」
パン!
……はたかれた。アッチャンに初めて叩かれた。ナンデ?私、間違ってないのに!!
あの女が邪魔なだけなのに!

――明
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
あの勢いのまま走りきり、狭く、暗い部屋まで入ってしまいました。…でもここなら大丈夫。
殺人鬼が混じっているかもしれない部員も此所がわからないだろうし。
なにより鍵がついているんだから、安心です。一呼吸して、落ち着こうとする。
「うぅ……」
さっきのグロテスクなビジョンが瞼の裏に浮かんで来ますが、なんとかふり払う。
もう、信じられる人なんていない。
帰りが遅くて親が心配し、救助隊の人が来てくれるはずだ。それまでここでたえていればいいんだ。
「よしっ…大丈夫。大丈夫。」
そう前向きに考えると、気持ちが楽になる。ただじっと待つのも辛いので、
近くにあった本棚から何冊か抜き出し、読もうとする。と、その本の間からなにか紙切れが落ちた。
拾って見るとそれは、おそらくこの洋館の地図だった。持っていれば便利だろうし、
一応ポケットにしまった。
「よいしょ……これ、なんの本だろう?」
埃のかぶったカバーを払うと、『Diary』の文字が浮かんだ。
「日記?……この洋館の人の?」
悪い気もしたが、今は好奇心が勝っていた………

8

洋館の日記(抜粋)

1992年 一月二十日
きょう、おうちにあたらしいおともだちがきた。あなたがおねえちゃんよとお母さんにいわれた。
だからあつくんは私のおとうと。

1992年 二月八日
あつくんは私をおねえちゃんとよんでなかよくしてくれる。だから私もおままごとをしてあそんだ。
あつくんとふうふのやくをやって、とてもうれしかった。

1995年 三月…(汚れて見えない)
今日はあつくんとかくれんぼで遊んだ。あつくんがおにだったけど、お家が広すぎてまいごになって、
ないてしまった。でも、私を見つけたらわらってよろこんでくれた。やっぱりあつくんには
私がいないとだめだ。

1997年 四月六日
今日は、お父さんが死んだ。とても悲しくって、何度も泣いたけど、あつくんが
『僕がいっしょにいてあげる』となぐさめてくれた。もうあつくんははなさない。死ぬまでいっしょなんだ。

2000年 七月九日
今日は起きたらあつくんが居なかった。お母さんに聞いたら、朝早くに出ていったらしい。
もう戻らないともいった。なんで?私のあつくんなのに。ずっと一緒だって言ってくれたのに……
私のあつくん、あつくんあつくん……(破れて見えない)

2000年 八月
今日もお母さんはあつくんの居場所を教えてくれなかった。きっとあつくんも寂しがっているはずだ。
お姉ちゃんがいないとだめなんだから。待っててね、あつくん。今迎えにいってあげるから。

2000年 九月
結局、お母さんは何も答えてくれなかった。あつくんの居場所を言ってくれるだけでいいのに。
こんな所すぐに出て行くのに。明日はロープを外してあげよう。

2006年 一月二十日
今日であつくんと会って14年。やっと居場所を見つけた。洋館を出て麓に下り、いろんな学校を
巡ってやっと出会えた。でも、あつくんは私に気付かなかった。とても悲しかった。
ううん、わかってる。きっと周りの奴等に洗脳されてるんだ、あつくんは。だからみんな
お母さんみたいに黙らせちゃえば、お姉ちゃんのこと思い出してくれる。
だから今でも使ってるあの洋館へ連れてって、あつくん以外殺しちゃえば思い出してくれるはずだ。
うん、きっとそう。
待っててね、あつくん。お姉ちゃんとのまた楽しい生活を取り戻せるのはもうすぐだから。
まずは洋館の使用人を殺そう。二人っきりの。今度こそ邪魔者の居ない生活を……
(以降、赤い染みの様な物で見えない。)

9

――由良
翔「ったくよー……もっとこう化けもんとかいないかね。」
由「ほんっとに冗談にならないんでやめてください。」
全く空気を読めない兄さんに頭痛がするが、それ以上の悩みごとがある。
………敦也さんと美保さんの事だ…。二人は向こうの同じ班。
この状況なだけに、今まで以上に親密になっていないかと心配になる。……だめだ、
やっぱり敦也さんを諦めきれない。また心のモヤモヤが湧き出してくる。
光「そんなこと言って……本当に化け物と戦えるんでしょうね?」
翔「はんっ!この山岳のために鍛えた筋肉、甘く見ないでくれよな。」
と、そこで行き止まりとなり、左右に二つのドアが現れた。どちらも似た様なドアだが………
光「どっちだろ……明は……」
翔「迷っててもしかたねぇしさ、テキトーに……右だ。」
そう言って何も考えなしに兄さんは一人で入ってしまうと………
ガチャン
私達が入るまえに、ドアが閉まり、開かなくなってしまった。全く……兄さんの悪ふざけも……
由「兄さん?遊んでないで開けてください。」
翔「ああ?いや……これ、あかねぇよ。鍵かかってる。」
その時…
「キャァアアアアアア!!!!」

――敦也
敦「……さて、どうするか、だな。」
俺達は迷っていた。さっきの叫び声と、前に進むかでだ。あれは確かに明の声だった。
だが、その声の聞こえたのは、進行方向とは違う物だった。
声の方に進むには……
奏「この中を進わけね……」
少し高いところにある、通風口らしきところを進しかなかった。一応塞いでいた網を
ペンチで切り落としたが……
奏「誰が行くかって話よね……」
美「私は絶対いや!…あっちゃんと一緒がいい。」
奏「……私だって…敦也君と一緒の方がいいわよ……」
なぜか変なことで言い争う二人。どっちでもいいじゃないか。でもまあ、ここを通るなら……
敦「美保。頼む。お前の体じゃないと通れなさそうだしな。」
美「え?……う、うそ。いやよ!…あっちゃんと離れるなんて……」
奏「いいから行きなさいよ。大切なあっちゃんの命令なんでしょ?」
勝ち誇った様に見下す奏。それだから周りに敵を作りやすいんだよ……
美「くっ……この…あんたなんて、殺されちゃえばいいのよ!あの殺人鬼にね!」
それは言い過ぎだと注意するまえに、もう通風口の向こうへと行ってしまった……

10

――???
「いや……なに?なんなの?この日記……」
まただ。また邪魔な女が私とあなたの思い出を読んでいる。
あれは私たち二人で読んで昔を振り返るためなのに………
凶器と狂気を持って歩み寄る。怯えている背中に、ごく普通に。いつもの部活仲間として声を掛ける。
「あっ……ちゃん…よか――≒√!?ヽ_;…」
まただ。またあなた以外の声はノイズに変わる。
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさい!!!!!!!
「ωーー〜дд`†..%#」
「!」
途中であなたの名前が聞き取れる。許せない。本来その名前を呼んでいいのは私だけなのに。
あなたのようなゴミが発声してはイケナイ………
私に抱き付いたこの女にみえないよう、ナイフを振りかざし……刺す!
ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザクッ!……
あはは……また刺すところが無くなっちゃった…体に穴開いちゃったからなぁ。
死体の始末をしようとしたその時……
「……ちゃん…なん、で?」
また私の名前が呼ばれる。その方へ振り向く。

「それって……明…ちゃん…あなたが、殺、した?」
不覚にも発見され、私の頭は混乱している。向こうも混乱している。落ち着け、落ち着け。
それによく見ろ。あの女は私のあつくんにいっつもくっついてる、真っ先に殺したかった奴じゃない。
これはチャンスよ。
「う、そ…あなたが……なんで?どう、やって……犯人なんかに…イヤァ!」
まだ動揺し、目を白黒させている目標に、ナイフで襲いかかる。だが素早く反転し、逃げ始める。
「アハハハハははははは!逃がさない!殺してやる!!!私のあつくんにべたべたさわって……
まるで自分の物みたいにいっちゃって……でもいいわ。ここで思い知らしてやるわ!
あつくんは私の物!あんたみたいな泥棒猫に渡すもんですか!」
「〇->鶚鵝癲癲//!!」
またわけの分からないノイズをまき散らし、逃げている。アハハハハ……あつくんの為に殺せるだなんて
楽しい……
でも殺すだけじゃ物足りない。ナイフを投げ捨て、ポケットからペンチを取り出す。
これであの女の目をエグッテ殺る!もう二度とあつくんのかおをミレナイヨウニシテヤル!!!

2006/06/19 To be continued....

 

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