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姉妹日記



12

 あれから、夏姉ちゃんも冬香もなんのモーションもかけてこない
  どうしたのだろうか?
  あれほど僕にすがりつき泣き喚き隣の部屋にまで乗り込んできた二人が・・・・
  安堵よりも不安が大きい・・・・
「もう、また余計なこと考えてたでしょ・・・・いまは・・・う・・・く」
  顔を赤く染め僕を受け入れる秋乃さん
  そうだよね、こんな時に他の女の子の考えるなんてマナー違反だよね
「愛してるよ・・・・・」
「あん!」
  耳元で囁くと秋乃さん背中を仰け反らせ快感に喘いだ
  あの日、最後まで僕を満足させられなかったことをずっと気にしていた秋乃さん
  まだ二度の経験しかないのに積極的に僕に奉仕してくれた
  こうやって愛を囁くと彼女はとても感じてしまうらしい
  だから僕は繰り返す・・・・愛の言葉を・・・・
「愛してるよ・・・・秋乃さん」
「あ・・・・あ・・・・涼・・・さん」
  瞳が揺らめいて僕を捉えながら快感を訴える
  そして僕に聞く・・・・気持ち良い?
「気持ち良いよ・・・・キミは心も身体も・・・・最高だよ」
「あ、涼さん・・・・・涼!」
  感極まり抱きつく彼女をしっかり抱きとめ僕は彼女を愛した、何度も愛の言葉を囁きながら

 私とお姉ちゃんは二人の情事をただ唖然としながら見つめていた
  監視を始めてから三日・・・・初めて見た男と女の営みを見て私は恥ずかしさよりも
  苦しい思いを胸に抱いた
  お姉ちゃんもまるで夢の出来事を見ているかのように信じられないという風に見ている
  そして、激しく身体を合わせた二人はようやくそれを終えて後処理を始めた・・・・
  途中なんどかじゃれあったりしながら・・・・・
  そして・・・・私とお姉ちゃんの枷は外れた・・・・
  翌日、お兄ちゃんの部屋にこっそり忍び込みどちらかが帰ってくるのを待つ
  夕暮れ時・・・・ようやくドアが開いた
  お兄ちゃんだ・・・・
  私は神様がくれた最大のチャンスにこの身を歓喜で震わせた
  隠れていた場所から静かに身を出し着替えているお兄ちゃんに近づく
「誰だ!」
  気づかれてしまった、でももう遅いよ・・・・お兄ちゃん
  私は振り返るお兄ちゃんの唇に己の唇を押し付けた
  そしてお兄ちゃんが帰ってきたときこっそり口に含んだ物をお兄ちゃんの口の中に流し込む
「んぐ・・・・んむ」
  ファーストキスがこんな形なんていうのは悲しいけど・・・・でもこれもそれも
  あの女がいけないの・・・だから!
  首に腕を巻きつけ深く唇を重ねる
  息継ぎをさせないほど口付け流し込んだものがこぼれない様にした
  次第に兄ちゃんの顔が赤く染まり息遣いも荒くなる
「なに・・・・を・・・・」
「性欲増強剤・・・・・ふふ」
  私も少し飲んじゃった・・・・だからもう濡れている・・・あとは
「く・・・・」
  必死で性欲に絶えこの場を去ろうとするお兄ちゃん
  その前にお姉ちゃんがたちはだかる
「ダメよ・・・・涼ちゃん」
  一瞬私を睨んだかのように見えたけどお姉ちゃんはいつもの笑みでお兄ちゃんに口付けた
「ふ・・・く」
  絡み合う舌と舌・・・・
  私はその間にお兄ちゃんの手を縛っていく
「あ・・・や・・・め・・・・んく」
  拒絶の言葉をお姉ちゃんの唇が止める
  脚も縛り完全に身動きの取れないお兄ちゃんを私はベットに押し倒した

 もう、今日も涼さんと一緒に帰ろうと思ったのに・・・・こんな時に限ってお呼び出し
  また告白された・・・・
  でも、私は一生涼さんに付いて行くと決めたの
  もう他の男性なんてアウトオブ眼中・・・・
  当然のことながら私は断った・・・・
  でも、今日の人は少ししつこかった
  食い下がるその人に私がどれだけ涼さんを愛しているか伝えた
  涼さんだけだった、地味だった私に優しくしてくれたのは
  涼さんだけだった・・・・容姿が変わっても私を私として見てくれたのは
  中学までブス扱いしておいて今更なに?
  その言葉にその人はようやく諦めてくれた
  惚気話に近いことを言ってしまって私は速く涼さんに逢いたくて全速力で走った
  あと少しだ・・・・私がドアを開いた瞬間だった
  女の人の喘ぎ声と涼さんの拒絶の声・・・・・
「やめ・・・・ふ・・・・か・・・・・やめて・・・くれ」
「あ、あん・・・・痛いけど・・・・幸せ」
  寝室に行くと私たちが愛し合ったベットで涼さんが縛られ冬香さんに犯されていた
  股間から血が滴り苦痛と喜びの声を上げる冬香さん・・・・
「ふふ、ついさっき・・・・私も涼ちゃんに処女をもらってもらったのよ」
  振り返る前に私の手はなにかに拘束されてしまった
  そして、後ろから押され寝室になだれ込んだ
「あ・・・・き・・・・の・・・・・」
  私が今まで聞いた中で一番悲しい声だった
「ふふ、見てなさい・・・私たちと涼ちゃんが愛し合う姿を・・・・」
  背後に立っていた夏美さんが私の横を通ってベットに乗った
  そして血のついた自らの股間に手を忍ばせ血を指に付けると涼さんの口に運んだ
「どう、涼ちゃん・・・・お姉ちゃんの純潔の味は?
  これはね、涼ちゃんと私の愛し合った証なのよ」
  あ・・・・あ・・・・・あ・・・・・涼さんが・・・・私の・・・・・
  そのまま深く口付ける
「あ・・・・くふ・・・・・お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん!」
「んく・・・・ん・・・・・ん・・・・涼ちゃん」
  涼さんの上に乗った冬香さんが激しく身体をくねらせ夏美さんが舌を絡める
「やめて!やめて――――!!!!!!!」
「ふふ、ダメよ・・・・やめてなんてあげない・・・・・」
「あんたはそこで指を咥えて見てなさい、私と・・・・あ・・・くふ」
  喘ぎを漏らし満足げに冬香さんが私を見下した
「お兄ちゃんが愛し合う様を・・・・あん・・・・ね・・・・くふ」
「ごめん・・・・ごめん・・・・」
  擦れて聞こえる涼さんの声に私は必死に呼びかけた
「涼さん!涼さん!!!!!!」
「あ、ははは・・・・・くふ・・・・あん、お兄ちゃん、気持ち良い?」
「もう、涼ちゃんは私たちの物よ・・・あんたは一生、涼ちゃんと私たちが愛し合うのを
  そこで見てなさい・・・・く、ふはははは!」
  やめて・・・お願い、これ以上・・・・私、私・・・・・
「あ、あぁぁぁぁぁ!!!!」
  私の絶望の声が部屋に響いた

13

 なにこの状況?
  私が久しぶりに二人の部屋に遊びに来た時だった
  そこに居たのはベットに縛られ放心状態の涼くんと地べたに這い蹲る秋乃だった
「春乃・・・・?助けて!!!」
  揺らめく瞳が私を見つけ必死で訴えかける
  なにがどうなっているのか解らないけど・・・・これは私にとって好都合ば状況だった
  どうしてか・・・・それは・・・・
  実は私は幼い頃に涼くんと出会っていた
  それだけじゃない・・・・ファーストキスまでした
  幼い私たちは結婚の約束までしていた、けど・・・・それからしばらくしていつもの公園に
  涼くんは姿を見せなくなった
  そして、そのとき気づいた・・・・私と涼くんを繋いでいたのはその公園だけどということに
  幼い私は深く絶望しその後私は私を殺した・・・・
  明るく振舞うようになり本当の私を隠した・・・・
  目立つようになれば小学校、そして中学で涼くんと再会できると思ったから
  願いは虚しく涼くんとは出会えなかった
  そして、ある日私は秋乃からある言葉を聞いた
  涼くんと同じ名前の人と付き合い始めたと
  秋乃は私と涼くんのことを知らない・・・・名前を聞いたときもしかしてと思った
  でも、涼なんて名前どこにでもあるから同姓同名だよね?
  それで片付けていた・・・・でも、それは誤算だった
  初めて見たとき彼があのときの涼くんだとすぐに解った
  そして、同時に秋乃に底知れぬ憎悪を抱いた
  秋乃は昔からそうだ・・・・秋乃はいい子・・・・私は落ち着きのない悪い子
  親は勉強も出来て従順な秋乃を溺愛した
  中学二年の時だった、唯一勝っていると思っていた容姿も完全に追い抜かれた
  秋乃は毎日のように告白を受け困っているという自慢話を毎日聞かされた

 

 とどめが涼くんだ、想像できる?姉の恋人が長年恋焦がれた人だった私の気持ちが
  秋乃は私から全てを奪っていった
  親の愛情も、最愛の人も・・・・
  でも、天は私を見放さなかった
  これは絶好のチャンスだ・・・・
  ゆっくりと涼くんに近づき、微笑みかける
「あき・・・・の・・・さん?」
  その言葉が彼の口から発せられた時私の中の何かが弾けた
「私は春乃・・・・覚えていないの?」
「え・・・・は・・・・る・・・・」
  明らかに拒絶の表情を見せた涼くん
  私は怒りを通り越して何も感じなくなっていた
  でも、私は・・・・
  服を脱ぎ捨て彼の上に跨った
「ちょ・・・・なにやってるのよ!春乃!」
「前に話したよね・・・・初恋の話」
「え・・・・・」
「その人ね・・・・涼くんって言うの・・・・ふふ」
  希望のそれが絶望に変わる
  その表情で私は優越感を覚え笑んだ
「あんたがいつもそう、なにもせずに全部貰える・・・・私の気持ちを少しは思い知れ!」
  ああ、最高・・・・
  少し触れただけで彼の陰茎は大きくなった、ふふ・・・・私を求めてるのね?
  私は自らの恥部を指でぐちゃぐちゃにして陰茎をそこにあてがった
「あ・・・・く・・・・ふ」
  痛みが私を襲う
  初めては痛いと聞いていたけど・・・・
  けど、痛みも最愛の人との交わりと長年劣等感を抱いていた姉の悔しそうな顔ですべて吹っ飛んだ
  自らの腰を上下させながら痛みを快感に変わるのを必死で待つ
  何度も何度も腰を打ち付ける・・・・

 

「あ・・・・・あん・・・・あぁぁぁ」
  自分の意思とは関係なしに発せられる喘ぎが部屋に響く
「やめて・・・・やめろ、秋乃!」
  あらあら、なにその顔・・・・怖いな
  悔しい最愛の人を寝取られた気分は・・・・
  でもね、最初に寝取ったのはあんたなのよ?
  私は私の物を取り返しただけなの
  痛みと快感の狭間に押され私は彼との行為に集中をする
  彼は何度も私のナカに精液を吐き出して、二人で快感を舐りあった
「殺してやる、涼に・・・・これ以上触るな!!!!」
  秋乃の声に私は先ほどまで秋乃のいた場所を見下ろした
  縄が切られいる、近くに肩カッターの刃が落ちている
  あれで少しずつ縄を・・・・
  姿を探すとすぐに見つかった、顔は青ざめその手にはハサミが握られている
「殺してやる!!!!」

14

 ハサミを振り上げて、秋乃が私に突き立ててくる
  直前でそれをよけた
  ハサミがベットに食い込み、秋乃はそれをひきずり裂いていく
  そして、涼くんの縄を解く
「もう、ダメ・・・・私・・・・三日も、私以外の人が涼と・・・・しての・・・・見せられたのよ」
  どういうこと?
  いまいち状況はわからなかったけど、今はどうでもよかった
「も、誰にも渡さない・・・・涼は・・・・私の・・・・なんだから!」
  涼くんの胸に頬ずりしたあと秋乃はまた私にハサミを向けた
「私、いま・・・・なにするか解らないよ?妹でも・・・・殺しちゃうかも・・・・」
  瞳孔が完全に開いている秋乃がハサミを無軌道に振り回した
  でも、引けない・・・・ここで引いたら私は一番に欲しいものを永遠に失うことになるから
  もう、待つのも我慢も嫌!
「私は・・・・涼くんのことをずっと!」
「私は知らなかった・・・・春乃にとってはつらいことかもしれないけど、仕方のないことなの」
  一瞬顔を伏せ思い切り上げると秋乃は笑んだ
「恋愛ってね、失恋する人もいれば実る人も居るの・・・・私は後者・・・・春乃は前者なの」
  顔を歪める秋乃、生まれてからずっと一緒だったけど・・・・こんな顔を見るの初めてだった
「私と涼は心も身体も深く繋がってるの・・・人の取っちゃいけないんだよ?常識だよね」
「それは、でも・・・・私は涼くんと結婚の約束を・・・・」
「それ以上、涼くんを惑わすようなこと言うな!」
  な、怖い・・・・でも・・・・でも・・・・でも!
  私は・・・・好きなんだもの!諦めるなんて出来ない
「ダメだよ・・・・私ね、三日も地獄を見たんだよ?もう病気みたいなモノだよ・・・・
  これ以上刺激しないでよ」

 その言葉が脅しではないというのは、十二分に解る
  私は近くにあったカッターを素早く掴むと秋乃に向けた
「なに?ダメな子の春乃が私に歯向かうの?」
  やっぱり、ずっと前からそんな風に思っていたんだ!
「可愛そうな春乃ちゃん、勉強もできなくて・・・・落ち着きなくてがさつで、
  モテるようなこと言っても嘘なのも知ってたよ」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そんなことどうでも良かったの、私は春乃ちゃんを認めていた、行動力があって
  いつも明るくて・・・・・」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「でもね、私の大事な者を取ろうとするのは許せないの!」
  少し後ろに下がり反動をつけ私に突きつけた
  私は怒りと憎悪の念を腕に込め震えを抑えて応戦する
「や、やめ・・・・ろ!」
  刹那、涼くんがよろめきながらも素早く私たちの間に割って入った
  そして腕から感じる生々しい感触・・・・
「りょ・・・・涼・・・・どうして・・・・」
「キミに・・・・そんなことさせたくなくて」
  秋乃の頬に自分の手を重ね涼くんは笑んだ
「愛してるよ・・・・秋乃さ・・・・ん」
  秋乃の頬を紅に染め背中にカッターを、お腹にハサミを刺された涼くんがその場に倒れた
「嫌・・・・嫌ぁぁぁぁ!!!!!」
  混乱しているくせに秋乃は必死で止血をしている
  私はただただ、唖然としその場を見つめているだけだった

「大丈夫かな、二人だけにして・・・・」
  食料を買いだめするため私をお姉ちゃんは近くにスーパーに買い物に行っていた
  その帰り道私は不安な心を少しでも消そうとお姉ちゃんにそう呼びかけた
「二人ともちゃんと縛ってあるし、大丈夫よ・・・・・」
  でも・・・・・
「あんなことして・・・・私たち」
「これはね、涼ちゃんの目を覚ます為には仕方のないことなの、それとも涼ちゃんがあのまま
  あのメス豚に汚されてもいいの?」
  私はハッとして首を思い切り横に振った
  他の女と付き合うと言われたとき
  家を出て行くと言われたとき
  もう、あんな想いをするのは嫌・・・・
「そうよ、それでいいの・・・・ふふ」
  お姉ちゃんが振り返って笑むと同時に私たちの横をサイレンを鳴らした救急車が
  私たちのマンションの方からやって来て抜けていった
  その時の寒気とあの感覚を私は今でも忘れない
  帰るとマンションに人だかりが出来ていた
  野次馬がこう言った
「男の人が事故かなんかで刺されたって・・・・・」
「女の子二人が必死で呼びかけていたわね・・・・・大丈夫かしら、あの男の子」
  その瞬間私たちの楽園は崩壊した・・・・・

15

 病院に着くと涼さんとすぐに手術室に運ばれた
  私と春乃はすぐに警察に呼び出され、病院内で事情を聞かれた
  でも涼さんが救急隊の人に言った言葉・・・・
『事故なんです、彼女たちは・・・・なにも悪くありません・・・・僕の不注意なんです』
  その言葉で少々特異ではあるものの事故として調べているらしい
  なにも言えない私たちに警察の人は諦めて去って行った
  手術室に戻る途中だった
「あん、よく戻って来れたわね・・・・」
「・・・・・・・・」
  憎悪と怒りをあらわにした冬香さんと夏美さんが私たちの前に立ちはだかった
  春乃は状況がわからず、この二人は誰?という表情で見つめている
  そんな春乃を無視して冬香さんが私に掴みかかってきた
「あんたのせいで、お兄ちゃんは!お兄ちゃんは!!!!!」
「・・・・・・・・」
  無言の夏美さん、なじる冬香さん・・・・
  私は二人の表情を見て顔を青ざめるだけでなにも応えなかった
「・・・・・・・・」
「もう、お兄ちゃんに・・・・近づかないで!」
「あんたが、近づくだけで・・・・涼ちゃんが不幸になるのよ!」

 そのあとなんとか手術は成功し、涼さんは一命を取り留めた
  けどいまだ意識は戻らず昏睡状態のまま・・・・
  私は何度か面会を申し出た・・・・
  少しでも、涼さんの近くに居たかったから
  でも、夏美さんと冬香さんの二人が私と春乃はなにがあっても通すな・・・・
  そう言ったらしく、家族の意見だからと看護士さんたちは面会を許してくれなかった
  謝罪したかった・・・・
  涼さんを傷つけもしかしたら殺していたかもしれない・・・・
  考えただけど恐ろしくなった
  世界で一番愛しい人を私は自らの手で・・・・
  見つめた両手が血に染まって見えた・・・・
  怖い、怖い・・・・・私は自分が怖くなった・・・・
  もしかしたら・・・・二人が言うように私と一緒に居ることで涼さんを
  不幸にしてしまうのかもしれない
  でも・・・・諦めるなんて出来ない
  私は・・・・涼さんに心も身体も捧げた・・・・
  これからも・・・・・ずっと・・・・・
  私・・・・は・・・・・

 

A『なにがなんでも涼さんの病室に向かう』
B『今は待つしかない、でも・・・・・』

To be continued.....

 

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