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とらとらシスター



妹虎

 兄さんは私の中に出したあと倒れ込み、一緒にベッドに横になった。
  ゆっくりと膣内から竿を引き抜くと、精液や愛液、処女でなくなった証の血が混ざった液体が
  垂れてシーツに染みを作っていく。それをもったいないと思ったけれども、
  未だに割れ目に残っている痛みや絶頂に達した脱力感のせいで体が動かない。
  止める方法もなくてひたすらに垂れ流しているのがとても悔しい。
  ま、良いでしょう。
  そう、それ以上に幸せな気持ちが心に満ちていて、そんなことすらどうでも良くなってくる。
  痛みも何も関係ない、今は繋がることを出来たのをひたすらに喜ぶだけだ。
  甘い余韻を楽しむように軽く目を閉じると、すぐに兄さんの顔が浮かび上がってきた。
  コテツミンも十分に補給できて、文句の付けようもない。
  いや、少しはある。
  これは多分麻薬のようなもので、ある程度持たされると次から次へと欲しくなり、
  中毒のようになってくる。器の容量は無限大、いやもっと大きいのかもしれない。それを更に、
  もっと、少しでも多く満たすべく荒い息のままで倒れている兄さんに抱きついた。
  きっと私も同じような状態だろうけれども、男の人は回数に限界があるからその分
  一回ごとの疲れも激しいんだろう。逆に女は殆んど無制限だし、私は普段から何回も達するように
  一人でしていたから妙な体力が付いていたのかもしれない。
  それでも、普段よりずっと疲れた

 

 けれど。

 

 それでも、腕にちゃんと力が入ったことはありがたい。まるで玩具を誰にも渡したがらない
  幼い子供のように、全力で抱き締める。私はそんなタイプの子供ではなかったけれど、
  今ならその子の気持ちが分かる気がした。
  誰にも渡したくない、
  これは私のものだ、
  渡したらどこかへ行ってしまう、
  壊れてしまう。
  いくつもの不安が心を襲ってきて、その分力が強くなる。それは独占欲と言うよりも、
  恐怖に近いものがある。自分の存在を支えているものが消えるということは、
  それだけで大きな恐怖になってしまう。
  だけれども、逆に抱き締めている間は安心感が心を包み、それらの不安から守ってくれるし、
  支えに対する愛情も深まっていく。そうすればする程に失うときの辛さが増すというのに、
  愚かにも人間は常にそうして生きてしまう生き物だから。人だけが持つ愛というものは、
  そうして流れに身を置いていて、幼子はそれを無意識に理解し、行動をしているんだろう。
  兄さんがたまに言っている、
『誰かの側に居たいと思うことは、その人が隣に居ないことを覚悟すること』
  という言葉がある。
  割り切りも愛には必要だという意味だけれども、私はそうは思わない。
  それが大人へと向かうのに必要ならば大人になんかなりたくないし、
  兄さんの隣から離れるつもりも、例えどんな用事でも兄さんに離れてもらうつもりもない。
  今は例え無理だとしても、いつか邪魔者を全て消して完全に結ばれたときにはそうしたい、
  しなければならない。

 二人だけの完全世界がそこに存在するためには、そうすることが必要だ。
  そのために、少し意地の悪い方法も使ったのだから。
  最初は酷く思われるかもしれない、それこそ少し恨まれるかもしれない。
  そうなることは辛いけれども、結果的に救われて真実を知ったら絶対に私だけを見てくれる。
  一時的にでもそんな感情を持たれることは辛いけれども、未来の妻として耐えながらも
  頑張っていこうと思う。
  今は、小さな愛情を向けてくれているだけで幸せです。
  口には出さないけれども、心の中で囁くように呟く。
  兄さんも、少し怒ってはいるけれども、私を嫌ってはいない筈だ。
  自分でも酷い方法だと思ったことなのに、初めて経験する私を気遣ってか
  丁寧に体をほぐしてくれた。怒りも恐怖も混ざっていただろうに、
  それでも一度私を絶頂に導いてから入れてくれた。
  正直な話、私にも多少の恐怖心というものはあった。
  兄さんに嫌われることは絶対にないと分かっているからそのことに不安はなかったものの、
  物理的な痛みにどうにも弱い私はそのことだけが不安だった。
  私の口が悪いのは元々の素質や兄さんが素直な私を誉めてくれたのもあるけれど、
  一番の理由はその弱さを隠すはったりだ。まぁそれは別の話、今は関係ないこと。
  それは兎も角として、その兄さんの気遣いで少しは痛みが減ったし抱かれている間は
  痛みよりも幸せが勝っていた。友達に聞いていた話よりもずっときつい痛みにも、
  耐えることが出来た。

 ボタンを外す手際の良さや愛撫などは多分姉さんに教わったもので、
  そのことは少し悔しいけれども気にしない。大切なのは未来、前を見ることだ。
  そこに立っているのは兄さんと私だけ、他には誰も居ない。
  兄さんもそれが良いですよね。
  答えは先程から腕にじんわりと伝わってくる、少し高めの体温で分かる。
  良い匂い。
  擦り付けるように額を胸板に付け、ボタンのとまっていない胸をお腹に当てる。
  腕だけだった体温が沢山伝わってくるのが何とも心地良く、まるで揺り篭のような感覚に
  思わず眠りたくなってくる。
  不意に、圧迫感。
  少し驚いたものの、それが兄さんの腕だと分かると途端に嬉しさが込み上げてきた。
  膣内に出してくれた後は何も話さずに一緒に横になっているだけだったから、
  追い出しはしないものの私を少しは怒っているかもしれないと思っていた。
  けれど、それだけではないらしい。前戯のときもそうだったけれども、
  現に今、私の小さな体を包むこの感触はそれだけではないことを言葉以外で伝えてくれる。
  そんな兄さんだから、誰にも渡したくない。
  今は何を考えているのだろうか、突然私を抱き締めていた力が強くなり、
  体が小さく震えていた。閉じていた瞼を開くと悩んでいるような顔の兄さんが、
  私の顔を見つめている。
  言葉に出してくれないのは、私に言えないことなのか、言いたくないことなのか。
  せめて少しでも心の支えになれるようにと、
  私はここに居ると、
  唇を差し出した。

 兄さんの唇の感触は、返ってこない。
  だけれども、もはや痛いまでになった力で考えていることは分かった。
  迷って、いるんですね。
  唇の動きだけで問掛けると、兄さんは悲しそうに目を反らした。
  これはもう答えを言っているのも同じだ、今の兄さんの頭の中に渦巻いているのは
  青海さんのことだろう。私を抱く決意をしたのも青海さんの名前を出したから、
  青海さんに嫌われるのを恐れたからなのだろう。怒っていても私を気遣い、
  反抗しながら優しく抱いた。
  それも全て青海さんのためなのか、この場に居ない泥棒猫に嫉妬の気持ちが沸き上がる。
  辛い、と言うよりは悔しいという感情が強い。
  鈍い痛みが胸の辺りに溜り、少し息が苦しくなる。
  何故、こんな気持ちになるのだろうか。ついさっきまでは兄さんのことで頭が一杯で、
  心の器は幸せで満ち溢れていたというのに。言葉では表現できない澱が底の方に不気味に溜って、
  こちらを扇っている。
  兄さんが悩む理由は何だろう。
  酷いことをしてしまったから?
  兄さんとセックスをしたから?
  今の表情を見てしまったから?
  答えは分かっている筈なのに、それは思考の片隅にこびり付いているだけで
  前に出てこようとしない。淀みと一緒にこちらを眺めているだけだ。
  それが、堪らなく辛い。
「兄さん、愛しています」
  言葉の重みの分だけ、腕に力を込め直した。

13虎

 心の痛みは罪の重さ、だからいつまでも回復しない。今が楽しい放課後デート中だとしても
  霧は晴れずに濃くなるばかり、いつも美味しいと思って飲んでいるここの珈琲も何故だか
  味がしていない。
「大丈夫か、虎徹君」
  心配そうな表情で見つめてくる青海は、僕がこんな状態になっている理由を聞いたら、
  どんな感想を抱くのだろうか。どうしようもないくらいに歪んだ意識が、
  思考の片隅から笑い声と共に語りかけてくる。
「虎徹君?」
「大丈夫、少し寝不足なだけ」
  これは本当、ただ理由が青海にだけはいえないけれど。
「もうすぐテストだからさ、少し頑張ろうと思って。僕はあんまり頭が良い方じゃないから、
  努力するしかないし」
「む、しかし睡眠時間が減るのは良くないな」
「ほら、青海が少しでも誇れる彼氏になりたいと思ってさ。私の恋人はこんなに凄いんだ、
  って皆に胸を張って言えるように」
  口ばかり、良く回る。
  だからこその『詞食い』なんだろうけれども。
  僕のあだ名は理由を知る人があまり多くないけれど、きちんとした理由を知っている人からすれば
  これ以上の表現はないと思うだろう。姉さんやサクラの奇抜な行動を、
  言葉で制しているからではない。相手の発言をどこまでも食い潰して無意味なものに
  してしまうから付いた、僕のどうしようもない性質が原因だ。普段はなりを潜めているそれが、
  今のように辛いときになると顔を出してくる。僕はそれが一番嫌いだ。

 今だって、
「気持ちは嬉しいが、それで虎徹君が体を壊したら余計に悲しいんだ。でも、ありがとう」
  相手を誤魔化して、時間を過ごしている。青海のそんな笑顔なんて、
  僕には不釣り合いも良いところだ。彼女を裏切って姉妹を抱いた男なんて、害悪にしかならない。
「ほら、これも食べてくれ。疲れには甘いものだ」
  青海が勧めてくるのは『極楽日記』の名物であるパンプキンタルト、前回食べて
  よほど気に入ったのか店に入るなり注文していたけれど、全く手を付けていない状態だった。
  今の僕はかなり酷い表情みたいだ、僕を心配してくれて好物にも手を付けないなんて
  よほど酷い状態なんだろう。彼女の見えている部分で心配をかけて、見えない部分では裏切って。
  あまりの情けなさに、もし分身の術が出来るのなら自分で自分を殴り倒しているところだ。
  僕がタルトに手を付けていないのが不満なのか、青海は眉根を寄せ、
「大分酷いな。虎徹君、口を開けてくれ」
  素直に従って唇を軽く開く。
「何を」
「良いから」
  言いながら青海はフォークで軽く身を崩すと、タルトを口の中に突っ込んできた。
  僕は甘いものはあまり好きではない、と言うよりも食べると具合いが悪くなるのだけれど
  今回はそうならなかった。それどころか、口の中に広がる甘さが心地良い。
「どうだ?」
「うん。うま、い」

 そうだろう、と笑顔で軽く頷き、二口目を僕に食べさせるべく丁寧な仕草で切り分けている。
  上下に動く手は本当に楽しそうで、僕のためにしてくれていると実感できる。
  青海が楽しく出来るのなら悪くないと、僕はまた口を開いた。
「はい、あーん」
  今時、この言葉で食べさせるのはないだろうと思ったけれども、
  普段はクールな青海がやると新鮮で、つい釣られてぱくついてしまう。
  僕がそれを飲み込むのを見て小さく笑う顔も、可愛らしい。どちらかと言えば、
  かわいいと表現するよりも美人と言う方が合っている彼女だけれど、
  今のような表情をしているのもこれはこれで良いと思った。
「元気、少しは出てきたかな?」
「え?」
「鏡で見てみるといい、笑っているぞ?」
  手渡された手鏡を見てみると、まだ硬さは残っているものの確かに口元が綻んでいた。
  まだこんな表情が出来るのか、と少し安心をする。
「だろう?」
「本当だ」
  気が付けば、心も少し軽くなっているような気がした。思考も悪い方から
  抜け出している気がするし、青海の笑顔を見ても辛さが今までより少ない。
  それどころか純粋に良いと思うことが出来ているし、食べ物の味もきちんと分かっている。
  不思議なことに、あっという間に心が晴れやかになっていた。ほんの少し前まで悩んでいたのが、
  まるで嘘のようだ。自覚すると、その気持ちはより強くなってくる。
  そうすれば口も自然に回る。勿論さっきとは違う、相手を潰すのとは逆の方向で。

「ありがとう」
「これくらいしか出来んがね」
  照れ臭そうに笑う青海を見て、不意に悪戯心が沸いてきた。
「ただ一つ問題が」
「ん?」
「僕は甘いものが苦手なんだ」
「あ、そう言えば今回も前回も甘くなさそうなものを注文していたな」
「食べると具合いが悪くなる」
「え?」
  青海さん、面白い顔になってますよ!!
「実は今にも吐きそうだ」
「うわ、あ。すまん、虎徹君、吐くなら是非わたしの胸で!!」
  このくらいで限界だろうか、青海も混乱しているのか良く分からないことを言っているし
  これ以上は気の毒だ。意外に許容量が少ないのかもしれない、と言うか素での発言だと
  思いたくはない。そもそも、僕にはそんな趣味は無い。
「冗談だよ」
  何故かは分からないけれど、口の中に甘さが残っているのに不快な感じはしない。
  これは多分、青海が食べさせてくれたからだろうか。愛情で食べ物が美味しくなるのは、
  多分成分変化ではなくて味覚が変わってくるからだ。舌だけではなく心でも味わうから、
  料理がいくらでも上等なものになる。
「酷いな、虎徹君」
「ごめん、でも具合いが悪くなるのは本当。今は平気だけど」
  青海のお陰で。
「いや、本当にすまなかった。知らなかったとはいえ」
「いや、言わなかった僕の方こそ」
「いやいや」
「いやいや」
「いあ いあ」
「はすたー?」
  数秒。
  どちらともなく笑いが漏れてきた。

 楽しい。
  こうしていると普通の日常を過ごしている、という感じがする。
  昨日サクラを抱いてしまったことや、初めて姉さんとセックスをした日から
  毎晩続けていることなどは現実感の伴わない、まるでどこか遠い国の物語のように思えてくる。
  今が唯一の現実で、夜のことなんかは夢の中で起きている架空のお話であるような。
  ずっと、こうしていたい。
  何だ、そうか。
  こんなに簡単な話だったんだ。
  当たり前のことで、疑問にすらしていなかったから答えが出てこなかった。
  昨日サクラを抱いたことも原因は一つ、青海のことがもう完全に好きになっていたから、
  それを壊したくなくて選んだことだ。
  不意に、心の中に壁が降りてきた。
  あちらとこちらを遮断する壁は、透明だけれども決して壊れることはない。
  向こう側はよく見えるけれども確実に隔離をされていて、反対側に移るには
  唯一つしか存在しない扉をくぐらなければいけない。
  鍵の管理は簡単なもので、踏み越えるのも楽なものだ。
「ありがとう、青海」
「ん?」
  目尻に浮いた涙を拭いながら小首を傾げ、上目遣いでこちらを見てきた。
  この表情も、また堪らない。僕の恋人は沢山の一面を見せてくれて、それら全てが愛おしい。
  それを守るためなら、外道にもなれる。
  人を好きになるのは、きっとそういうことだ。
「ありがとう、恋人になってくれて」
「どういたしまして」
  向こう側の僕が何かを叫んでいるみたいだけれど、気にしない。
  壁は防音だ。

Side姉虎

 最近毎日続けているお楽しみの時間、いつもは消極的な虎徹ちゃんだけれども今日は
  少し様子が違った。それも悪い意味ではなく、良い意味に。いつもの嫌々しながらも
  あたしの体を楽しんでいる虎徹ちゃんも悪くはないと思うけれど、やっぱり積極的に
  絡んでくる今の状態の方があたしは好きだ。
  何かあったのかな、なんて野暮なことは訊かない。だって理由は分かっているから。
  良心とモラルが壊れかけてきているのは簡単に想像出来る。いつかはそうなってくると
  思っていたし、そもそもそうなるように仕向けたのはあたし自身だから。
  もう少し先だと思っていたけれど、これは嬉しい誤算だった。夜を楽しむ時間は、
  長ければ長い程良いに決まっている。少しだけ不満なのは、サクラちゃんのせいで
  精液が薄くなっていること、それだけだ。虎徹ちゃんはあたしが毎晩絞り取るからだと
  言っていたけれども、それだけじゃないのは分かっている。
  原因はあたしの愛すべき妹、サクラちゃんだ。限界知らずなあの娘は、
  覚えたての猿みたいに際限なく絞り取ってしまったんだろう。これは憶測だけれども、
  昨日だけじゃなく今日もやったんだろう。せっかく虎徹ちゃんを一時的に貸してあげたのに、
  持ち主のことを考えないなんて少し浅はかなんじゃないだろうかと思う。
  まぁ、そんな貪欲なサクラちゃんだからこそ、今の計画が成り立つんだけれども。

 あたしがやったことはとても単純、嫉妬に燃えるあの娘の背中を軽く押してあげただけ。
  昔の経験からあの娘がそういうタイプだと分かっていたし、今の姿を見ても
  根っこの部分が変わってないのはよく分かる。だから軽く後押しをすれば、
  必死に策を廻らそうとするのは目に見えていた。二年前はあたしもまだ馬鹿だったから、
  サクラちゃんと一緒に手を出してしまったけれど、
  そのせいで暫く虎徹ちゃんと話を出来なかったのが辛かった。
  今はもうそんなことにはなりたくない、だから一生懸命考えた。
  どうすれば、あの娘を走らせることが出来るのか。
  考え抜いた末、結論は驚く程にシンプルなものになった。それがさっき言った
  嫉妬を扇るというもの、但しいつもの何倍もの密度と何十倍もの量で。
  結果は上々、簡単にサクラちゃんは引っ掛かってくれた。
  副産物として手に入れたのは気に食わないけれど、あたしが虎徹ちゃんの初めてを
  貰うことが出来たのも喜ぶべきことだ。
  そう、あたしがやったことは、計画という言葉にするのももったいない程に単純なもの。
  虎徹ちゃんの初めてを貰って、毎日セックスを続けるだけ。そうすれば青海ちゃんの出現で
  カリカリしているサクラちゃんが動き始めるのは予想できた。あとは虎徹ちゃんとあたしが
  セックスをしているのを見せ付けて暴走させるだけ、何の他愛もない。
  それは余程だったらしく、昨日にはもう虎徹ちゃんとしてしまっていた。

 始まりの部分はとても簡単、現に虎徹ちゃんは少しずつ壊れてきているから。
  青海ちゃんといちゃいちゃとしているのは少し腹が立つけれど、それもあと少しだと思うと
  あまり苦にもならない。計画が進んでいけばあたしにべったりになってくるのは、
  完全に見えてきているから。初期症状は自覚がしにくいと言うけれど、気付いているんだろうか。
  気付いていないんだろうなぁ。
  でも、あたしにはきちんと分かる。体をまさぐってくる手付きや、荒くなっている呼吸、
  ことの最中にあたしの体を眺める目付き。嫌そうに、昨日までは受動的だったキスも
  自分からしてくるようにもなった。わたしの膣内を擦りあげる腰の動きも、
  敏感な部分を弄ぶ激しさも、何もかもが。
  そして何よりも、表情から罪悪感が消えている。
  青海ちゃんへの義理立てや、あたしの体を好きにすることへの恐怖、
  そして近親での性行為への嫌悪感などの今まで邪魔だったもの全てが抜け落ちていた。
  そこに浮かんでいるのは、肌と肌を擦り合わせることを純粋に楽しんでいるという色。
  快楽に染まりきった、一人の男の人だという証がそこにある。
  これで良い。
  これが良い。
  最近になって急に出てきた泥棒猫などに、この愛しい人を渡したくなんかない。
  今までだってずっと一緒に居たから、これからもずっと一緒に居たい。
  物心が付く前からずっと虎徹ちゃんを想い続けてきたあたしにはその資格がある。

 ほら、今も。
  軽く手を伸ばして、虎徹ちゃんの髪を優しく撫でる。三日前に青海ちゃんに撫でられて
  気持ち良さそうにしていたけれど、今の方がずっと安らいだ表情をしている。
  それだけで嬉しさが込み上げてきて、また一つ幸せになった。
  相子相愛、何て素晴らしいんだろう。
  思わずキスをすると、虎徹ちゃんは微笑んであたしの髪を撫でた。
  あはっ、可愛い。
  大分落ち着いてきたと思ったのに、また体が熱くなってきた。それでも構わない、
  先程までのは只の休憩時間ということにしてしまえば良い。
  体を重ねることに回数制限も時間制限も関係ない。少し前までは呼吸が荒っぽかったけれど、
  今はもう落ち着いているみたいだし、多分大丈夫。
  虎徹ちゃんもまだやる気はあるみたいで、あたしが竿を撫でるとすぐに元気になった。
  軽く指で割れ目を掻き混ぜて少しほぐしてから、ゆっくりと虎徹ちゃんの上に腰を据えた。
  休憩に入る前は虎徹ちゃんが上になっていたけれども個人的には
  この体位の方が好きだったりする。今まではずっとこれだったから
  こっちの方が落ち着く気がするし、何よりあたしが今この瞬間虎徹ちゃんと二人きりで、
  しかも繋がっていると実感出来るからだ。
  虎徹ちゃんは動かずに、あたしの意思で降ろしていく。少し恥ずかしそうな表情を見ながら
  擦り合わせるように下げると、固く太く熱くなった先端があたしの中を割って進んでくる感覚が
  とても気持ちが良くて、つい声が漏れてきてしまう。

 あはっ、挿入った挿入った。
  根本まで収まった虎徹ちゃんのものを、うねるようにして擦りあげる。粘膜が擦られる快感が
  股間から全体に伝わってきて、それだけで達してしまいそうになる程気持ちが良い。
  続けて何度も腰を動かすと、それに合わせるように虎徹ちゃんも激しい動きで
  腰を突き上げてきた。子宮の入口がこじられるように圧迫され、
  衝撃と快感でもう何も考えることが出来なくなってくる。
  虎徹ちゃんがあたしの胸を揉んで、吸い、幾つものマークを付けていく。
  自他共に認める白い肌に桜色の模様が出来ていくのは、自分でもいやらしく見える光景だ。
  乳房に付いた唾液が月の光に照らされるのを見ていると、行為の後で拭き取るのさえ
  惜しくなってくる。あたしはナルシストじゃないけれど、淫靡な光景は、
  それだけで価値があるように思えた。
  そして、この模様が虎徹ちゃんのマーキングのように思えて、ついキスをしてしまう。
  口の中をむさぼるように舌を絡めて、唾液の交換をする。天上の甘露のような
  虎徹ちゃんの唾液と、あたしの唾液を呑むのは同時。身体中に浸透していく気がするのは
  きっと虎徹ちゃんも同じだろう。何度もそれを繰り返す、
  虎徹ちゃんがあたしのものだという事実を全身に伝わらせていくように。
  もう、大丈夫かな?
  一旦口を離して顔を見つめる。
  あたしの唇と虎徹ちゃんの唇の間に繋がった透明な橋が切れるのを惜しいと思いながら、
  それでも唇を動かした。
  青海ちゃん。
  声で伝えずに唇の動きだけでこの単語を伝えると、軽く笑ってあたしの喉を舐めあげてきた。
  喉から口の端にかけて、溢れ出た唾液を拭うように舐めて、最後にはキスをする。
  それでまた唾液が溢れたけれど、気にしない。
  数秒。
  舌の動きが一瞬止まり、熱いものがお腹の中にぶちまけられる。それからワンテンポ遅れる形で
  あたしも絶頂に達した。
  虎徹ちゃんのものを引き抜きながら胸の上に倒れ込み、体温が消えるのを
  少しでも防ぐように抱き締める。このままほどかずに、いつまでもこうしていたい。
「もう、離さない」
  小さく囁いた言葉は、聴こえただろうか。

14虎

 あちらとこちらを行ったり来たり、心の扉の調子は良好。
  あの日から数日が経ったけれど特に何事もなく日々が過ぎている。朝はサクラと姉さんが
  ショートコントのようなものを繰り広げ、家族で仲良く食事をして、青海のリムジンに乗って
  学校へ行く。昼には四人で弁当を食べて、軽い喧嘩のような騒ぎを起こしながらも
  平和に過ぎていく。少し変わった部分と言えば、たまに姉さんがサクラをなだめたり
  することが出てきたくらいだ。放課後は青海とデートをして、
  家に帰ればサクラや姉さんとのセックスが待っている。
  今までの暮らしに少しだけ非日常が混じっているけれど、何も問題はない。
「でね、矢崎先生がうっかり花びら大回転の話をして」
  こら、昼休みの教室で何てことを言い出すんだ!!
「その、花びら何とかと言うのは何だ?」
  青海にはまだ早い!!
「今から青海さんを使って実演してみますか?」
  止めろ!!
「それはですね、割れ目を晒した女性が…」
  いつから居たんですかユキさん、て言うか説明すんな!!
  今は昼休み、皆で仲良く弁当をつつきながらの楽しい食事の筈だったのに、
  僅か数秒でこんなに疲れたのは何故なんだろう。喧嘩になるよりは余程良いけれど、
  少しは教室の皆のことを考えても良いと思う。
「虎徹君はそれを見たら喜ぶか?」
  まだそんな話をしていたのか、ユキさんも笑顔で頷かないの!!

「青海、食事時にはそんな話はしちゃいけません。それに、そんなことをしなくても」
「しなくても?」
  幼い表情で小首を傾げ、訊き返してくる。
「青海のことは大好きだし」
「のろけ禁止ィ!!」
  青海が何か反応を返してくるより先に、姉さんがチョップを叩き込んできた。
  けれども、その表情には以前程の怒りや嫉妬の色は浮かんでいない。
  毎晩の情事が精神の安定剤になっているのだとしたら、それも悪くないのかもしれない。
  最初はひたすらに拒否感があっただけだけれど、今では少しずつ楽しむ余裕も出てきている。
  楽しむ?
  今、僕は何を考えた?
  青海の為にと言っておきながら、姉さんとのセックスを楽しんでいる。許されないことを
  平気な顔をして、それでも問題ないと言っているのはどこの誰だ。
「大丈夫ですか、兄さん?」
「うん、何も問題ない」
  扉の鍵が、少し緩んでいるのかもしれない。こっち側の方には存在しない、
  あっち側の僕が少しだけ顔を出してきた。
  帰宅したあとの堕落した僕が扉の隙間から笑みを向けて、楽しめ、と囁いてくる。
  無視だ。
  強い音をたてて、扉を閉めた。
  問題ない、これも日常と青海のため。
「エロい話題よりもっと健全な話をしてみよう、例えば」
  心の扉の施錠をしっかりとして、笑顔を作る。
「呑助ちゃんの話とか?」

 姉さんが珍しく、まともに話を繋いでくれた。そもそも妙な話を始めたのが姉さん自身だから
  当然と言えば当然なのかもしれないけれど、こうして味わうことが出来る日常が僕は
  とても大好きだ。もう暫く、夜の僕は顔を出さない。
「そう言えば、以前に君の家に遊びに行ったときは姿が見えなかったが、元気だろうか」
「青海さんが心配する程のことでもありません。私が我が子のように可愛がっています」
  言いながら、サクラは虎の目を青海に向けた。確かに姉さんも可愛がっているれども、
  サクラはそれ以上に世話を焼いている。たまに恐ろしい程の暗い笑顔で抱き締め、
  嫌がるくらいに撫でまくっているのは少し間違っている気がするけれど、
  一番熱心なのは間違いないと思う。
  虎を殺した血筋なのに、同じ猫科でも扱いが随分と変わるもんだ。
「ありがとう。わたしが虎徹君に出会えた恩人、いや恩猫だから、気になっていたんだ」
「お礼を言われるまでもありません。将来の練習だと思えば、辛さも幸せに変わります」
「そうか、虎徹君もこれで安心できるな」
「はい、数年後に控えた夫婦生活が楽しみです」
  何だろう、この殺伐としてきた空気は。表情も穏やかだし交わされている会話も和やかなものだと
  思うのに、どこかが軋んでいるような気がする。普通の会話の端々から不可視の棘が
  見え隠れしつつ、お互いに刺さりに特攻しているような。
  和やかな話題を持ってきたつもりなのに、余計に辛くなってきた。

「虎徹君も、嬉しいだろう。これで心おきなくわたしとの結婚に向かって行ける」
「え? あ、うん」
  こちらに話を向けられると思わなかったから適当な返事が出たけれど、
  結構魅力的な話かもしれない。現実的とは言えない話だけれども、
  僕も青海とそんな生活をしているのを想像してみると、結構楽しそうな気がしてきた。
  朝は青海が隣で寝息をたてていて二人で目を覚まし、
  青海が作ってくれた朝食を食べて会社に行く。帰ってきたら定番のお風呂、御飯、女体の
  3択問題を出されてルパンダイブ。庭には赤いスイートピーと白い犬、いや、
  呑助が居るから三毛猫か。その内冗談でも良いから、将来設計を話してみるのも良いかもしれない。
「楽しみだな、虎徹君。部屋とYシャツとわたし…」
「外した、そっちだったか」
「不満か?」
「とんでもない」
  青海がこうして楽しそうな顔をしてくれるなら、僕も頑張れるかもしれない。
「子作りはいつにしようか?」
「ちょっと待て」
  いきなり話が飛躍をしすぎている。青海のことは好きだし、今までもそうだったから
  驚きはしないけれども、僕としては少し直して欲しいと思う。思い返してみれば
  最初の告白のときも『子供を産ませてくれ』だったし、全開なところはもしかしたら
  治らない癖みたいなものなのかもしれない可能性もあるけれど。
「ちょっと待て、か。わたしもあまり気が長い方じゃないから、早めに頼むよ」
「そうじゃねぇ!!」
  ついでに一直線すぎるところも直してほしいと思います。

「兄さん」
  不意に、一言。
  僕と青海が話している間ずっと黙っていたサクラが、低く呟いた。
  見てみれば小さく肩を震わせて、箸をへし折らんばかりの気迫を見せつけている。
  うつむいて垂れた長い前髪の間から覗く瞳は、今にも青海を悔い殺しそうな勢いで燃え盛っていた。
「公共の場でふしだらな、それも妙なイチャ付き方をしないで下さい。皆さんに迷惑です」
  しまった、仲良くしすぎたかもしれない。姉さんはまだ大丈夫みたいだけれど、
  サクラが臨界点を突破しようとしている。二人の気持ちは分かっていた筈なのに、
  少し限度を超えすぎてしまったみたいだ。
「姉さんも、何か言ってやって下さい」
「えぇと、うん。虎徹ちゃんも青海ちゃんも、メッ! えっちなのは、メッ!」
  よりにもよって、姉さんがエロ禁止と言うのか。しかも今時の高校生が、
  高校生を叱るのに今の発言はないと思う。もう少し他にも言い方があるんじゃないだろたうか。
「役立たず!!」
「ひゃあ、ごめんなさい」
  案の定、サクラも同じことを思ったらしく姉さんを一喝すると僕と青海に向き直った。
  仁王立ちをして腕を組み、獰猛に牙を剥き出しにしながら、
「青海さんは兄さんにベタベタしすぎです、一体何の権利があってそんなに」
「彼女だからだ」
  そうだよなぁ。
「それに」
  青海も立ち上がるとサクラに人指し指を付きつけ、睨みつける。
  その表情は今までサクラや姉さんに影響されてきたせいなのか、見間違えようもない虎のもの。
  長年、サクラや姉さんの顔を見慣れた僕だから分かるそれを、青海も浮かべていた。
「恋人なのだから、例え身内でも口出しをされる覚えはない」
「この、泥棒猫」
「はン、面白いことを言う」
  そろそろ限界だろうか。姉さんに仲裁を頼もうにも、未だにしょんぼりしているので
  頼りにはなりそうにない。ユキさんは基本的にはこういう場合は関わってこないので、
  残念なことに、仲裁をする役は消去法で僕になる。
  溜息を一つ吐き、
「喧嘩は止めなさい、そろそろ怒るよ?」
  数秒。
  お互いに睨みあっていたが、顔を反らし、
「ふん」
「はっ」
  争いは止めたものの、空気が重いまま食事が再会された。
  どうしたものか。

15虎

 青海と楽しく放課後デートを終え、自宅に帰ると思わず溜息が溢れてきた。どうも昼の
ことでフラストレーションが貯まっていたらしく、必要以上にくっ付いてくる青海は僕を
  いかに愛しているのかを言ってくれたけれど、正直疲れたという感情もあった。
  何よりも、初めて手を繋いだ理由がこんなものだったのが少し辛かったりする。
  未だに青海と手を繋いだことがなかったので勿論嬉しいけれど、何なんだろうこの違和感は。
  理由を考えてみる。
  浮かんできた答えはごくシンプルなもので、出来ることならもう少し良い感じの流れで
  こういうことをしたいという個人的な感情が、原因なんだろう。思考に浮き上がってきたのは
  それだけじゃない。それと共に沸き上がってきたのは罪悪感。
  殆んどの友達に浪漫が足りないと言われている僕でさえそんな風に夢見るのならば、
  女の子の青海はもっとそうしたかった筈だ。それなのに今までしてあげられなかったことと、
  つまらない嫉妬で行動させてしまったという後ろめたさが辛くさせる。
  厳密に言えば違うかもしれないけれど、初めての恋愛だ。
  でもそれを抜きにしても、彼氏としてはもう少し頑張った方が良いのかもしれない。
  部屋に入り、上着を脱ぎ捨てる。
「朗漫か……ときめけ☆青春浪漫回路!!」
  叫んでみても、どうなる訳でもない。

 軽く溜息を吐き、上着をハンガーにかけようとしていると、
  軽音。
  誰だろうか、と思いノックの音の方向を見て、
「どうぞ?」
「失礼します」
  小さな音をたてて扉を開いたのは、サクラだった。晩御飯の準備が早く終わったのか、
  それとも早く終わらせてきたのか、時計を見て確認してみるといつもより若干早い。
  サクラも青海と同じような状態だったらしく、よく見てみると少し浮足立っていた。
「今ブラシをかけるから、座って待ってて」
  変にがっついてどうこうなるのが嫌だからだろうか、僕を脅して関係を強要している割に、
  サクラはいつものようにおとなしくベッドに腰掛けた。昼のことも少し気にしているんだろう。
  話がこじれるのは嫌だから訊かないけれど、その辺りのバランスをたまに不思議に思う。
「兄さん」
「何?」
  待たせるのもなんなので、手早くブラシをかける。
「さっき部屋に入る前に妙な言葉が聞こえてきたんですが」
  聞かれていたのか!?
  危うく落としそうになったブラシを気合いで受け止め、
「気にしないの、若さを求めていただけだから」
「そうなんですか」
  小首を傾げてこちらを見るサクラは、いまいち理解できていないような表情を浮かべていた。
  それはそうだろう、僕だって何であんな言葉が出てきたのか分からない。
  もしそれをサクラが理解できていたとしたら、少し家族のあり方を説くところだ。
  そんなことを考えている内に、制服は綺麗になっていた。

 そして、今からはあちら側の時間。
  軽く目を閉じて心の扉を開き、向こう側へと渡り、しっかりと施錠する。
  日常の方の僕が何か言いたそうな、心配そうな目で僕を見ていたけれども気にしない。
「兄さん、そろそろ」
  僕は黙ってサクラの隣に腰掛け、唇を重ねた。最初はまだ付き合いの浅い恋人がする、幼いもの。
  これを合図に始めるのが好みらしく、幾秒も経たない内に離すと照れてはいるが
  嬉しそうな表情で僕の顔を見つめてきた。それがとても可愛らしく、思わず頭を撫でると
  今度は擽ったそうに小さな笑い声を漏らす。
「兄さん、早く」
  言われ、急かされて僕はサクラの襟に手をかけた。壊れ物を扱うように
  丁寧にボタンを外していくと、華奢な瑣骨や、スリップ越しでも分かるような
  膨らみのない薄い乳が見えてくる。そのままスリップとシャツを脱がせスカートを降ろすと、
  サクラは靴下とショーツだけの姿になった。最初は靴下を穿いたままの状態にしたことを
  訝しんでいたけれど、個人の性癖だけはどうしようもない。
  服を脱いで今まで以上に華奢に見える体を抱き締め、キスをする。
  今度は、お互いの舌を絡める濃厚なもの。奥深くまで舌を伸ばして唾液の交換し
  音をたてて飲み込むと、媚薬を飲まされたような感覚になる。
  それはサクラも同じようで、幼い外見とそぐわない程に唇を妖しく歪め、笑いかけてくる。
「もっと、下さい」
  この一言で、箍が外れた。

 また唇を重ねると、口内を乱暴に掻き混ぜながらシーツの上に押し倒していく。
  片手で柔らかな髪を撫で、もう片方の手は首筋へ。その手で軽く擦るように撫でると
  サクラの口から溢れてくる、小さな笑い声が耳に快い。次に瑣骨、更にその下へと滑るように
  下ろしていく。乳の頂点にある桜色の突起を弱い力で抓むように擦りあげ、
  撫でると声が今まで以上に甘いものへと変化した。小豆よりも僅かに小さな大きさながら、
  それでも固くなり事故主張しているそれを少し強めに捻ると、更に声が高くなる。
  肌から伝わってくる女の子特有の柔らかい感触よりも、口元からの水音や荒く途切れる息遣い、
  僕をひたすらに求める声で興奮が高まってくる。それと共に、自然と指の動きも激しく加速する。
「にい、さ、ん。し、たも」
  リクエストに応えて、髪を撫でていた手を下半身の方へ移動させた。
  淡い桃色の下着のクロッチ部分は既に湿っていて、押すようにして指を動かすと
  指先に伝わる液体の感触がすぐに広いものへと変わってくる。
「撫でるよ」
「は、ひゃい」
  耳元で囁くように言うと、顔を赤く染めて頷いた。
  言葉の通りに、撫でる。下着越しであるにも関わらず、豆を親指で揉みながら割れ目を擦ると
  サクラの体が小さく震えた。下は弄り始めたばかりなのに、一度目の限界はかなり近いらしい。
  一旦手を止め、後ろの穴をつつくように押すとそれで達してしまったらしく、
  体を大きく弓なりに反らせて大きな声を漏らした。

 数秒。
  息をきらせて脱力しているサクラの下着を脱がせて、今度は直で秘部へと指を伸ばす。
  口や両手を使い左右の胸の突起や下の穴を二つ、弱点らしい豆を責めると
  快感が強すぎるらしく、シーツを噛んで堪えているものの、
  それでも部屋の外に聞こえる程の声を出して僕にしがみ付いてきた。
  断続的に達しているらしく、顔を覗き込んでみると瞳の焦点は虚ろで、
  口元のシーツは絶頂を迎える度に声と共に漏れる唾液のせいでかなり濡れている。
  もう入れて良いだろう。
「サクラ、今日はどっちが良い?」
  どちら、というのは、サクラは両方の穴を使えるということだ。僕も最初の頃は
  後ろの穴を使うことに抵抗を感じていたけれど、慣れもあるが、
  何よりサクラ自身が気持ち良さそうにしているので毎回どちらの穴を使うか訊くことにしている。
  幾らか時間をかけて僕に焦点を定めると、サクラははにかみ、
「今日、私は悪い娘でした。青海さんと喧嘩しちゃって、つい怒ってムキになって。
  このことも危うく言ってしまいそうになりました、本当に悪い娘です」
  この流れだと、後ろだろうか。膝の裏に手を伸ばし、脚を抱えあげて、固くなった僕のものを
  中間辺りの位置に当てがった。どちらでも簡単に入れることができる。
「だから、後ろでお仕置きして下さい」
「分かった」

 果たして、結果は予想通り。言いながら、既に当てていたものを後ろの穴の中へと
  侵入させていく。勢い良く進めたせいか刺激が強かったのらしく、小さく涙を流し、
  シーツを掴んで体を大きくのけぞらせた。漏れる声はもはや我慢をせずに、
  垂れ流しの状態になっている。
  僕も状態は似たようなもので、靄がかかったような思考の中でも自覚が出来る程に
  呼吸が荒れている。前の穴とは違いひだが少ないものの、
  そちらの穴より強い圧迫感で責めてくるそれは、強い快感を脳に叩き込んでくる。
  しかしサクラはまだ足りないらしく、更なる快感を得るべく僕と唇を重ねてきた。
  舌を絡め、空いている僕の手を使って自分の体をまさぐっている。
  数分。
  限界が近い。
「どっちに、出す?」
「な、かに、く、ださい」
  言い終えるのと同時、揺れていた小さな体の動きが止まって、僕を抱き締める力と
  穴の締め付けが強くなる。絶頂に達したサクラから少し遅れる形で、僕も射精をする。
  下にタオルを敷きながら僕のものを引き抜くと、その上にサクラの後ろの穴から
  白い液体が糸を引いて垂れてくる。何度見ても、このいやらしい光景に飽きが来ることはない。
「見ないで、下さい」
「あ、ごめん、つい。可愛いって言うか、綺麗だったからさ」
「もう、兄さん」
  恥ずかしそうに笑って言うサクラは、しかし少し不満そうだ。
  数秒。
「兄さん」
  やや気不味い沈黙を破ったのは、サクラの方だった。
「嫌いにならないで下さいね?」
「当然だろ?」
  そう、裏と表が隣合う奇妙な生活だけれども、これで良い。
  姉さんもサクラも愛して、
  青海と仲良く恋人として過ごす。
  僕はこんな暮らしが好きになってきた。

『"The Double Tiger Sisters" Like Like Tiger』is END

2006/08/10 第1部完結 第2部(RouteA)へ 第2部(RouteB)へ

 

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