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とある家政婦の風景



1

あいかさんは、お手伝いさんです。
おしごとでいそがしいお母さんの代わりに、ぼくのめんどうを見てくれます。

あいかさんは、いつもおいしいごはんを作ってくれます。
でもぼくは、にんじんがきらいです。いつものこしてしまいます。
「坊ちゃま、人間は食べることで成長するのです。だから好き嫌いしないで食べてくださいな」
そう言うとあいかさんは、にんじんケーキをやいてくれました。
ぼくはにんじんがきらいですが、にんじんケーキは大すきです。
こうやって、ぼくのにんじんぎらいを直してくれました。
あいかさんは、やさしい人です。
「にんじんを食べられるようになるなんて立派ですよ、坊ちゃま。
そう、私の料理が坊ちゃまの身体を作るのです。
だから私の料理だけを食べて、私だけの坊ちゃまに成長してくださいな」
ぼくは、あいかさんが大すきです。

ぼくはいつも、あいかさんといっしょにおふろに入ります。
ひとりで入るのはこわいですが、あいかさんがいてくれるからへっちゃらです。
あいかさんは、ぼくの体をあらってくれます。
やさしくあらってくれるので、気もちいいです。
でも、ちん○んをあらってくてれるときがいちばん気もちいいのは、ないしょです。
あいかさんは、ひざまくらであたまをあらってくれます。
目にも耳にも水が入らないし、ひざがやわらかくて気もちいいので、よくねてしまいます。
そんなぼくを見て、あいかさんはよくわらいます。
「うふふっ……坊ちゃま、かわいいですよ。私だけの坊ちゃまは、本当にかわいい……ずっとこうして、
誰にも邪魔されずに、坊ちゃまを独占していたい……」
ぼくは、あいかさんが大すきです。

あいかさんがいるから、ぼくはさみしくありません。
でもときどき、お母さんがこいしくなります。
お母さんに会いたくなって、ないてしまうことがあります。
そんなときはいつも、あいかさんがいっしょにねてくれます。
そして、ぼくをだっこしてくれます。
「坊ちゃま、私がいるから大丈夫ですよ」
あいかさんのおっぱいが、かおに当たります。
すごくやわらかくて、気もちいいです。
それに、とてもなつかしい気もちになります。
きっと、お母さんにこういうことをしてもらったんだとおもいます。
「坊ちゃま……思う存分甘えていいんですよ……」
そう言うと、あいかさんはパジャマのボタンをはずして、おっぱいを出しました。
あいかさんは、ぼくのかんがえてることが分かるみたいです。
ぼくは、あまえんぼうかもしれません。でも、今になっても、お母さんのおっぱいがこいしいのです。
ぼくは、あいかさんのおっぱいをすいました。
「ああ、坊ちゃま……私を、本当の、お母さんだと思っても……いいんですよ……だからもっと、
私を愛してくださいな……
私のこと以外……考えられないようになって……」
ぼくは、あいかさんが大すきです。

ぼくは、あいかさんが大すきです。
でも、きらいなところもあります。
それは、おこるとこわいところです。
あいかさんは、お母さんの代わりに、じゅぎょうさんかんにきてくれました。
ぼくは、とてもうれしかったです。だから、いいところを見せたくて、手をあげて、本よみをしました。
大きなこえで、はっきりとよみました。
「はい。松山くん、よくできました」
せんせいは、ぼくのあたまをなでなでしてくれました。
あいかさん、ぼく、がんばったよ。ぼくは、あいかさんの方を見ました。
でも、あいかさんは、こわいかおをしていました。どうしてそんなに、こわいかおをしてたのか、
わかりませんでした。
「坊ちゃま……坊ちゃまに触っていいのは私だけです。二度と他の女に触られないように
してくださいな……」
どうしておこっているのか、わかりませんでした。でも、あいかさんにきらわれたくないので、
言うとおりにしました。
するとあいかさんは、ぼくのあたまをなでなでしてくれました。やっぱりぼくは、あいかさんが大すきです。

今日、となりのクラスのまなみちゃんが、体そうふくをわすれました。だからぼくは、かしてあげました。
まなみちゃんは、ありがとう、明日あらってかえすねと言いました。
ぼくはいいことをしたので、あいかさんにほめてほしくて、いえにかえってから言いました。
でも、あいかさんはおこっていました。
「坊ちゃま……私の仕事は坊ちゃまのお世話をすることです。
料理を作るのも掃除をするのも服を洗うのもお背中を流すのも一緒に寝るのも……私だけがして良いんです。
どこの馬の骨だか分からないような雌畜生に坊ちゃまの服を洗わせてはいけません。いいですね?」
ぼくは、ごめんなさいと言いました。でも、あいかさんはおこったままでした。
ぼくは、あいかさんにきらわれたくないので、なんでもするからゆるしてと言いました。
すると、あいかさんは、チューしてくれたらゆるしてあげると言いました。
ぼくは、はずかしかったけど、あいかさんに、チューしました。
そして、あいかさんは、いつものやさしいあいかさんにもどりました。
やっぱりぼくは、あいかさんが大すきです。

でもさいきん、あいかさんがへんです。お母さんが久しぶりに帰ってくると、気げんがわるいです。
まえはこんなこと、なかったのに。
「坊ちゃまは……私と奥様……どちらが好きですか?」
ぼくは、2人ともすきだと言いました。すると、あいかさんは、こわいかおになりました。
でも、これが本当の気もちです。あいかさんは、お母さんと、けんかしたのでしょうか。
もしそうなら、なかなおりしてほしいです。
だってぼくは、あいかさんも、お母さんも、同じぐらいすきだからです。

(おわり)

2006/05/08 完結

 

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