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リボンの剣士



38B

どうして私は、レイプさせただけで勝った気になっていたんだろう。
何もしなければ、あるいは殺していれば、新城明日香とこんな形で顔を合わせることは無かったのに。
ただでさえ凶暴なところに復讐という目的が加わって、最悪の展開になってしまった。
日本刀を持つ手に震えなどは無い。
完全に迷いを、迷いどころか何もかも捨てて、私を……殺しに来た。

「明日香……?」
裏で起きたことを全く知らない人志くんは、この女の登場に困惑している。
……もしかしたら、うまくやればうまく行くかもしれない。
「どう……したんだ?」
新城明日香が、刀の先を私の方に向ける。
「クリスマスプレゼントに、あんたの命をもらいに来たのよ」

その口から出る言葉は、人志君にとって非常識で耳を疑うものだと思う。
人を殺す、なんて聞いて、穏やかでいられるはずがないからね。
「何を言ってるんだ。性質の悪い冗談はやめろ!」
人志くんは立ち上がって、新城明日香と向かい合った。
そうそうそうそうそれでいいの。刀を持って他人の家に上がりこんでくるなんておかしいの。
人志くんは、この頭のおかしい女を叩き出せばいいんだよ。
「あたしが冗談を言ってると思う?」
冗談でも本気でも関係ないよ。さ、頑張って人志くん。早くキチガイ女を追い払って。
ああそうだ。私が警察を呼ぶのもアリだよね。刀を振り回す怖い女は、
死ぬまで塀の中に閉じ込めておかないと。

あれ? 電話したいのに、体が動かないなあ。

「そこの女の陰謀で、レイプされたのよ」
出た。人志くんの耳を疑うこと二つ目。これでますます、新城さんは正気じゃないって思われるよ。
「金でその辺の男を操って、ついさっきあたしを……ね」
「そんなの、私……知らない!」
人志くんの視線がこっちを向いてから、私は声を上げた。
「私じゃない! そんなことやってない!」
新城さんは、今ここでレイプ云々の証拠を出すことは出来ないはず。
だから、やったやってないの水掛け論にしてしまえば、
目に見えて物騒なものを持っている新城さんのほうが不利。
この場をしのぎさえすれば、私のほうの証拠隠滅なんてすぐできるしね。

「あんた以外に!!」
さらに大きな声が割り込んできた。
「誰が金を払ってまで、あたしを犯したりするのよ!!」
殺気が大きくなって、私に近付いてくる。
そうだ。動けなかったのは、この威圧感があったからなんだ。
殺気を越えた、どす黒い煙のように吹き出ている殺意。
でも、私と新城さんの間に、人志くんが入った。
「明日香……やめろ」
私を守ってくれるかのように、両腕を広げている。

いくら幼馴染とはいえ、殺意をむき出しにしている新城さんの前の立つなんて、
人志くんは勇気あるよ。
私が好きなのは、そういうところなの。
「その女を庇うの? あたしより、その女のほうが大事なの!?」
人志くんが庇ってくれる――嬉しくて涙が出そう。
同時に、庇ってもらったことなんてないだろう新城明日香への優越感も持ち上げられる。

「そうじゃない! ただ、殺すというのはいけな――」
「レイプされるのはいいんだ」
「っ…………」
「殺すのはいけないから、レイプされても話し合いで解決しましょうと、そう言いたいの?」

ああ頑張って。その女に言いくるめられちゃ駄目だよ。

「……」
人志くん、言い返してよ。幼馴染が人殺しなんて、絶対にあっちゃいけないでしょ?
私も殺されたくないし、新城さんだって本当に人生台無しになる。お互いのためだよ。
もちろん、真相を知っていればこんなのは詭弁だって分かるけど、
それを人志君に知らせなければいい。
知らないことは起こっていない。
人志くんを手に入れるためなら、それくらいのことは隠してみせる。

「……」
「……」
「……どいてよ」
「……それは、出来ない」
「そう……」

刀の先が下を向いた。
でも次の瞬間、新城明日香は刀を振った。
「――っ!?」
速くてはっきり見えなかったけど、重い打った音がして、人志くんが倒れる。

――ついにやったんだ、この女。力ずくで自分の考えを押し通した。

自分の復讐のために、人志君に手を上げた。

「最低」
言ってやると、不敵な笑みが返ってきた。
「自分の事?」
悪びれた様子はない、むしろ、一段落ついてすっきりした顔だ。
これで木場春奈を殺せる――って、思ってるのかな。
もう前しか見ていない、この目的さえ果たせば後のことなんか知らない、という覚悟。

……私だって、覚悟は持っている。

持って来た大きな袋に手を伸ばす。あの中には、色々入っているから。
万一のときのものも用意してある。
「死ね!」
ほんの一瞬ですぐ近く、刀が届く間合いに新城明日香が飛び込んできた。

――くっ!!

袋に手を入れて、ダーツの入ったケースを掴む。
上段から降ろされる剣。

――間に合う!

何とかダーツだけは取りつつ、転がって刀をかわした。
一本を牽制に投げつける。
新城明日香は難無くかわすけど、その間に私は態勢を直して距離をとることに成功した。

さすがに、剣を相手に接近戦は出来ない。
――って、きっと向こうも思ってるだろうね。

「へぇ……そんなオモチャでやる気?」
完全に余裕の表情。確かに、日本刀とダーツじゃ、武器としての差は大きい。
でもね。
ただのダーツじゃ、ないんだよ……。

 

「ねえ新城さん。ここであなただけ死んでくれれば、キチガイが刀振り回して勝手に死んだ、
ってことになってハッピーエンドなんだけど」
「安いストーリーね。時代はバッドエンドよ。先物好きのあんたにぴったり」

私がダーツを投げる。新城さんは軽くよける。
次を投げる前に、新城さんは地を蹴った。
速い。間合いは瞬く間に縮まって、私の頭を喰らってやらんと剣が迫る。

やっぱり私では勝てない――ことはない!

剣に対して、左腕を上げる。
「!……ぐっ……」
刃が左の前腕に食い込み、骨に当たり、肘まで切り裂かれた。
体験したことのない痛みと出血に、視界が歪む。
その歪んだ視界であっても、あの女の驚きは分かった、ここがチャンス。
右手に握ったダーツを、新城さんの体に突き刺してやる。

このとっておきの、毒塗りのダーツで、お前を殺す!

頭の中では刺さる映像が出来ていたのに、直後、離れている新城さんの光景に上書きされた。
……外した。
なんて人並みはずれた反応。あのわずかの間に、刀を抜いて後ろに跳んだ。
左腕を使ってまで引き付けたのに……。
まだ。今度こそ。

新城さんは血の付いた刀身を見ていたけど、また向かってくる。
振りかぶったときを狙って、私も前に飛び込んで刺そう。相討ちにならないように、出来るだけ深く。
距離が縮まる。まだ振りかぶらない。
体重を前にかけて待ち構える私に、突っ込んでくる新城明日香。
刀を、前にしたまま!?

これは、突き――――。

「いぃあああああぁぁぁぁあっ!!」

光のように、伸びる突き――――。

ずっ……。

胸、が……入って……骨……すきま……とおった。

しん、ぞう……。

「おぶっ!」

のどから、血が逆流して……。

死ぬ……? 私、死ぬの?

死ぬなら……。

「――!!」

まだ動く手で、ダーツを、刺す……今度は、ちゃんと入ったよ……。

腕、足の、力が、抜ける。
新城さんも……毒でもがいて倒れた。
目をひん剥いて、口から泡を吹いて……。
私も……死ぬんだ。

どうして、こうなっちゃったんだろう。
死にたくなかったのに。愛しい人を、手に入れたかっただけなのに。

頭の中を、記憶が駆けていく。
歳が途切れ途切れのパパ、ママ……。
今まで付き合った人、捨てた人……。
人志くんと過ごした時間……ここはそう長くないのに、細かく再生された。
始めは一緒にご飯食べて、試合を見に行って、お見舞いに付き添って、
お見舞いに行って、昔の同級生と揉
めたり、誕生日パーティーやって、クリスマスに一緒に居て……。
そしてついさっきの、私が、殺される瞬間。

ああ……そうか。

愛する人は欲しい、でも自分は痛い目に遭いたくない。

結局、自分のことしか考えてなかったんだ……。だから、全部捨てて来た新城さんに殺された。

やっとわかったよ……。

わかったから、もう一度、やり直させて……お願い……。

39B

不吉な予感に引きずられて伊星先輩の家に着いた時には、既に何もかもが終わっていました。
切断された扉からこぼれている血の匂い。
室内の明かりがはっきりと、倒れ伏している御三方を私に見せてくれました。
その内の女性二人、新城先輩と木場先輩は、事切れていました……。
木場先輩の胸を貫通している日本刀、床に散らばっているダーツ。
何が起きたのかは、概ね想像できました。
二人の争いは殺し合い、という形で終結したのです……。

後日、その事件は新聞の一片に載りました。
本物の新聞沙汰になり、私が記事を書くどころではありませんでした。
一人気を失っていただけの伊星先輩は、現場からすぐに警察署に引っ張られて、
もう何日も姿を見せません。
もちろん、学校やその周辺では大騒ぎです。

冬休みが終わってからも校門前で新聞記者が、出入りする生徒を捕まえては、
何だかんだと質問責めにする、という光景が繰り広げられました。
ワイドショーによくある、被害者はどういう人だったのか、と云うやつですね。
私は答えるのが嫌なので、集団に紛れてこっそりと、目立たぬようにして回避しました。
記者に根掘り葉掘り尋ねられることがいかに不快か、この立場に来て強く感じます。

卑怯ですね。

しかし、あまり心苦しい、等とは思わない自分がいます。
二人の相打ち、共倒れは、私の理想とするところではありませんか。
伊星先輩に固執する二人が一気に消えたことにより、私の狙いはずっと外れにくくなったのです。

理解を得るためのテクニックとして、感情の共有、というものがあります。

強いショックを受け、苦しんでいる人には、同じように苦しんでいる人に気持ちが解りやすいのです。
今回は全て同じではありませんが、親しい人を失って辛い伊星先輩と、
己を偽って生活している私の心に共通点を見出し、
繋ぎ合わせることによって深い理解が得られるようになるはずです。
そしてそれは、伊星先輩の立ち直りを早める効果も期待できるでしょう。
先輩が学校に復帰したときには、私がすぐに秘密を打ち明ければいいのです。

互いの利に沿った、最良の展開ですね。
頭痛を引き起こすノイズは無視です。無視。

 

事件の日から二ヶ月あまり。
ついに伊星先輩が、学校に復帰したとの情報を得ました。
早速、休み時間に直撃しようとした……のですが、やはりと言うべきか、
教室内は気まずい空気が漂っており、私がずけずけと入っていける気がしませんでした。
かつて新城先輩と木場先輩が下駄箱前で対峙していた時とは、質が違います。
一触即発という感じではなく、むしろエネルギーが根こそぎ吸い取られているかのようでした。
二つの机にそれぞれ置かれた花瓶、それによるものだったのでしょうか。

仕方なく放課後に出直したら、肝心の伊星先輩は教室から姿を消していました。
もう帰ったのかと思いつつ捜して回ったら、意外な所で見つけました。

――剣道場。

そこで伊星先輩は、女子剣道部部長と向き合っていたのです。
何事かと入って尋ねようとしたら、部員に竹刀で叩き出されてしまいました。
うう……先輩は中に入れるのに、私は追い払うなど不公平です。
それから部活終了まで、先輩は出て来ませんでした。
夜になり、部長たちと一緒に出てきたところで、ようやく私は先輩を捕まえるのに成功しました。

「お久しぶりです、先輩」
「屋聞か。何をしにきた?」

あまり重さを思わせない声でした。しかし何をしに来たとは、何かしに来ると想定していたのですか。
まあいいでしょう。

「復帰との事らしいので、顔を見に。ついでに少し話したいことがあるのですが」
「お前に見せるほどの顔ではないよ」

なぜか先輩は苦笑しました。
……はて、今何か、違和感が……。

「伊星、別件か?」
「そのようです」

一度先輩は剣道部部長と目を合わせて、また私のほうに向き直りました。
「部長さんはお先にどうぞ」
「わかった。お前も……しっかりな」

剣道部部長は先に帰るようです。残ったのは私と伊星先輩の二人。

「話したいことって、取材だろ?」
「違います」

これは本当に、新聞部とは全く無関係です。そんなものより持った大事な、
未来が掛かった話……などと言って引かれては困りますから、少しずつ。
「場所を変えてもいいですか?」

無人の教室に移動して、私と先輩は適当な席に座りました。
電灯はつけません。時間的に、全生徒は下校していることになってますから。
「話が見えないな」
「まだ何も話していないから当たり前です」
事件があっても、その不可解な部分は変わりないようです。

では、始動します。
「直球で言います。私、女なんです」
「……」
先輩のリアクションはありません。
続けて、私は男の振りをしている理由、過去についてざっとシンプルに説明しました。
「……」
先輩は口を閉ざしたままです。
「女である証拠、見せましょうか?」
「それはいい」
否定的なニュアンスで即答でした。こういう時だけ早いですね。

「……」
「……」

さすがにこっちも深い事情を持ち出しているので、うまく口が回りません。
というか、そんなほぼ無反応では、私が間抜けではないですか。

「……何故、俺にそんな話を?」
「それは……」
馬鹿正直に理由は言えません。ここからが勝負です。

うつむいてから上目遣いで先輩を捉えます。
「先輩に、何か慰めになればと思って……」
本来、私が女である事と先輩への慰めは、何の脈絡もないのですが、繋ぐポイントがあります。
席を立ち、先輩の前で私は服に手をかけます。これで気付くでしょう。
“女”“慰め”“服を脱ぐ”、この三つから生み出されることは……。

「やめろ」

よく通った声が教室内に響きました。
私は服を直して座ります。実は、これで上手くいったと言えるのです。
ほんのわずかな時間の出来事ですが、それによって流れは急に変えられました。
親しい人を失った先輩への新たなショックを与えて強引に苦しみをやわらげ、
且つ私が女だという意識を持たせる。だからここは、誘いを蹴るほうが正解なんです。

まあ先輩はすぐ女に手を出すような人ではないですから、始めから私の計算通り。
足掛かりの場、獲得です。

「剣道部で、何をしていたんですか?」
「……マネージャー登録をしてきた」
一度悪くなった空気を時間を待って立て直し、話の再開です。
「男子剣道部ではなく、ですか」
「明日香がやってた剣道……」
先輩は言葉に詰まった、のでしょうか。少し溜めか何かの後、言葉が続きます。
「……を、支えたくなった。支えなくてはいけないと言うか……」

……ふむ。
伊星先輩にとって、新城先輩の剣道とはどういうものなのか、気になります。
聞きたいですが、あまり深入りしては危険な予感がします。
私の目的の初期段階も達成されましたし、控えたほうがいいですね。
「そう思うなら、そうするしか無いですね」
何かしなければならない、と思っている限りは、必ず何かしらの目的を探し続けますから、
即ちそれが落ち込んだ状態からの回復とも取れるでしょう。
先輩の精神が立ち直ったようで、安心しました。

 

安心、してしまいました。

 

「女なのに、男としてやっていくとなると……」
教室を後にした校門までの道、珍しく先輩から話し掛けてきました。

「体育はどうしてるんだ?」
「見られないように、こっそり着替えてるんですよ」
「プールは?」
「見学です」
「……別にそのままでいってもバレないと思うが」
「それはどういう意味ですか」
「こういう意味だ」

先輩はペンを持ち、その先で私の胸を突きました。
「っ……」
確かに私は、あの先輩方のように女性としての体躯に全く恵まれていません。
だからこそ、男の振りをしていけるのですが……。
帰り際に少し嫌な話題ですねぇ。
「別にいいではないですか。人それぞれですよ」
「そうだな」
先輩に胸を触られたのは二度目です。ペンだからといって、ノーカウントには出来ません。
後でまた、何か責任を請求しておきましょう。

「では先輩、また……。あまり気を落としませぬよう」
問題ないとは思いますが、精神的な慰めというのは一応。
「部長さんも似たようなことを言っていたな」
……部長さんだって、新城先輩と言う部員を失って、辛いでしょうに。
「俺は大丈夫だから、そっちもあまり気にするな」
「わかりました」

私は先輩に背を向けて、自転車を飛ばしました。

 

 

そして翌朝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩は、自ら命を絶ちました。

 

情報に寄れば、先輩が自分の部屋で死んでいるのを母親が発見したそうです。
その死に様は、体を何箇所もためらいもなく包丁で刺し、
左右の首の血管を切り、部屋を血の海にしていたとの事。
他殺ではないかというくらい、自分でするには残酷すぎると言った人もいるとか。
遺書は無かったそうです。

クリスマスイブの事件が落ち着き始めた頃にこれですから、再び周辺は騒がしくなりました。
通夜には私も行きました。
新城先輩と木場先輩のときと比べて、人は少なめです。
主に集まったのは、今の同級生と、かつての旧友でしょう。

しかし。

何ですか。目の前に広がるのは、旧友と再会して喋りあう、和気藹々とした光景。
まるで同窓会です。
あちこちで話し声と、笑い声が上がっています。
……今まで生きていた中で、これほど人を殺してやりたいと思った時はありません。
「生きてても死んでてもウザいなあいつ」
今の言葉は、聞かなかった事にしてあげましょう。

そんな中、剣道部部長のあの人は、目から一筋だけ涙を流しながら焼香をしていました。
私は後に続きます。
焼香のとき、ふと見た先輩の遺影が、酷くぼやけていました。

駄目ではないですか。私も部活柄……写真には……うるさい、もので……。

「……っ」

ぼやけているのは遺影だけでなく、周りの物、人、全てでした。

「っ、うぅ……」

ああ、

ああ――――。

あの振る舞いは、全て偽りだったというのですか!?

剣道を支えなければならないという思いは、嘘だったのですか!?

大丈夫だと口で言いながら、奥底では死ぬことしか考えていなかったのですか!?

……死にたいならせめて、それを言ってもらえれば、何が何でも止めたのに……。

――後の調べでわかったことですが、先輩の家庭環境は悲惨なもので、
あの事件以来、母親からはいらない息子だ疫病神だと、毎日のように罵られていたそうです。
また、中学では虐めを受けており、それを助け、支えとなっていたのが新城先輩でした。
それならば。
争いを煽って、間接的に二人を消した私は――――!

通夜から帰った私は、まとわりついてくる妹を払って部屋に入り、机から万年筆を取り出しました。
家で新聞や原稿を書くときには、いつも使っているものです。
「……、!!」
意外にも簡単に、手で万年筆はへし折れました。
それは屑籠に放り投げ、ベッドに横になります。

……いくら嘆いたところで、死んだ人は帰ってきません。
それに私は、元々利用するのが目的だったではないですか。
利用しようと思ったけど、死なれておじゃんになった……それだけです。

それだけ……。

もし、利用するだけでなかったら……。

伊星先輩も、救われることがあったのでしょうか……?

(無残)

2007/02/19 完結 GoTo RouteC

 

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