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鏡 -真由編-

Ryo side
Mayu side
True
Revenge
Dimention
Epilogue

 

1

「あー。いい天気だ」
涼さんが柄にも無い事を言う。
「………」
「………」
「う」
私も真奈も何も返事をしない。昨日宣戦布告してから、互いに一言も口にしていない。
涼さんは欠伸をかいていた。自分のことで争われているというのに。呑気だ。でも怒りはわかない。
当然だ。アイシテルカラ。

学校
真奈がこれみよがしに涼さんに引っ付いていた。廊下で私と擦れ違う時、明らかに私と目を合わせ、
挑発していた。腹が立つ。
私の恋人に。私の恋人に。私の恋人に。私の恋人に……。更に黒い炎が強くなる。
昼休み
真奈に言われた通りに屋上へ行く。どうせ一緒に昼ご飯を食べているのを見せつけたいだけだろう。
………思いもしない光景が飛び込む。
真奈と……涼さんが…抱き合っている………?
いや、チガウ。アノ女が……無理やり押し倒しているんダ。
私の涼さんが。あのきたない女に汚される。
フザケルナフザケルナフザケルナフザケルナ
感情が高ぶるとともに、体が熱くなる。
止めに行きたいのに、足が動かない。物陰に隠れる様にしゃがみ込み、スカートをめくる。
二人の行為を覗き見ながら、自慰を始める。アア、この指が涼さんの物だったら。
あそこにハァハァ…涼さんがいるのに近付けない。あの女が邪魔だ…
(ん…んぐ!り、涼さん、涼さん、……涼さぁん!!!!)
「んんんぅーー!」
二人と同時に私もイった。アノ女は涼さんに多い被さりながら、こっちを見ながらウットリとしている。気付いているんだ。
…………もう迷うことは無い。私は涼さんがいればそれだけで良い。あんな女はイラナイ。消してしまえばいいんだ。

帰り道。
傘をさしながら人気の無い道の途中でアノ女を待つ。今日はバイトなはずだ。ならばこの道を来るはずだ。…………来た。
運良く一人で歩いている。涼さんはいない様だ。殺るなら…今だ。
「真奈…」
「…真由……どうしたの?」
薄ら笑いを浮かべている。
「今日、屋上に来てたわね。フフフ。私たちのやってるところを見て、一人で弄っちゃうなんて。とんだ変態さんね。」
五月蠅い
「でもわかったでしょ?私たちがどれだけ愛し合っていたか。涼くんだって自分から私を求めてくれたわ。」
ダマレ
「だからね、あなたの入り込む余地なんで少しもないの。まぁ、他の男でも見つけなさい。」
道の向こうから聞こえる。この女の死に神となる音が。
「クスクス……………心配しなくても、いいですよ。真奈…………私がクスクス……涼さんを幸せにするから……」
「わからない娘ねぇ。だから…」
「……サヨナラ」
それだけ言って、思いきり真奈につかみ掛かり、前へ押し出す。
「きゃあ!」
突然のことに、持っていた傘から手を放し、つまずいた様に道の真ん中へ…そして……
キィィーーーーー!!!ドン!!
空に舞うからだ。放物線を描き、地面に叩き付けられる。
「……アハハハ…ハハハ……アーッハハハ!やった!殺った!殺った!」
でもまだ喜ぶのは早い。ここから逃げないと。回りを確認する。誰も見てない。急いで傘を拾い、
住宅街の裏道を走り抜ける。アパートへ続く大通りに出る前に、傘をさし、息を整える。
思わず顔がニヤけてしまいそうだが、平静を装う。
そのまま帰宅。
「フフフフ……これで……ついに涼さんと二人きり…クスクス。」
覚め遣らぬ興奮を隠しながら、ベットに横になる。
…………………………Piririririri
ウトウトしていた時、突然家の電話が鳴り、驚きベットから飛び上がる。
電話のディスプレイを見ると、涼さんの携帯からだった。
慌てて時計を確認すると、帰ってから三十分ほど経っていた。心を落ち着け、電話に出る。
話の内容は、やはり真奈のことだった。だが内容などどうでもいい。
ただ涼さんの声に聞き惚れ、生返事を返していた。これからは涼さんの全て私のものになる。
そればかりを考えていたからだ。
病院に行くことを伝え、電話を切る。まだ安全では無い。そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと部屋を出た。

End 『Mayu Side』

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