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ある幼馴染同士の会話風景

 

1
「何?こんな人気のないところまでに呼び出して」
「ちょっと他の人に聞かれたくなくて……お前に頼みたいことがあってさ……」
いつになく酷く赤面してボソボソとした声で幼馴染は口を開いた。
人に聞かれたくないこと。二人きりで。
――告白……かな。
そう考えると自然と自分の顔が赤くなるのがわかった。そんな顔が見上げるのが嫌で俯いた。
しばらく、黙って次の言葉を待つが中々来ない。幼馴染の方を覗き見れば口をもごもごとさせていた。
「もうハッキリ言いなさいよ。最後まで笑わないで聞いてあげるから」
背中を押すつもりでそんな言葉をかけて笑った。笑ったつもりだった。でもちゃんと笑った顔になっているのか自信がなかった。
「あのさ、須藤のことなんだけどさ」
彼の口からは私がいつも一緒に遊んでいる女友達の名前が出た。
何で?こんな時に?そう思ったが言葉にならなかった。私の口がパクパクと魚のように動いただけだった。
「須藤って好きな人とかいるのかな?」
そうか――
そうなんだ。
こいつ、あいつが好きなんだ。
「こんど聞いておく……」
ついさっき燃え上がった胸の中のものは急激にその行き場を失って荒れ狂っていた。
顔の表情を隠し、湧き上がる心を抑えその場は平静を保った。
正直今はどうしていいかわからなかった。
でも――
でも何だろうこの胸の中の嫌なモノは……。
「ごめん、私用事あるからもう行くね」
そう言ってその場から逃げるように背を向けて歩き始めた。
そして角を曲がり彼の目の届かないところにきたところから走り始めた。ここには一秒だっていたくない。
嫌だ。
何かが嫌だった。
2006/01/22 完結

 

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